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       ペトウトル山(1345m)

三の沢川支流から見た南ペトウトル山(2003年10月)

 1/25000地形図「然別湖」

登山道の途中から然別湖を望む
然別湖畔温泉の駐車場に車を駐める
登山口には立派な看板が立っている
“踏み跡”をたどる

 昨年の秋、道東自動車道(夕張〜占冠間)が開通、我々道央の登山者の長年の夢であった十勝地方が日帰り圏内となった。十勝地方には手頃だが未だ登っていない山が多く、特に然別湖周辺にはわざわざ札幌から出かけて行くほどではないが、時間があれば一度は登っておきたい山が数座残っている。そんな山の一つが南ペトウトル山で、8年前の積雪期に北ペトウトル山へ登ってからはダルマの目玉ではないが、そのもう一つの目玉も入れなければと、ずっと気になっていた。登山道が無ければとっくの昔に積雪期に登っていたかもしれないが、何時でも登れるといった安心感が逆に訪れる機会をかなり遅らせてしまったような気がする。今回は昨年の夕張〜占冠間の開通後、まだチームとしては通っていない道東道を利用、軽く日帰り登山でもう1つの“ペトウトル山”に目玉を入れてこようという計画である。

 札幌を朝5時出発、一路十勝清水インターを目指す。とは言っても大きく迂回する千歳へは回らず、新夕張から新装なった道東道へと入ることにする。ガソリンの無駄と考えるのは昭和20〜30年代を育った我々の貧乏感覚かもしれないが、早朝であれば新夕張から入っても時間的に大差はない。道東道を快走し、8時前には狩勝峠や日勝峠を通らずに十勝平野をひた走っている時代の恩恵には感動ものである。ただし、晴れの予報だった道央とは打って変わりこちらは霧雨模様、夏尾根登山でもなければ無駄足となるところであった。

 東西ヌプカウシヌプリの峠を通過する頃には完全に雨となるが、ここまで来てしまっては山に登らずには帰れない。公営の駐車場に車を駐め、雨具の上下を身に着けて南ペトウトル山の登山口へと向かう。ガイドブックにも載っているので、かなりメジャーな山との認識であったが、登山道はけっこう笹が被っていて、札幌周辺の遊歩道と比べれば踏跡程度と言っても過言ではない。入山名簿を覗いて見ると週末でもせいぜい1〜2組程度の入り、あまり人気はないようだ。こんな雨の日であればこの日の登山者はおそらく我々だけであろう。広い斜面の中に続く“踏跡”をたどって尾根上へと出る。

 チロロ2さんは持ってきたストックが邪魔になり、途中の目だったところにデポして行くことにする。全体的にガスがかかって視界はきかないが、然別湖の青い湖面が眼に飛び込んでくる。登山道は藪が被っていて、ひょっとしたら南日高あたりのシカ道の方がよほど明瞭かもしれない。ただし、足元だけはしっかりと刈られているため、たとえ見失ったとしても直ぐに現れるところはさすが登山道である。途中の倒木地帯では登山道を外してしまうが、藪山を歩いていると考えなければ慌てることでもない。

南ペトウトル山頂上にて 頂上を示すかのように埋まる林班界の標識

 急な斜面が続き、頂上部直下で広い斜面の中の急な一本道となる。視界がないのは残念だが、雨のせいか緑が映えて美しく、この山はかえってこんな日の方が良いのではないかとさえ思えてしまう。薄っすらもやっている様子は幻想的であり、自然豊かな東大雪ならではの奥深さが感じられる。頂上台地上へ飛び出すと、あとは頂上までのわずかなアップダウンのみである。

 頂上は小さな広場となっている。木々が邪魔して展望は利かない。ひよっとしたら正面の開けたあたりに然別湖が見えているのかもしれないが、あくまで想像の範疇である。もっとも、こんな霧雨模様の日でもあり、展望については良いも悪いもない。立派な頂上標識が立っており、いかにも然別観光の隠れたスポットといった雰囲気である。三角点はないはずであるが標石が埋まっている。よく見れば対角線状の十字となっているので、林班界を現す標石であろう。ここでは三角点の代わりに頂上を示す役目を担っているようだ。それにしても、札幌の我が家を出てからわずか5時間程度で南ペトウトル山のピークに立っているのだから時代も変わったものである。

 下山時、注意はしていたがやはりストックを見落としてしまった。三段になった伸縮ストックで、そこらの安物とは違う。「落し物として誰かに持って行かれたのだろう」チロロ2さんは簡単に諦めている様子。しかし、冷静に考えれば、こんな霧雨の中をこの藪の被った登山道に誰がやってくるだろうか?しかも、ストックを持ってすぐに下山したとは考え難い。探しながらゆっくり戻ると、わずかに戻った地点でストックが見つかった。それ見たことか! そうは言え、私も下山中には見落としてしまった。気持的には雨の情緒を楽しんでいたつもりでいたが、実は早く下山したいという思いに駆られていたのかもしれない。

 ともあれ、道東道の恩恵をフルに味わう山行は無事終了、午後には自宅に帰着、いつものように愛犬・サブローとの散歩の時間となる。今や山の世界では、十勝の山々も札幌近郊となったように感じられた。(2012.06.24)

【参考コースタイム】然別湖畔温泉公共駐車場 8:35 → 南ペトウトル山頂上 10:00、〃発 10:20 然別湖畔温泉公共駐車場 11:30     (登り1時間25分 下り1時間10分 )

メンバーsaijyo、チロロ2

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