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      隈根尻山(971.4m) ・・・浦臼山コース

樺戸山から望む隈根尻山はどっしりとして風格がある

1/25000地形図「ピンネシリ」「浦 臼」

砂防ダム手前の広場が登山口となっている
稜線上の明瞭な林道の向こうには隈根尻山が見える
登山道である林道には雑草が繁っている

隈根尻山は樺戸の主脈の一山であるが、ずっと札幌に住み30年以上も山に登っているが、この山に登るのは今回が初めてである。夏は登山道が長そうで、冬であればこれにラッセルも加わり、さらに長そうである。10年ほど前に、一度札的川一の沢から挑戦してみたが、沢の二股を間違えて浦臼山近くに飛び出した記憶がある。この時は沢の遡行が目的であったため、慎重さが足りなかったという反省をお土産にそのまま下ってきた。ガイドブックやWeb上にはこの山についての詳しい情報が載っているようだが、今回は知らない方が新鮮味がありそうなので、予備知識が全くない状態でこの山へ向うことにした。

樺戸山へも不明瞭になりつつある
樺戸山から隈根尻山への途中、藪を外さないたのものか?トラロープが・・・
隈根尻山から見た樺戸山。登山道は薄くなってきている。
隈根尻山から見た樺戸山。登山道は薄くなってきている。 隈根尻山から見た円錐峰(中央)

登山口は砂防ダムの手前が広場となっていている。我々と前後して3台の車に便乗した登山グループが準備を終えて出発して行く。さすがに人気がある山だと思いつつ、きっと後から何台もの車が入って来るのだろうと、ぎりぎりに詰めて車を停める。最初は林道歩き、途中では新たな砂防ダムの工事も行われており、賑やかな感じである。工事現場を過ぎると林道が流された場所を通過、そこから急に林道上にススキが被り始め、間違えたのではないかとつい不安になる。いつもの藪山へのアプローチを考えれば、立派この上ない林道であるが、如何せんここはガイドブックにも登場する登山コースである。10年前には浦臼山までなら車でも登れるのではないかと思った記憶もある。所々で昔の面影が残り、すっきりした林道にもなるが、直ぐにまたススキやイタドリが被ってしまう。途中で“登山道路”の看板を発見、やはり間違ってはいなかったようだ。

反射板が出現、ここを少し登ったところで先を行くパーティに追い付くが、あまり休憩を入れない彼らは直ぐに見えなくなる。隈根尻山を目指すので、ゆっくりはしていられないといった様子である。しばらく歩くとライオンズクラブの浦臼山頂上を示す看板があり、目指す隈根尻山やピンネシリ山がかなり遠くに見えてくる。きっと稜線上のアップダウンは少なく、遠くに見えていてもそんなに時間は掛からないだろうと思いながら5分も歩くと、また浦臼山の頂上が現れる。彼らはここでも休まず、先を急いでいるようだ。稜線上には林道が続き、以前に飛び出した場所を目で追ってみるが、どこもかなりの急斜面で、沢モードであればこんなところも平気で登ってくるのか…と、改めて心の持ち様による感覚の違いを感じさせられる。

林道は小広場で終了、かなり小潅木や笹が被った状態の登山道となる。所々で不明瞭であるが、足許に抵抗を感じない方向へ素直に進めば、直ぐにまた明瞭な登山道となる。それにしても、一般登山道と考えれば不明瞭である。アップダウンも予想外に頻回で、程なく先行パーティに追い付く。なぜ、これがメジャーな隈根尻山の一般登山道なのだろうか?登山開始からの謎は尽きない。890m標高点に到着、あとは隈根尻山へ向けてのひと登りである。

■樺戸山〜隈根尻山

まずはコルへの下りだが、背丈以上の根曲がり竹となる。しかし、足許にはやはり何の抵抗もないからやはり登山道なのだろう。おまけに登山者が笹薮で迷わないためにか、古いトラロープが途切れることなく藪中に続いている。時々、ツル植物かと思って足許を見るとこのトラロープであるから何時もの藪漕ぎとはちょっと勝手が違うようだ。一言でいっていつもの藪漕ぎ山行と思えば条件が良すぎる感じだが、登山道登山と考えればとんでもない状況である。追い抜いてきた先行パーティは下ってこないようだ。一般登山道から考えるとあまりにも笹が被りすぎていて、さすがに臆したか…と思った。 この状況はコルからの登りに入ってもあまり変わらない。藪にもぐった時は足許を見て、藪から頭が飛び出したときには藪面のへこみを見て、いずれにしても登山道は続いている。

以前の隈根尻山は浦臼の山だった

頂上直下で鈴の音。もしや先行者がいたのではと思いつつ進むと、いきなり丸太を階段状に整えた立派な登山道へ飛び出す。ここで出会った登山者の話では、我々が通ったコースは23年前から崩壊の危険があるため、通行禁止になっており、3年くらい前からはかなり荒れているとのこと。この山へは現在、道民の森からの立派な登山道があるそうな…ここで全てを理解する。頂上は広く、立派な展望案内レリーフが埋められている。石狩海岸までもが見渡せる眺望は第一級である。また、先日登った円錐峰も綺麗な山裾を広げ、簡単に指呼することができる。さてさて、我々は立派な登山道を後に、再び藪に消えそうな登山道へと戻らなければならない。

 890m標高点へ戻り、ふと標石を見ると樺戸山とある。この時点まで気付かなかったが、札的川本流の終了地点であった。先行パーティは最初からこの山が目的だったようだ。樺戸山〜隈根尻山間は現在、残雪期を除き、利用者はほとんどいないようである。崩壊場所は今すぐどうこうといった感じはない。この程度のところならどこにでもあるが、やはり道民の森からの短いコースが開かれたことにより、人の流れは完全に変わってしまったのだろう。浦臼山からの下り、反射板を過ぎた林道脇には浦臼観光協会の朽ちた案内板が一つ、笹薮に倒れた状態で放置されていた。隈根尻山が浦臼町の山ではなくなったことを感じさせる光景であった。(2008.10.5)

【参考コースタイム】登山口 P 8:30 浦臼山 10:00 樺戸山 11:15 隈根尻山頂上 11:55、〃発 12:30 樺戸山 13:15 浦臼山 14:30 登山口 P 16:00  (登り 3時間25分、下り 3時間30分)

メンバー】saijyoチロロ2

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