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       股下山(820.1m)

道道から望む股下山(一週間後に撮影)

      /25000地形図余市

夕日の沢林道入口に車を停める
道道からは作業道路を上がる
作業道の横にはアメダスが設置されている

コンタ740m付近からは地吹雪状態となる

最近は、道央の登山愛好者にとって目新しい山が少なくなったのか、この股下山までもが週末には賑わう山となっているようだ。昭和53年に札幌国際スキー場が登場するまでの道道1号(小樽定山渓線)は冬期間閉鎖、今は道路脇に建つヘルベチアヒュッテも冬の余市三山への貴重な前線基地となっていた。その当時の股下山がどうだったのかは判らないが、おそらくこの山のみを目指す登山者などいなかったのではないかと思われる。ヘルベチアヒュッテから白井岳へは北東尾根に取り付くが、この尾根上の1020mピークから派生する枝尾根上のコブが股下山だ。要するに白井岳傘下の一つのコブに過ぎない山だが、地形図上に山名があるということで現在は小さくても一国一城の主となった山とでも表現したら良いのかもしれない。股下山の山名については「この山の北方約1kmのあたりで、小樽内川が大きい支流・春香沢との広い二股を作っているため二股の下(地形図上で南は下)にある山という意味で名付けられた」(さっぽろ文庫 第48巻「札幌の山々」・安田成男氏)とのこと。

取り付き地点はその二股で、奥手稲小屋へのアプローチとなる夕日の沢林道入口である。ここは何時も除雪されていて、週末には多くの車がこのスペースを利用している。そのほとんどが夕日の沢へ向かう登山者のものと思われる。登山準備をしている我々の横にちょうど車がやって来て、聞けば股下山へ向かうとのこと。荒れ模様の天候だが、こんな日でも入山者があり、さすが札幌近郊の山、と驚かされる。我々にとっては初めて登る山でもあり、彼らに登山ルートを尋ねてみたところ、道道を少し戻った地点から取付くとのこと。であればと、一足早い我々もラッセルの効率化を考えて彼らに合わせて道道を少し戻って取付くことにする。付近の地形は段丘となっていて、道路からは段丘崖といえば少し大げさだが、急斜面となっているので取り付きづらい。

250mほど定山渓側へ歩くと地形図上の点線で示された歩道の入口となる。作業道なのか段丘上へと続いているようだ。段丘上は広い樹林帯となっていて道路の横にはアメダスが設置されている。さて、いよいよ本格的なラッセルの開始かと意気込んで進んだところ、すぐに前日のものと思われるトレースが無造作に何本か現われた。日曜日のみが休日の私にとって、わずか1日前に付けられたトレースは何とも残念で、正直なところ興ざめさせられる思いがある。おおげさな言い方をすれば、冬山独特のピュアな景観をだいなしにされたようにも感じられるが、それは私の我がままに他ならない。こんなことも私が人の登らない山に魅力を感じる一つの要因である。とはいえ、トレースの横を平行してラッセルするのもバカらしく、ここはおとなしくトレースをたどることにした。

薄っすらとつげ山の姿も見える 股下山頂上に到着

林間の平坦な一本道を進んで行くと前方が急に斜面に変り、1本にまとまったトレースはそのまま真っ直ぐに上へと向かって行く。どうやら、このトレースは下りの時に付けられたもののようだ。大きくトレースから外れて、右へ左へとルートを変える。コンタ740mのポコは巻かなければならないので、心持ち右は小さく左は大きくジクをきって行くうちに大きく開けた大斜面の上部となる。ほどなく前述のトレースと合流するが、稜線上は地吹雪状態のため、稜線の風下側を巻く形で進んで行く。稜線上にはコンタで表現されていないアップダウンもあり、深雪の状態でもその方がずっと効率がよい。地吹雪の合い間につげ山の姿がうっすらと現われる。霧や降雪の時には山影が大きく見えるといわれているが、なるほど実際よりはかなり大きく、見事な姿に感じられる。余計なアップダウンで無駄なエネルギーは使いたくないので、ルートを慎重に選びながら頂上を目指すが、結局はコンタで表現されていないポコで大きく下る破目となる。下手くそなルートどりは後続者にとっては迷惑そのものだ。とはいえ、トレースが付いているだけで正式なルートと勘違いする登山者も大勢いるようなので、これくらいのところは勘弁してもらおう。

頂上直下で再びトレースが現われる。この辺りは頂上の風下となって、休憩場所としてはすこぶる良い。ここからはひと登りで股下山の頂上となる。よく見れば、M氏作成の句入りの山頂看板が樹木の高いところに取り付けられている。大雪のニュースが巷に流れる今年の冬だが、この周辺の積雪量は意外に少ないようだ。仮にこの句を味わおうという登山者がいるならば、お気の毒さまとでも慰めることにしよう。あまり期待はしていなかったが、予測通りの樹林帯で展望はない。だが、以前からこの山は気になっていたので、初めてここを訪れたということでそれなりに満足感は得られた。

下りの滑りは私にとって二の次だ。この山で滑りを楽しむことができるのはコンタ740mからの大斜面と、いわゆる段丘崖といわれるアメダス設置地点から道道までの短い急斜面くらいのものと、下山後に駐車場で出会った山スキーマニアの登山者と談笑する。彼が勧めた滑りが楽しめる斜面とは白井岳北東尾根・1020mピーク付近のようで、Google Earthの航空写真で正確な位置と大きさが確認できるとのこと。白井岳への古のルート周辺のようだ。山名があるということで今回は股下山のみを登ったが、次回はもう少し足を伸ばし、大斜面での豪快な滑りも楽しみたいものである。(2011.1.30)

【参考コースタイム】夕日の沢林道入口 P 8:30 股下山山頂上 10:05、〃発 10:25 → 夕日の沢林道入口 11:05 (登り 1時間35分、下り 40分 )

 【メンバーsaijyo、チロロ2

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