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「仕事をもつ若い糖尿病患者の心理と行動の

変化がいかにHbA1cに影響するか」について

 23.11.22

去る10月29日(土)糖尿病教育看護研究会(北海道)がひらかれました。

当院からは標題に示した臨床研究を外来勤務の久保田看護師が発表しましたのでその内容を報告します。これについては多くの外来患者さんにアンケートをとらせて頂きましたのでここにお礼を申し添えます。

目的:仕事を持っている若い糖尿病患者さんの心理、行動がHbA1cに影響を及ぼすかについて調べました。

方法:20才から40才のインスリン治療または内服剤治療中の男性38名、女性31名にアンケート調査を行いました。

成績:

図1 食事を誰が作るかでHbA1cを調べました。自分で調理する人はHbA1c6.9%、家族が調理する人は7.9%で明らかに高くなります。自分で作る場合は食材、調味料、食事カロリーには細かい点に気を配っているのかもしれません。家族が作るときには家族皆の好みを考えているのかもしれません。

図2 治療薬を納得しているか否かでHbA1cを調べると、内服剤に抵抗感のある人はHbA1c7.9%であり、抵抗感のない人は7.3%でした。内服剤の受け入れに抵抗感のある人はHbA1cが高くなります。一方、インスリン注射では逆に受け入れの悪い人は7.3%、受け入れの良い人は7.7%でした。インスリン注射を受け入れがたい人のHbA1cの良いのは何か別の理由があるか否かを調べました。インスリン注射に抵抗感のある人、ない人とも糖尿病を受容できている人のHbA1cは受容できていない人と比べ低くなっています。従って糖尿病をよく理解し、糖尿病と良い関係にある人はHbA1cが低いことが分かりました。

図3 次に病名を友人、職場の人たちに告知しているか否かでHbA1cを調べました。職場で告知している人はHbA1cが低く(男性7.6%、女性6.6%)、告知していない人(男8.1%、女7.8%)と比べ低くなります。

図4 自分の療養生活でいつも協力してくれる人、相談できる人(家族、友人、医療者)あり、なしでHbA1cを調べた。男女とも協力者がいるとHbA1cは良くなることが分かりました(男7.8%、女8.5%は7.6%、6.6%となりました)。

考察

以上をまとめますと食事調理はできるだけすすんでやることでHbA1cは改善されます。そして、糖尿病を受け入れる気持ちをもって(マイナス志向ではなく)周囲のひとにも糖尿病であることを話しておくと気兼ねなく付き合うことができます。こうしておくと気持ちが楽になり、HbA1cにもおのずと反映されてくるものです。 

 

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