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       硬石(370.8m)

 
北の沢・山の子公園から望む夕闇迫る硬石山

 

 1/25000地形図「石 山」

硬石山線は冬期閉鎖、ゲート前に車を停める
牧草地から逃げるため、一番手前の尾根に取り付く
途中から見た藻岩山方面

地形図上の硬石山頂上(370m)にて

痩せ尾根を進む
硬石山から望む札幌の中心街

いつも利用しているじょうてつバス・南55「硬石山行」だが、その終点・硬石山へは一度も登ったことがなかった。我が家の窓からいつも見ている山だが、かなり削られていることもあって、山としての美しさはまるで無い。そんなこともあって、登山の対象としては考えてもいなかった。小樽・石倉山も同様であるが、道都・札幌が大きく発展するために多くの石を切り出してきたとのこと。この山ではコンクリートに混ぜるための硬石を現在も切り出しており、今後もさらに姿を変えて行くことだろう。そんな硬石山をWeb上で検索してみると、意外にも登山の対象としての硬石山が数件ヒットした。聞けば「札幌50山」にも入っていて、途中までだが遊歩道も整備されているらしい。北の沢の住人としては正に灯台もと暗しである。

ピークハンターのKo玉氏がこの山が50山最後の一山ということで、記念すべき氏のこの山への山行に同行させてもらう。この山は三面を市街地に接していることもあり、駐車の場所には少々神経を使う。結局、南沢から白川へと抜ける冬期間閉鎖の市道・硬石山線のゲート前に邪魔にならぬように車を停める。ここであれば公道上でもあり、近隣から通報されることはまずないだろう。肝心の山だが、ルート的には特に何も考えていなかったので、ゲート横の小沢へと下って、硬石山の西側の小尾根に取り付くことにする。一見深そうな感じだが、実際降りてみると大したことはない。小さなスノーブリッヂを渡って放牧地へと抜ける。古い家屋が数件、廃屋かと思ったが、ふと見ると家主が焚き火の真っ最中である。表の作業現場的光景とは対象的に実にのどかな風景が展開していた。ただし、忘れてならないのはここが札幌市内ということ、不法侵入者とでも受け取られてはかなわない。牧草地の端から一番手前の尾根に逃げるように取り付くことにする。

スキーの山ではないと聞いていたが、どうしてどうして、広い尾根に程よい間隔の樹林帯、下りの滑りが楽しみな感じである。コンタ270mの主尾根が近づくと南沢市民の森の遊歩道と合流する。ただし、スキーの山と思えたのはここまでで、この先徐々に尾根が細くなってくる。私の住む北の沢の今年の積雪量は例年よりも少なく、同じ地区のこの山の積雪量が十分であるわけがなかった。倒木が多く、これを乗り越えるのに一苦労させられる。さらには斜面の積雪も十分でないために、潅木だらけで斜面のトラバースもままならない。それでも、353mポコを何とか左から巻いて、藤野の市街地を眼下に眺めながら硬石山の最高点に立つ。

  最高地点は390mのコンタで囲まれており、樹林帯の中にある。地形図上に標高の記載はなく、391〜393mくらいと思われる。比較の対照となる市街地の広がりが足許にあるためか、低い標高の割には高度感を感じることが出来る。ここを頂上として下山する登山者も多いようだが、今回はKo玉氏が同行、こだわりの彼がここで満足するわけはない。山名が記載されているピークはここからさらに約400m先で、これを踏まなければ硬石山を踏んだことにはならないようだ。ちなみに、この最高地点の名は「西硬石山」と呼ばれているらしい。

ここからの下りは山行中唯一ダイナミックに滑れるところ。ところが、滑り過ぎて尾根を外す。あわてて尾根上へと戻り、最後の登りへと入る。距離の半分は滑りなので、意外と簡単に硬石山の頂上へと到着することが出来た。こちらは山の頂上というよりは派生尾根の途中とでもいった感じの中途半端なところである。頂上を示したものか、古いピンクテープが小枝に巻かれており、Ko玉氏のGPSも三角点の位置に一致しているので間違ってはいないだろう。Web上の写真でこの山は展望が良いといった印象を持っていたが、見えるには見えるが木々が邪魔してすっきりとした展望は得られない。楽しみにしていた北の沢付近の展望だが、肝心の我が家の辺りは見えなかった。ともあれ、いつも耳にしていた“硬石山”の頂上に立っているというだけで満足度は100%であった。

 北海道新幹線の札幌延伸が先日決まった。本格的な工事が来年度から始まるそうだが、完成すれば東北地方がぐんと近づき、岩手山や早池峰山など、名立たる名峰が前夜日帰りのエリアとなる。ただし、20年後の私に山に登るほどのエネルギーが残っているかどうかは疑問なところ。ひょっとしたらこの世の人ではないかもしれない。ただ1つ言えることは、我が家の窓から見える山の景色はかなり変っているということである。ひょっとしたらこの硬石山も消えているのではないか、そんなことを考えながら枝尾根の林間を下ってきた。(2012.1.15)

【参考コースタイム】硬石山線・冬期閉鎖ゲート 9:15 硬石山最高地点 10:30 硬石山頂上 10:45、〃発 11:00 硬石山線・冬期閉鎖ゲート 11:45    (登り1時間30分、下り 45分)

メンバー】Ko玉氏、saijyo

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