南富良野・丸山(842.8m)
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1/25000地形図 「西達布」
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丸山を登る (Ikkoさん提供) |
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最終人家近くに車を止める | 朝の陽光を受ける芦別岳をズーム |
先週の愛別・丸山に続いて今週も別の丸山へ行ってみた。同行してくれたIkkoさんは前日も十勝地方の丸山に登っており、4山続いての丸山となったようだ。道内には60山以上の丸山が存在し、無作為に未踏のピークを探していればこんなことだってある。今回登った「丸山」は東大演習林内の丸山で、地形図を見る限りではコンタの混んだ急俊なイメージであったが、実際はのっぺりとした、動物に例えるなら牛の背中のような穏やかな山容の山であった。
十勝の丸山を踏破してきたIkkoさん、既に残り時間で偵察を終えて幾寅の道の駅で我々の到着を待っていた。ビールは冷えたものを飲みたいと現地調達を旨としている私だが、この日は所用で札幌20時発、現地到着は23時を回っていた。セイコーマートの閉店は午前0時と思い込んでいたが、これは札幌常識で、現地ではすでに閉店しており、愕然とする。山部のセブンイレブンへの買出しも検討してみたが、さすがにこれは遠過ぎる。Ikkoさんが買い出していた分を分けてもらい、この場を何とか凌ぐことが出来た。
翌朝は7時発で道の駅を後にする。ルートは丸山の西側に伸びる尾根をたどるもので、入山口の西達布の最終人家まではしっかりと除雪されており、アプローチや車の駐車場所については何の障害もない。前日のIkkoさんの偵察が功を奏した格好だ。最終人家付近は牧草地が広がっており夕張山地の山々を遮るもの無く見渡すことができる。ちょうど我々が到着した時間帯、各ピークに朝の陽が差し始め、夕張岳や1415m峰「夕張マッターホルン」、芦別岳周辺など、夕張山地独特のアルペン的で迫力ある山容を楽しむことができた。札幌からは遠いこれらの山々だが、ここからは意外に近く、写真撮影には絶好のポイントと言えるだろう。
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夕張マッターホルンは存在感抜群 |
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金麦の代役でアクエリアスを置いてみたが、いまいち… |
しばらくは牧草地の柵に沿って広い雪原を進み、途中から樹林帯へと入る。いよいよ登りかと思ったが、ちょっとしたポコであったり尾根上の削られずに残った部分であったりとなかなか本格的な登りとはならず再び放牧地の柵が現れる。さすがに2つ目以降は騙されずに右から巻いて進んで行く。尾根が若干右側へと向かうあたりから丸山が正面に現れ、深い樹林帯の登りとなる。以前に同じ東大演習林内の大麓山へ行ったが、この時に印象的だったのは一本一本の樹木の幹の太さであった。この丸山についても期待していたが、特にそんな様子はなく、少々がっかりしていた。途中何本かの作業道を通過して行くうちにやはりここでも原生林となり、立派な樹林帯となる。やはり厳寒の張詰めるような、ある意味神秘的な銀世界には自然林が似合っている。
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丸山頂上に到着 (ikkoさん提供) |
徐々に急傾斜となり、台地状の側面を登りきると傾斜が緩み頂上がぐんと近づく。一見目前の高みがピークに見えるが、そこまで進むと次の高みが現れ、さらには広い雪原となって頂上はさらに奥まったところのようだ。スキーの利点で、上下運動が少ない分だけこんな時期にはスノーシューより有利で、手付かずの雪面にトレースを刻んで頂上に到着する。いつもであれば「金麦」を被写体に工夫の一枚だが、この日は前日に金麦を調達することができなかったこともあって、代わりに手付かずのアクエリアスを置いてみた。だが、ソフトドリンクの清涼感はあるが、今一スパイスが効いていない締りのない写真となる。背景が背景だけに何とも惜しい。そうこうしているうちにIkkoさんも到着する。私としては頂上到着でこの山の登山は完結だが、彼は違う。広い雪面を丁寧に一周、写真のモチーフとなりうる材料探しが彼の目的の一つでもある。写真にはあまり詳しくない私だが、しっかりと雪をまとったタンネの大木と背景の夕張山地の山々は写真として記録しておきたい見事さを感じる。これを粗末な私の感性でどう表現するか?
将来的な課題と言えるだろう。厳冬期の山はそんな素晴らしい材料に満ちた世界、他の地域では決して見ることのできない寒冷地・北海道だけのものだ。
下りは今年から使用している150cmの短いスキー板に、新調したコフラックのプラブーツ、足首をしっかりと固定して、もちろんビンディングも固定する。下りは緩斜面や上り返しがあると、いつも開放で滑っていたが、新雪の斜面で皆が良いと言っている最良の状態で試してみることにした。さすがにスキーが苦手な私でさえ、かなり快適な下降となる。登りで悪戦苦闘した斜面ほど滑りは快感そのもので、山スキーはやはり今の時期が旬、急に上達したのではないかと錯覚してしまうほどだ。わずか30分で難なく取り付き地点の放牧地となる。ただし、スノーシューのIkkoさんもそんなに変わらぬタイミングで到着していた。スノーシューにも下りの技術があり、Ikkoさんほど熟練していればスキーとあまり変わらない速さで下れるのだろう。そうは言え厳冬期の北海道、やはりタンネの森にはスキーが良く似合っていると、私は感じた。(2014.2.2)
【メンバー】Ikkoさん、saijyo