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      丸子(896.2m)

最後のコルからやっと丸子山が見えた

 /25000地形図「神楽岳」「瑠辺蘂岳」「芦 別」

ゲート前に車を置く
鏡岳への途中〜ヒグマが登ったと思われる樹木  (Ikkoさん提供) 細工してみたがシールを付けることが出来なかった
ヒグマの爪痕 細工してみた
土場からは尾根に沿って作業道跡を利用する 
鏡岳到着のIkkoさん

  丸子山と言えばつい「ちび丸子ちゃん」を想像してしまうが、同じ山域には初子山というのもあって、両山ともに点名が山名となっている。さすがにアイヌ語地名とは思えないので、何かしらの女性の名がおそらく標石名となったのだろう。そう考えれば、明治・大正期の「ちび丸子ちゃん」が山名となった可能性もある。もっとも、その当時には「ちび丸子ちゃん」は存在しておらず、点名となった丸子さんの幼少期ということになるだろう。丸子山は奥深くて山容のわりには意外と登頂が難しい。この山には5年ほど前に一度チャレンジしている。この時は深雪ラッセルとなりながらも主稜線まで登ったが、加えての悪天候のために中止していて、今回はその時の宿題の後片付けが目的である。

班渓幌内山の特徴的なコブも間近に (Ikkoさん提供)
丸子山への最後の登り

 芦別の「道の駅スタープラザ芦別」でIkkoさんと落ち合う。南岸を北上する低気圧の影響で季節はずれに気温が上昇気味、なんとも不安定な天候である。今年の気象の傾向として、沿海州から移動してきた前線を伴った低気圧と南岸低気圧とが東の海上で1つとなって猛烈に発達するケースが多く、悪いことに偏西風の蛇行によってそれが居座ってしまうからたまらない。いずれにしても午前中勝負である。この日も神楽岳、神楽山、川上山、向山の4山を終えて来たIkkoさんと夜更けまでエンジンのかかった車の中で酒を飲む。Ikkoさんの気力、体力には正直言って脱帽である。

  車窓をノックするIkkoさんに起される。一瞬、何だ? と思ったが、すぐに丸子山登山だったと気が付く始末。ここ数年の自分の気力の衰えを感じる。そのまま片付けもせずにコンビニに寄って現地へと向かう。このだらしなさはマイカーならではの良さなのかもしれない。ルートは5年前と同じ国道452号線の未開通・終点付近からである。今回は試してみようとラッセル用にとスキーの先端に100均で買って来た定規を取り付けられるよう細工して来た。今風の滑り優先のスキー板はラッセルといった冬山登山の大事な要素を度外視しているからだ。石井スポーツに立寄って先端に穴を二つ開けてもらったまでは良かったが、肝心のシールの取付けを見落としていたため、残念ながらこの試みはこの日のものとはならなかった。まだまだ改善の余地がありそうだ。

自分のスタイルに合った道具は自分で創作しなければならない。今の山の道具屋は一見もっともらしくしゃべっているが、売れ筋の流行しか追っていない。その点で言えば穴を開けてくれた石井スポーツは、昔ながらの我々の気持を大切にしてくれているように感じた。山道具は使っているものにしか自分にとっての使い勝手の良さなど判るものではない。流行は流行でしかなく、それを押し付けるような“ご指導”には毎度へきへきしている。たとえそれが失敗であっても、別のものを買いなおせば良いだけの話である。

 ゲートからは除雪のない林道を進む。以前の怪しい記憶では、林道は自然に消えて行ったように感じていたが、GPSを持っているIkkoさんは少し手前から尾根に取り付く。少々のアップダウンを繰り返すうちに土場へと出る。尾根の右側へと続く林道もあるが、ここからは尾根へと乗るのが良さそうだ。左側には尾根筋に沿って作業道が通っており、この作業道は何となく記憶にある。途中、何ヶ所かで倒木が道を塞ぎ、現在は全く利用されていない様子。そのまま進んで行くうちに右に大きくカーブを切って尾根上へと上がる。樹林帯の広い斜面を登り、頂上直下の長い斜面を登りきると鏡岳の頂上台地上に飛出す。もっとも、頂上台地とは言っても支稜線上のコブといったイメージである。頂上は少し小高くなったところで視界はまるできかない。

丸子山頂上と「金麦」
念願の丸子山に到着  (Ikkoさん提供) 丸子山頂上と「金麦」

  次のコブを左に巻いて、主稜線へと向かうコルへと下る。5年前の時はこの辺りで深いラッセルを強いられた記憶があるが、この日のラッセルは踝程度で、全く無いと言っても良いくらいだ。急いでスキーの先端対策をする必要もなかったようである。ただし、スノーシューともなるとやはり上下運動の分だけエネルギーを要しているようで、昨日の疲れからかIkkoさんは遅れ気味となる。主稜線上への登りでは見事なモンスターを見た記憶があるが、この日は南風が少し強い程度で、普通の700〜800mの景観、少しがっかりだが仕方がない。882m標高点のある見事な小ピークを右に見ながら目指す丸子山とのコルまで進む。遅れてやってきたIkkoさんはザックをここに置いて行くとのこと。ガスっているわけでもないしGPSもあるので、この際軽量化が良いだろう。Ikkoさんはそもそもが今まで単独でやってきた人間、必要と感じる装備は全て持ち歩いている。彼特有の体力養成の意味合いもあるのだろう。

 空身となったIkkoさんは速い速い。今度は私が必死で丸子山への最後の登りへ。稜線上はまともに強風を受けるので私は風下側の斜面をトラバース気味に頂上へ。頂上は広い雪面の東の端っこで、奥まったイメージとは違って上川盆地や旭川市街が広がっており、穏やかな感じの頂上景観であった。幌内山地の山の中では唯一気になっていた山だったこともあり、例によって雪面に「金麦」を置いての記念の1枚。5年間の重荷を下ろした快感に早速それをやっつける。“五臓六腑に染み渡る”とはこのことだろう。下りはコルから登り返した地点でシールを外し、あとは快適な滑りで下山となる。(2015.2.8)  

丸子山頂上付近からのパノラマ写真 (Ikkoさん提供)

【参考コースタイム】カナディアンワールド・林道入口 7:30 → 鏡岳 9:20  → 丸子山頂上 10:45、〃発 10:55 → 鏡岳 11:35 →  カナディアンワールド・林道入口 12:45  (登り3時間15分、下り2時間)

メンバーIkkoさん、saijyo

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