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 国境山(982.1m)

帰路、高樹橋から見た国境山

1/25000地形図 「幾 寅

クマザサ斜面を登る
国境山頂上付近からは晴れた落合付近が見えた
雨のため待機 道の駅「自然体感しむかっぷ」にて
ゲート前の人家に車を止めさせてもらう
ゲート前の人家の飼い猫 (Ikkoさん提供)
入山口の小沢には昼過ぎにやっと到着

  旧国名「石狩」と「胆振」、現在の南富良野町と占冠村の間には狩振岳(1323m)、両国山(758m)、国境山(982m)と、三つの境界を示す山名がある。どれも点名が山名となったようで、付近の地形が微妙で、分水嶺を明瞭に示したいという意味もあって、このような点名となったように思われる。ただし、明治・大正期にどのような経緯で点名が決められたのか、その真相は判らない。国境と言えば国際関係だが、陸地で他国と接しない日本の国土の場合は全てが旧国名である。私見で言わせてもらえば“くにざかい”と呼ぶ方がふさわしいように感じる。ただし、「雪国」(川端康成著)の冒頭についての読み方論争と同じで、どちらが正解というものでもない。

  先週末に雨で中止となった国境山だが、再びIkkoさんのお誘いを受けて計画することになる。ところが今週もまた雨、集合場所の占冠の道の駅「自然体感しむかっぷ」で携帯の雨雲レーダーとにらめっことなる。当然、朝一番で出発したいところだが、雨雲が低く垂れ込め、車のフロントガラスの大きな雨粒を見ていればさすがにそうも行かない。正午過ぎからは晴れ予想となっており、結局、二時間遅れで道の駅を出る。この日の行動予定は雨のうちは落合岳、雨が上がる昼過ぎからは本命の国境山を目指すというもの。占冠村から南富良野町へと抜けるルートは三つ、金山トンネルを通る国道237号線と上トマム〜落合、そして幾寅〜幾寅峠〜下トマムである。いずれも昔はアイヌ人が生活のために利用していたルートのようだが、19世紀前後には砂金採取人が頻繁に行き来するようになったようである。金山という知名もそんなところから来ているようだ。我々は国境山へは最短の、下トマムから幾寅へと抜けるルートへと向かうが、10月上旬をもって通行止めとなっていた。結局、トマムから落合を経由して幾寅に到着したのは10時半であった。

 道道1030号を利用して登山口の幾寅峠へと向かうが、こちら側も幾寅市街から約2.5kmの地点で通行止め、ゲートから先は歩かなければならないようだ。ゲート前には人家が一軒、沢山のネコを飼っているのが印象的だった。聞けばゲートの先で何か作業をやっていて、車がはいっているとのこと、ゲートの開け閉めに邪魔にならなぬよう、猫に気をつけながら、人家の敷地内に車を止めさせてもらう。小雨の中、舗装された道路を約6.5km先の落合峠へと向かう。陽の短いこの時期であればとても落合岳まで歩いている余裕などない。この道路は石勝高原幾寅線と呼ばれ、昭和58年に道道に昇格している。全線開通が期待されてはいるが、今のこのご時世ではそれも難しいかもしれない。

 舗装が途切れてからは砂利道歩きとなり、大きくカーブしながら峠へと登って行く。国境山はそう遠くはないのだが、歩いて行くにはさすがに遠い。しかも緩やかな登りとあっては予想以上に時間を費やす。結局、落合峠を過ぎて予定の小沢出合に到着したのは昼過ぎで、おかげかどうか雨はすっかり上がる。かなり出遅れてしまったが、いよいよ登山開始である。雨上がり直後とあって小沢の水量は多いが、普段であれば枯れているかもしれない。この時期の主役はやはりスパイク長靴で、多少水量が増えてもOKなのが良い。入って間もなく古い作業道を通過、直ぐに伏流となって枯沢状態となる。その枯沢も直ぐに三方が笹斜面の源頭となって消え、後は急なササ斜面の藪漕ぎである。ここの笹はクマザサで、素直といえば素直だが、今日のメンバーは元気なmocoさんとIkkoさん、休むことなく一気に主稜線まで登ってしまえば、さすがにゼイゼイハァハァである。

国境山頂上とmocoさん やっと見つけた三等三角点「国境」とサッポロクラシック

 ここから頂上までは約200m、だが、行く手にはハイマツが見られる。ハイマツの隙間を狙っての笹漕ぎとなるが、失敗してハイマツに突っ込む場面も1〜2度。最後は北側に回り込んで国境山頂上に立つ。ところが、肝心の三等三角点「国境」が見つからない。私製の頂上標識があったと思われる場所を中心に探し回るが、笹が密生していて石が埋まっている感じではない。5分ほど探し廻るが見つからず、mocoさんがGPSを思いっきり拡大して「ここ!」と指差した場所を見るがそこにもない。私も「みちびき」対応の買ったばかりのGPSを出して、思いっきり拡大する。だが、示した場所はmocoさんと全く同じだった。そうこうしているうちに、そこから約2mの地点で三角点を発見、「やった!」と思った。ただ、後で冷静に考えてみれば、三角点の位置は平らな中でも若干高くなっている地点で、普通に考えれば直ぐにも見つかりそうなところだった。

 三角点が見つかって、やっと国境山に到着した気分となる。見れば未だ雨雲は動いているが、東側の落合や狩勝峠付近は晴れて陽も差している。すっかり晴れてしまえば、きっと眺望も素晴らしいのだろう。もう少しゆっくりして行きたいところだが、秋の日は釣瓶落とし、この時期であればなおさらである。長い林道歩きを考えれば既にタイムリミット、再び笹薮を濃いで林道を目指す。(2013.11.3)

【参考コースタイム】 道の駅「自然体感しむかっぷ」9:10 道道ゲート前 1025 国境山入山口(小沢) 12:10 国境山頂上 13:30、〃 発 14:00 国境山入山口(小沢) 14:35 → 道道ゲート前 1605  (登り 1時間20分、下り 35分 ※小沢入口から)

メンバーIkkoさん、mocoさん、saijyo

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