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      クオベツ(506.6m)

 

1/25000地形図川 端

荒れた感じの林道途中に車を止める
林道沿いにアカネスミレが咲き乱れていた

 ガイドブック、その他の山情報ではほとんど見かけず、およそ登山の対象からは程遠いと思われる山の一つに、由仁町と厚真町の境界に位置するクオベツ山がある。近くに登山の対象となる山があれば、まだ地形図上でもお目にかかる機会があるかもしれないが、リンクルミリオンの道路地図を見てもこの山域には“名のある山”自体が北側の於兎牛山とこの山くらいしかなく、登山の空白地帯と言ってもよいくらいである。低山ではあるが、道内を南北に分割する分水嶺の一山であり、日本山岳会北海道支部がJAC創立100周年記念として行った中央分水嶺踏査では、このピークも踏まれていている。

初めて見た新しい三角点標識

 意外に奥深いこともあり、アプローチとなる林道の雪が消えるこの時期を待っての入山である。樹海ロード・川端から入り、クオベツ貯水池へと向う。釣り人らしいオフロード車が二台停まっているが、我々はさらに奥へ進んで行く。6kmほど入ると三叉路となり、そのまま進めばクオベツ支線林道となるが、施錠されている。地形図上、クオベツ山へ真っ直ぐに向う沢沿いの林道もあるが、こちらは現地で看板を見たところ総延長1.6kmとされており、目指す山へは届かないし、いくらも進まぬうちに林道そのものが流され、かなり荒れた感じとなっている。

 もう一本、左側へ入って行く林道があり、こちらは少々遠回りであるが施錠されていない。傾斜が急な林道だが、恐る恐る入ってみる。少々荒れた感じはするが1kmも入っただろうか、さすがに帰路を考えると心配になり、後は歩くことにする。降りてみると意外に路肩がしっかりとしており、そのまま車で走り続けてもよかったようである。付近はトドマツの植林地となっていて、車上から見るよりは細目に作業されていて、植林作業は現在も進行中といった感じである。ヘアピンカーブを過ぎると標高が上がり、南空知の平野も遠望できる。於兎牛山からの稜線上の林道が合流する辺りからはさらにしっかりとした林道となっている。大方の作業用車両は於兎牛山方面からの尾根上の林道を乗り入れて来るのかもしれない。

クオベツ山頂上に到着
頂上からの展望(左から、シューパロ岳、芦別岳、夕張マッターホルン、滝ノ沢岳)

 退屈な林道歩きが続き、クオベツ山が近づく。林道は頂上の東側をかすめるように伸びていて、斜面は植林地となっている。植えられているトドマツの幼木の間を縫って頂上へ向かうことも可能だが、頂上に林道が最も近づく南側から回り込むことにする。さて、ここが一番近いぞ!と思う地点まで来てみると、頂上へ向かって薮が少々被ってはいるが刈りわけが続いている。50mも進んだだろうか、三角点の位置を示す真新しい黄色の標識を見る。あまりにあっけないクオベツ山の頂上到着であった。結局、登山らしい登山は何もしなていない。99%林道歩きであるが、頂上は東側が急斜面のため、夕張山地の良い展望台となっている。夕張岳や芦別岳はじめ、夕張中岳や夕張マッターホルン、シューパロ岳、滝ノ沢岳と、普段はあまり目にすることのない山々も望むことができる。また、千歳市街や新千歳空港も見え、別の角度からの眺望は楽しい。

 下山時、林道の途中に「北海道胆振森づくりセンター」の監視車が停まっていた。休日であるにも関わらず、監視に当たっているようである。いろいろと盗掘が多い昨今、道内産の木材が再び脚光を浴びていることもあり、センターとしては自衛策をとっているようだ。また、数日前には恵庭の山林で山火事が発生しており、入林者による野火への監視もあるのかもしれない。奥深い森林帯では、ある意味で、その自然を生かすも殺すも入林する側一人一人の胸三寸にかかっている。森林は地球環境のためには極めて重要で、それを維持することは温暖化問題が切迫する今日ではかなり差し迫った問題といえる。我々が当然のように享受してきたこの環境、次の世代へつないで行くためには、入山者一人一人がモラルを持って考えなければならないようである。それは正に今を生きている我々にとっての責務であると感じた。(2008.5.11)

【エゾシカの角】

山中でエゾシカの角を拾った。春先、雪解け前には自然に抜け落ちると言われている。手に取ると少々グロテスクで、かなりの迫力を感じる。最近、注目を集めるようになったフラワーアレンジメントで生かせぬものかと、その道に長けた職場の同僚のところへ持って行く。ある意味、強さの象徴ともいえるこの素材、全く逆の素材である生花と、いかに調和させるかが腕の見せ所といえる。30分も掛からぬうちに私の目の前に現れたのが右手の写真である。この世界は感性がすべてなのか、バランス・色合い、素材に対する創造性など、そのいずれもが、いとも簡単にクリアされていた。

【参考コースタイム】 林道途中P 8:55 クオベツ山頂上 10:20、〃発 11:10 → 林道途中P 12:35  (登山時間;登り1時間25分、下り1時間25分)

メンバーsaijyoチロロ2、チロロ3(旧姓Naga)

 

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