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       丸山(1691.9m)

幌加付近の国道から見る東大雪・丸山

   /25000地形図「二ペソツ山」「ウペペサンケ山」

途中からはウペペサンケ山が望まれた
丸山最高地点には虫が多く長居は出来なかった
望山橋の先には割と広い駐車スペースがある
コンタ1050m付近の函状の滝
コンタ1050m付近の函状の滝
噴泉塔のある灰色の沼
噴泉塔のある灰色の沼
噴泉塔付近にはエゾシカが住着いている

ネット時代の情報の有難さを十分に感じさせてくれる山行であった。丸山は東大雪の中では比較的奥深くに位置し、頂上へ至る登山道もないことから、一般的にはあまり登られることが少ない山である。上士幌町指定の天然記念物「丸山噴泉塔」に代表されるように、山域唯一の活火山であるが、認定されたのはわずか15年ほど前とのことで、近いところでは明治時代にも噴火があったそうだ。秘境のイメージが強い東大雪の中に在っては以前から気になる山であったが、アプローチの情報が少なく、沢からの遡行には十分な時間が必要と思われた。

ここ数年、この山を訪れたという記録がネット上を賑わすようになり、かなり身近に考えられるような状況が続く。最初に登場したのが「甘藷山荘」あまいものこさんの記録である。五ノ沢を噴泉塔まで進み、一度引き返し、翌日に六ノ沢から登頂している。山行記録には彼らしく、噴泉塔や濁った流れの理由等が細かく解説されており、大変興味深い。2年後の同人マタルの記録では望山橋付近から入渓、コンタ840〜910m付近の五ノ沢の核心部と思われる滝の連続を真正面から突破、噴泉塔へ至っている。その後、「一人歩きの北海道100名山」sakag氏は地元・上士幌町に問い合わせ、噴泉塔へのルートを確認して入ったが、東面の詰でハイマツの海へ突入、度重なるアクシデントのため登頂を断念、翌年のリベンジで登頂を果たしている。北の時計」EIZI@名寄さんは閉じているゲートから望山橋までの林道を自転車を駆使し、出発の遅れを持ち前の体力で取り戻して頂上まで到達している。三者三様の登山スタイルを大いに生かした山行の状況がネットを通して伝わってくるから面白い。めったにないことだが、今回はネット上の記録をすべて印刷し車に積んで行った。

普通の乗用車では終点と思われる、望山橋を過ぎた所の駐車スペースに車を停める。望山橋付近の林道は雨裂が走る悪路であるが、そこ以外は概ね整備された林道である。数年前にこの林道起点付近のホロカ山の山麓でヒグマと遭遇した記憶は新しく、何となく気持が萎縮してしまうから情けない。九十九折のような林道が続き、標高を上げて行く。途中、ウペペサンケ山の小高い姿が望まれ、自然豊かな東大雪の雰囲気が十分に満喫できる。林道は一部完璧に崩壊しているが全く危険はない。崩壊地点より先には蕗が生い茂っているが、車が入れないためであろう。やがて枝沢と合流するが、標識が巻かれていたこともあり、ここで完璧にルートを間違えてしまう。甘藷山荘の記録をしっかり見ていればこんな間違えはしないところであったが、枝沢を五ノ沢と勘違いしてしまった。進んで行くうちに水流が細り傾斜が増してきて、あまりに早い源頭にルートミスを気づくが、水流の多い枝沢であれば時間的にも体力的にもロスは大きかったかもしれない。枝沢を引き返し、仕切り直しである。その後、荒れた林道は続くが踏み跡はしっかりしており、入山者は意外に多いようである。

三等三角点「丸山」はハイマツ帯の中にあった 丸山最高地点付近には“ウコンウツギ”が多い
丸山の頂上台地に咲く“エゾコザクラ” 丸山最高地点付近の岩に貼り付く“イワウメ”

林道は五ノ沢の核心部を巻いて、緩やかに沢へ合流し消滅する。後で記録を読むと、沢を渡って右岸にさらに続いているとのことであるが、荒れようを考えれば、沢を進んでも大差はないかもしれない。泥地には登山靴の足跡が残っているが、この山は基本的には沢からのアプローチであり、頻繁な渡渉を考えれば、やはり沢靴である。濡らしてはならない登山靴では苦労の程が容易に想像される。コンタ1050m付近の函状の滝は直登も視野に置いて臨むが、一段目の上部は雪渓に埋まっており、不安定な雪渓上の通過は危険と判断、記録にあった左岸の巻き道から上流へ抜ける。ここまで来れば噴泉塔は直ぐである。泉塔下流は一見雪渓のような白い噴出物で覆われているが白く柔らかい滑床のようである。ここから右股へ入るが、水流も岩も黄赤色の泥に染まっている。左側から流れ落ちる通称“赤い滝”を過ぎると普通の沢水となる。

途中、一ヶ所34mの滝を通過するが、滝というほどの登りではない。1300m付近の二股は記録にあったため、水流のない左股へ入るが、入口には標識が付けられている。あまいものこさんの言う通り、水流が無いと考えれば確かに枯沢の方が沢底が低く本流と言えるかもしれない。この沢の左岸側に鹿道なのか踏跡なのかは判らない踏み跡が続く。横滑りしそうな踏跡であるが、スパイク地下足袋のため難なく歩ける。涸れた沢底には潅木が生い茂り、歩き辛そうである。この頃から晴れていた空模様も曇り空となり、背後に見える東丸山も頂上部がガスの中に隠れる。

途中、傾斜のある斜面を両岸に逃げながら進むと徐々に傾斜は緩み、頂上台地となる。情報によるとハイマツ帯の踏跡の脇に三角点があるとのこと。一番高そうなところへ入って脇を探してみるが、意外と簡単に踏跡の右側で斜めに傾いた三等三角点「丸山」を見つける。付近はハイマツに覆われ、ガスともなれば、全く視界は利かない。一度ハイマツ帯から戻り、今度は最高地点を目指す。南東側の潅木帯の踏跡を辿るとガスの中に最高地点が見えてくる。ネット上の写真では小高く見えた最高地点も実際に自分の目で確かめてみると、意外にこじんまりとした感じである。しかも明瞭な踏跡が頂上へと続いている。すぐに踏跡を辿り、難なく最高点ピークに到着である。頂上と呼ぶに相応しい感じであるが、残念なことにここも視界は利かず、楽しみにしていた東大雪の山並みも全く見えない。しかし、イワウメが咲き乱れ、ウコンウツギも可憐な姿を見せている頂上は、やはり自然豊かな東大雪のピークである。頂上ビールは正に情報化時代への乾杯でもあった。(2005.7.3)

【参考コースタイム】五ノ沢林道・望山橋P  6:55 → 途中、枝沢でロスタイム →  コンタ1050m函状の滝 9:35 → 噴泉塔 10:05 → 丸山三角点ピーク 12:15 → 丸山最高地点 12:35 → 頂上の肩 12:40、〃発 13:00 → 噴泉塔 14:05、〃発 14:20  → 五ノ沢林道・望山橋P 16:00

メンバーsaijyo、チロロ2

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