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            落岳(1003.5m) 

帰路、林道から遠かった俣落岳を振り返る

/25000地形図 「俣落岳」「第二俣落」

俣落岳への最後の登り

除雪終点地点に車を止める

一日目は林道終点近くでC1とする

根室地方北部には標津岳、サマッケヌプリ山、俣落岳、武佐岳など1000mを少し越えるピークが並んでいる。この山域は周辺に阿寒や知床の有名な山々があるためあまり目立たないが、これらの山々を眺めるには格好の位置にある。また付近の山々は総じて低いため、スケールの大きい、正に北海道地図そのものの展望が楽しめる。4座のうち標津岳と武佐岳には夏道があり、ガイドブックなどでも紹介されている。夏には登山者で賑わうこともあるが、サマッケヌプリ山と俣落岳はほとんど無名と言ってもよいほど知られていない。ましてや俣落岳はネーミングの悪さも災いしてか、この山単独で計画したという話しはほとんど聞いたことがない。今回は遠方でもあり、正月のまとまった休日も有効利用したいため、サ除雪終点地点に車を止めるマッケヌプリ山と合わせて計画した。アプローチとなる俣落川本流林道は約10kmの長さがあり、両山のピークを効率よく踏むには、この10kmの道のりをラッセルして林道終点まで行かなければならない。

 出来るだけ車で行こうとして車が埋まってしまい困っていたところ、地元のスノーモビル愛好者のグループが現れ、車の脱出を手伝ってくれる。登山者とスノーモビルは相性が悪いと言われているが、決して敵対すべき相手ではないと思いつつも、好感が持てるかと言えば、持てないのも事実である。彼らも我々登山者との相性の悪さを知ってか、近寄って来ることは滅多にない。私は、ルール(立入禁止区域へ入らならない)を守ってくれさえすれば、共存できると思っている。

 林道入口で方向を間違える。何となく怪しいとは思ったが、林道が下り始めるまで地図も磁石も見なかったため気が付かず、磁石を出してみたところ進行方向が90度違うことに気が付いた。慌てて戻るが4050分のロスである。俣落川本流林道入口には林道地図が載っている看板があり、これを確認してさえいれば間違うことはなかった。どんな時でも現場にある看板の類はしっかり確認することが重要である。

俣落岳頂上に到着 武佐岳を望む
斜里岳は大きく、美しい姿を見せてくれた 標津岳(中央奥)とサマッケヌプリ山(右)

 林道ではある程度のラッセルを強いられることは覚悟していたが、スノーモビルの通った跡がどこまでも続き、全くラッセルがなかったのは幸運である。林道10km間の標高差が約180mと、札幌市内の傾斜とあまり変りがない。普段背負い慣れない3泊分の装備が重く感じられ、途中からの荒天模様とあって気持が沈みがちになる。予報では翌々日は、二つの低気圧がオホーツク海で一つになり、台風並に発達するとのこと。2日間の山行期間で、期待出来るのは1日だけである。そうなると確実なところで、地形的にもアプローチの面からも、林道途中からでも取り付ける俣落岳一本に絞ることに変更する。その晩は標高330(林道入口から約7q地点)の林道が左岸から右岸へ移る橋の手前でC1とする。沢水が利用でき、水作りが省略できた。

 前日の疲れのため約1時間寝過ごし、予定より遅れて出発する。この日の天気は晴天である。直ぐに林道から尾根に取り付く。標高400m付近は植林地となっていて作業道跡に惑わされ易いが、地形を見ながら高い方へ進んで行く。植林地を抜けると視界が開け、サマッケヌプリ山と標津岳の美しい大きな姿が見え、頂上からの展望を期待させてくれる。野ウサギの少し大き目の足跡が点々とあり、そのユーモラスな姿を想像するだけで心も和む。標高500m付近は傾斜も緩く、この足跡は広範囲に渡っている。付近には多くの個体数が生息しているのであろう。

俣落岳への急斜面を登る

 標高600mからは急傾斜である。大きくジグをきって登って行く。この山行中、最大の傾斜である。雪が降り積もっていれば、雪崩る可能性もあるが表層雪崩が起こるほどの積雪量も層もない。標高750mを越えると徐々に傾斜が緩くなり、一息付けるところである。標高800m付近からは這松が現れ、緩斜面である。尾根筋まで上がると、反対側には武佐岳の険しく美しい山容と、野付半島の特徴的な姿が望まれる。さらに進むと待望の白く輝く俣落岳のピークも見えてくる。最後の標高差約50mは少し傾斜を感じるが、もう一頑張りである。

 頂上からは360度の展望が利き、実にすばらしい。西側には前述の標津岳、サマッケヌプリ山始め、阿寒周辺の山々や遠く東大雪や北大雪の山並みまで見渡せる。北には斜里岳の大きく険しい姿が、また北東側には海別岳、羅臼岳を始め知床の山々。東側には野付水道を挟んで国後島の爺爺岳まで見渡すことが出来た。正に道東の第一級の展望台と言っても過言ではない。名峰も近くに居ればただの岩と土の塊に過ぎないが、見るところから見れば心洗われる名峰なのである。その意味でここ俣落岳は十分訪れるに値するピークである。

 展望への名残惜しさを残し頂上を後にする。シールを外し、スキーも楽しむことが出来た。特に登りで一番苦労した、標高750600mの滑りは楽しい。後は登りのトレースを追いながらC1へたどり着く。翌日の荒天予想を考え、途中日没となりそうであったが、時間がかかっても車まで戻ることにした。翌日の釧路地方北部は大雪警報が出され、各峠が通行止めとなる状況となった。(2003.1.2〜3)

頂上から知床の山々(左から海別岳、遠音根別岳、羅臼岳)

【参考コースタイム】

1/2 除雪終点(駐車地点) 10:23 → …林道を間違える…林道入口 11:14 → 標高330mC1 14:28  

1/3  標高330mC1発 7:58 → 急登終了地点(標高800m) 11:06 → 俣落岳頂上 12:00、〃発 12:10 → 標高330m1 13:34、〃発 14:08 → 除雪終点(駐車地点) 16:42

【メンバー】saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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