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      南白老岳(944.6m)

白老岳から望む南白老岳(2007年1月10日撮影)

1/25000地形図白老岳」

顔を出していた三角点「南白老」 下山途中から展望が広がる
ホロホロ峠付近のアメダスに車を停める
雪渓は迷路のように続く
標高を上げると雪渓が広く覆う

南白老岳という山名は地形図上には見当たらないが、本峰の西側に白老岳以上にその山容で目を引き付け、登高欲がそそられる鋭峰がある。高さこそ本峰には及ばないものの、南北面はスッパリと切れ落ち、山域の中では際立った存在といえる。通称である“南白老”は点名で、南白老岳として広くそう呼ばれるようになった。ここまで浸透した山名はそのまま使用しても良いようにも思うが、やはり最低限のルールは必要である。この山の地元である伊達市には、ぜひ国土地理院に申請し、正式名称としてほしいところだ。以前には白老岳を越えて踏まれていた遠いピークであったが、1998年の道道86号白老大滝線の開通によってぐんと身近な存在となった。

道道86号、ホロホロ峠手前からの距離はわずか800m、標高差360mと小粒だが、見る限りでは急峻である。頂上から西に伸びる尾根の傾斜は比較的緩く、その末端から取り付くことにする。西面は雪解けが進んでしまい、既に笹薮は起き上がっている。歩きやすい雪渓上をつないで行くと自然と雪解けの遅い北西面へと回り込んでしまう。ルートを修正しつつ、標高690mで笹薮の急斜面が現れる。いよいよシーズン初めの藪漕ぎかと意気込むが、10mほども藪をかきわけるとすぐに次の雪渓が現れる。もう少し多い積雪量を想像していたため、登山靴にピッケルといった出で立ちであるが、笹薮の急斜面といった状況を考えていれば、スパイク長靴あたりがベストだったのかもしれない。もちろん急な雪渓上のみのルートであれば登山靴は素晴らしい選択であったのだが。

南白老岳頂上にて
下山途中から展望が広がる
瓦斯山へは藪漕ぎのみ

この日は道道付近からガスがかかり、視界はほとんどないのが残念だが、1月に白老岳から見た華麗な南白老岳のピークが忘れられず、一度は踏んでみたいと思っていた憧れのピークである。尾根上は背の低い笹薮となっている。ふと見ると平行するように雪渓が上部へと続いている。自然の迷路のようなもので、快適な雪渓上のみにルートを選び出すのは難しい。藪漕ぎと雪渓歩きが交互に繰り返され、ピッケルを出したりしまったりしながらもぐんぐん標高を上げる。標高800m辺りからは雪渓のみとなり、傾斜も徐々に弱まる。ゴーというジェット機音かと思える音が聞こえるが、よく聞くと道道を走る車の騒音である。この山も道道の開通によって、里山の領域となってしまったようだ。

頂上は細長く弓状に湾曲した雪渓上である。相変わらず騒音も近くに聞こえ深山の感じではない。三角点は西側の外れにあり、背の低い藪の中に埋められている。東側の雪渓の高まりは34mほども標高を上げているようだ。頂上からの南面はガスの中に沈んでいる。どこかで見たような景観であり、よくよく考えてみると、2年前の同時期に登った札幌近郊の烏帽子岳頂上と酷似していることを思い出す。ガスさえ晴れてくれれば、この山ならではの素晴らしい展望をほしいままにできるところであるが、これは言ってもしかたがないことだ。

下りは登りでは気づかなかった雪渓のつながりが良く見え、踵のキックステップでリズミカルに下る。急峻であればあるほど下りは速く、頂上からはわずか25分で急斜面の取り付き地点となる。一瞬ガスが晴れ、眼下に道道付近のパノラマが広がる。雲一つない登山日和よりは、多少なりともガスが掛かったこんな光景の方が視覚的には立体的であり、迫力も増すというものだ。あとは平らな雪原を下るだけでこの山行は終了である。

帰路、こんな機会でもなければ登ることはない瓦斯山(485m)へ移動してみる。霧の濃い状態から小雨模様となり、次第に本降りへと変わる。いつもであれば山菜取りで賑わう瓦斯山への林道付近も、停まっている車は一台のみである。途中から支線へ入り、この山が最も近くなる地点まで車を進める。地形図を見る限りではわずかな距離である。雨天ではあるが身支度をし、意を決して頂上を目指す。この標高ともなると積雪は全く無く、無雪期の藪山である。最初薄かった笹薮も稜線へ上がる頃には太い根曲がり竹にツルが絡む本格的なものとなり、さすがにこのクラスの藪ともなると登山靴では厳しいものがある。雨天ということもあり、この辺が限界であろう。これからは山菜のシーズン、山菜を取りがてらこの山の頂上を探すというのも面白いかもしれない。楽しみは次回としよう。 (2007.5.13) 

【参考コースタイム】 ホロホロ峠・アメダス 820 → 南白老岳頂上 10:05、〃発 1025 途中10分休憩 ホロホロ峠・アメダス 1115 (上り1時間45分、下り40分)

  【メンバーsaijyo、チロロ2

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