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      太郎山(534.3m)

1/25000地形図  「登別温泉」 

地元で掛けたのか、簡単な標識も見られる
メップ越林道を約4km入ったところが登山口となる
藪が被った刈り分け道

観光地として名高い登別温泉の東側に位置する倶多楽湖、その明瞭なカルデラ地形の東側最高地点が標高534.3mの窟太郎山である。Web上で検索してみたところ、当HPとリンクを貼っている「アソビホローケル山」のサトマサさんの山行記録が引っかかってきた。全く彼らしい山域密度の濃さで、山選びのおもしろさや意外性ではやはり特化しているようである。この山には一等三角点が設置されているが、山自体は倶多楽湖の外輪山の一部でしかなく、あそこが窟太郎山頂上と指呼することはかなり難しい。もっとも倶多楽湖を含むカルデラ全体を一つの山と考えれば、かなり大きな山ともいえるが、その場合「のぼりべつクマ牧場」がある四方嶺(549.3m)が最高地点となってしまう。ともあれ、幹線道路から目にすることが多い外輪山を見る限り、この窟太郎山がこの大きな山の頂上といってもよいような気がする。

登別温泉は全国的に有名であるが、山麓に位置する虎杖浜温泉は庶民的で、昔から地元に人気の温泉である。窟太郎山の語源を調べてみると、この虎杖浜(こじょうはま)の名の由来と倶多楽湖、窟太郎山、どれも同じ語源であることをWeb上で知った。すなわちkuttar はアイヌ語で「イタドリ」という意味で、漢字を宛てると「虎杖」となるそうである。道内の藪山であればフキとイタドリ、そして根曲がり竹が藪の代名詞ともいえるが、その中でこの地区ではイタドリが目だって多かったということであろうか。

アプローチとなる道道350号線(倶多楽湖公園線)は冬期には閉鎖される路線である。以前に雪が硬くなる四月を狙って窟太郎山ピークを目指したが、道道のゲートから外輪山・峠までの歩きで嫌になった。鍵を入手した車が歩行者は邪魔とばかりに平然と走行している。路上に多少なりとも積雪があれば登山気分も出てきたであろうが、この時は閉鎖解除後の再訪を考え、あっさりと撤退している。一度計画し敗退している山を「宿題」として、いずれは登ろうと考えているので、窟太郎山も「宿題」をかたずける気分での計画である。今回は峠まで車を乗り入れることが出来たが雨降り後であり、しかも濃いガスがかかり一寸先も見えない状態である。長い外輪山の稜線上の濡れた藪を漕ぐ気にもならず、サトマサさんの山行記を思い出し、刈り分けを使って頂上を目指すことに予定変更である。

頂上もガスの中 この日は窟太郎山は見えず終い

道道350号線のアピンカーブからメップ越林道へ入る。ピンクテープで標された刈り分けを幾つか過ぎるが、確か入山口には標識があったとの記述を思い出し、さらに奥へ進んで行く。行過ぎてはいないだろうかと何度か車をUターンさせ、最後には歩いて標識を探してみることにする。約10分で分岐となり「窟太郎山へ」の看板を見る。しっかりと調べて入れば簡単に行き着く登山口であったが、もともと藪漕ぎにての登頂しか考えていなかったため、何も調べずに入ってしまった。後で点の記を見てみると、平成14年に更新されたルートとほぼ一致していた。

刈り分けは意外に踏み込まれており、おそらく地元の登山者には頻繁に登られているのであろう。頂上へ向かって直線的に続いていて、けっこうな急登である。さらに、ところどころで藪が被っていて、特に倒木のあるところでは判然としない。林道からはあまり聞こえなかった道央自動車道の騒音も、標高が上がるにつれ大きく聞こえてくるようになる。そもそもは林道から近く、単に700〜800mも藪を漕げば外輪上には顔を出せそうな山である。深い霧の影響か、木々の枝から雨のように雫が降り注ぎ、ずぶ濡れとなりながらも途切れそうな刈り分けを辿る。頂上付近には大きな倒木があり、踏み跡が判らなくなるが、藪をひと漕ぎもすれば立派な一等三角点のある頂上となる。Web上でも樹木に邪魔され、視界が利かないとあったが、この日はガスもかかり何も見えない。晴れていれば樹木の隙間から、青々としてさざ波がきらめく倶多楽湖の湖面が見えるのかもしれない。外輪山の一点であり、およそ頂上といった感じには程遠く、魅力にも乏しい。ただし、いつも車窓から眺めていた山であり、登ったという充実感は短い行程にも係わらず感じることができた。

後日、このHPの掲示板にキンチャヤマイグチさんから投稿があり、ほぼ同じ時期に東側のさけ・ますふ化場から登ったとのことである。途中、ヒグマ?もしくはタヌキの溜め糞と遭遇したそうであるが、これも窟太郎山の一つの顔であり自然な姿である。実際、私が選択したメップ越林道からのルートでは登山としては少々物足りなく、山を味わったとは言えない。何よりも山に対して申し訳ないような気がする。山域の良さをじっくり味わおうというのであれば、やはり麓からのコース選択がベストとなるだろう。次回はぜひ、虎杖浜温泉からの新雪トレースと決めたいところである。 (2006.11.5)

【参考コースタイム】メップ林道・登山口 8:40 → 窟太郎山頂上 9:30 、〃発 9:45 → メップ林道・登山口 10:10

  【メンバーsaijyo、チロロ2

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