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  雲霧山(1500.5m)   

あまり特徴の無い山容の雲霧山

/25000地形図 「平 山」「上支湧別」

林道は途中で寸断しているため、途中に車を置く
急斜面を登って行くEIZI@名寄さん
沢筋の雪渓は開いているところもある

最初に雲霧山を地形図で見たときに、この規模の山であればおそらく半日で片付くだろうと思ったが、実際に入ってみると約9時間を要する山行となってしまい、改めて藪山でのルート取りの難しさを感じさせられる。

雲霧山は北大雪の主稜線(石北峠〜北見峠)から少し外れたところに位置しており、付近の支湧別岳、1760m峰「ニセイチャロマップ岳」などの山々と比較しても、あまり目立たない存在である。付近にはこの他、一般登山の対象となる平山、比麻良山、天狗岳など標高が高く魅力的な山が数多くあり、多くの登山者を迎え入れているが、山容もはっきりせず特に決まったルートもないこの山を目指す登山者は極少数派であり、かなりマニアックな部類の山と言えるだろう。

 支湧別川支流の石ノ沢沿いの林道から入る。642m標高点のある分岐点では右股へ入る。林道崩壊のため地形図上の林道終点までは入れず、途中の少し広くなったスペース(735m標高点付近より100200m先)に車を置く。付近の林道は修復工事もされていて、今後さらに整備されるようである。880m二股手前から雪渓が現れる。沢が完全に雪渓に埋まるのは右股へ入ってからである。右股へ入ると間もなく雪渓歩きとなり、比較的しっかりしている雪渓上を歩き標高を上げて行く。1050m二股では左股が滝となっていて落口はポッカリと開いている。昨年同時期に初見の沢を歩いた際、滝の落口がスノーブリッヂとなっていて、その通過後に背筋が凍る思いをした記憶は新しく、このまま沢詰めを続けた場合の怖さを感じる。芦別岳・本谷のように周知のルートが出来上がっているケースではある程度の予測も立つが、初見の沢の雪渓歩きでは臆病にならなければ、命が幾つあっても足りないだろう。

見上げるような急斜面 頂上から支湧別岳(左)とニセイチャロマップ岳
雲霧山頂上にて 頂上から望む武利岳

 二股からは予定の沢詰めを止めて、頂上を目指し急斜面に取付く。見上げるような斜面で40度以上の斜度はありそうだが、適当に潅木もあり、下草も成長前であるために意外に登りやすく、ぐんぐん標高が上がっていくことが実感できる。途中で岩壁が出てくるが、左側の沢形を利用し潅木が繋がったところを辿って岩壁上へ這い上がる。コンタ1350mまで登ると斜面はやっと緩くなる。稜線は近く見えるが標高差はまだ150mほどもあり、細い尾根上を樹木に摑まりながら標高を上げて行く。右手の沢中から大きな動物が逃げてゆく音と、それによる落石で岩が沢底へ転がってゆく音が聞こえる。おそらくエゾシカであろうが、独特の鳴き声は聞かれず、ヒグマの可能性も否定はできない。

 頂上が近づくと稜線上にはかすかな踏跡が見られる。意外に登られている山なのかもしれないが、鹿道のようにも見える。頂上の展望が良くないことは以前に聞いたことがあり、あまり期待はしていなかったが、思ったほど悪くはない。特に支湧別岳やニセイチャロマップ岳付近の山々の眺めが良い。また主稜線の向こうには武利岳の大きな山容も望むことができる。平山や天狗岳方向は樹木のため見づらいのが残念である。古くて角が丸くなった二等?と思われる三角点が設置されている。

 下りは北へ続く稜線にルートを取り、林道上の駐車地点を目指す。稜線は痩せていて、時々岩稜も出てきて、木々に摑まりながら回り込むように下降して行く。距離の割には時間の経過が早いように感じる。途中、色褪せたバンダナが落ちている。登りのものか下りのものかは判らないが、通過不可能な岩稜は出てこないということの予測はできる。

コンタ1360mの分岐と思われる地点に到着するが、後で考えればこの時点で標高を少し高く見積もってしまったようである。地形図上左寄りにルート取りするようになっているため左方向に進路を取るが、これ以降地形図との辻褄が全く合わなくなる。急傾斜の斜面は延々と続き地形図とは全く一致しない。正面に見える地形から、かなり左方向へ進んでしまったことに気づく。予定の稜線はかなり右側のようであるが、それを越さなければ車を回収することができないため、下降予定の稜線上・コンタ960mコルよりは標高を落とさぬよう藪漕ぎのトラバースを開始する。途中、急傾斜の沢形を何本か越えるが予定の稜線にはなかなか届かない。稜線の近くと思われた枝尾根上で古い集材作業用の歩道が現れ、それを利用して進むが、これも方向がずれてきたため、再び藪へ突入しなければならなくなる。結局、さらに12本の枝尾根を越えて目的のコルへたどり着く。予定の倍以上の時間を費やして、やっと車のある林道への下降開始である。

コルからは緩い作業道を下るが、これも何処へ下って行くものなのか判らないため、途中からは沢形を下ることにする。沢形には水流は全く無く、降雨後のみ水流が現れるようである。下降して行くに従い沢形はだんだん消え、最後は古い作業道跡から林道に飛び出す。駐車地点からは僅かに100m下流側であった。(2004.6.6)

EIZI@名寄さんの「雲霧山」山行記へ

【参考コースタイム】 林道(車止め) 7:00 → 斜面取付き(1050m二股) 8:35 → コンタ1350m 10:20 → 雲霧山頂上 11:20、〃発 12:10 → 林道(車止め) 15:50 

メンバー EIZI@名寄さん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga) 

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