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       コトニヌプリ(952m)オサッペヌプリ(860m)

  

  

オサッペヌプリから望むコトニヌプリ

      /25000地形図コトニヌプリ

林道入口に車を置く
標高を上げて行くうちに林道はあやしくなる

コトニ・ヌプリの名は札幌で育った私としては身近な存在である。琴似や新琴似の名は小さな頃から耳にしてきたが、あまいものこさん(甘藷山荘管理人)の「北海道 昔の山・山名な」を見ると、どうも札幌の琴似とは意味が違うようだ。漢字に直すと琴似山だと安易に考えていたが、この山にはこの山の別の山名由来があるようだ。由来については前述のあまいものこさんのサイトを参照してほしい。コトニヌプリは屈斜路湖カルデラの大きな外輪山の一角にあり、台地状が湖に向かって狭まり、その突き出した先端が頂上となっている。屈斜路湖側からは険しく、こちらから登れば山に登っている実感をさぞ味わうことが出来るところだが、時間的な余裕がないため、今回は一般的な津別側から登ることにする。

入山口となる「ランプの宿 森つべつ(旧津別温泉フォレスター)への道路は20年ほど前には舗装されておらず、全く林道そのものだった。こんな山奥にどんな宿泊施設が建っているのだろうかと、過保護な親としては子供を連れての旅行で少々不安になったが、到着してみると現代風のしゃれた建物で、何となくほっとしたのを覚えている。当時は子育ての真っ最中で、コトニヌプリなどは眼中にもなかった。時が過ぎて、今はコトニヌプリ狙いが主目的となって再びここを訪れる。トイレを借りにフロントを訪れたところ、当時と変らぬ親切さで快く迎えてくれた。当時と比べ、施設の経営母体も変ったようだが、20年間培ってきた来客への真心は今も昔も変わっていないようだ。地域の人口が減少、近くの津別スキー場も閉鎖、当然利用者の数も減っているようだが、この施設にはぜひ生き残ってほしいと、つい思う。

樹木と一体化した目立たぬオサッペヌプリの頂上標識 オサッペヌプリ頂上からイクルシベ山を望む
屈斜路湖も見える オサッペヌプリ頂上にて

七の沢川沿いの林道入口に車を停めて、しばらくは林道を進むことにする。今回は半年ぶりの北見・yoshidaさんとの山行である。ネットの時代となったおかげで、津軽海峡でも渡らぬ限りは道内であればどこも距離感は感じない。日頃、メールや掲示板でのやりとりを行っている面々では、遠くの親戚よりも近くの他人が、近くの他人よりも遠くの他人といった新しい人間関係をも作り出してしまったようだ。特に焚き火を囲んで遠方の山仲間とゆっくり酒を酌み交わす一夜は、我々にとっては至福のひと時だ。

緩い林道はゆっくりと標高を上げて行く。付近の山域を知り尽くしているyoshidaさんの参加で、GPSも置いてきたし、この日は正直なところ地形図もほとんど見ていない。いつもの山行で考えればとんでもないことと怒られてしまいそうだが、楽しみにしていたこの日の山行では、毎日のように地形図をみていたためか、あえて地形図とにらめっこするよりはじっくりと自然を味わう方が賢明だ。七の沢川から離れた林道はコンタ700mくらいからは怪しくなる。通常はこのあたりから林道を離れ、オサッペヌプリへと緩い斜面を登るようだ。確かに針葉樹と広葉樹の混合樹林帯の中にはピンクテープも見られ、マニアの間ではこのルートを利用することが多いのだろう。コンタ820m付近からは丘状のオサッペヌプリ頂上部への登りとなる。もう少し登るのかと思ったが、意外に簡単に頂上へと飛び出す。故中標津・すがわら氏によれば「オサッペ」とは川尻が涸れているところとの意味だそうだ。山というよりは外輪稜線のひとつの高みといった雰囲気で、頂上のイメージとはちょっと違う感じである。ただし、ここで視界が一気に開け、多少木々に邪魔されてはいるが、真っ白な屈斜路湖や摩周岳、イクルシベ山などを望むことができた。頂上の樹木にはあまり目立たない頂上標識が取り付けられていたが、地元のH氏の製作ではないかとyoshidaさんが言っていた。樹木と一体化した標識で、こんな地味な山では登頂していることが改めて確認できるのが良い。

コトニヌプリの頂上に到着する 頂上から屈斜路湖側は細くなって落ち込んでいる

さて、次は本命、コトニヌプリである。主稜線の先に湖側に落ち込む山容はなかなかの迫力である。オサッペヌプリからはわずかな下りで稜線上となる。途中、視界が開けるところが数ヶ所、イクルシベ山のほかには辺計礼山や屈斜路湖周辺の小さな山々も見えるが、やはり地理に不慣れな道東ということもあって正確なところはyoshidaさんに聞かなければ判らない。稜線から広い樹林帯の雪原となり、除々に標高を上げる。それが少しずつ狭まり、どん詰まった先がコトニヌプリの頂上だ。数メートルほど高くなった小さな雪山が最高地点で、順番にその地点を踏む。湖側は細い稜線となって落ち込んでいて、岬の突端にでも立っているような感じである。

 下りはオサッペヌプリへの少しの登り返しがあるくらいだが、これも巻けばほとんど登り返すこともなく下山できる。総じて緩い斜面は少々もの足りないが、二山をゲットした嬉しさは何にも替えがたい。特にコトニヌプリのネーミングはずっと気になっていただけに、この山の頂上に立てたことは何よりだった。一度でも登頂するとその山はかなり身近な存在となり、何かの機会にその山を眺めることがあれば、その近親感は特別なものとなっている。そんな意味では例え再びこの山に登ることがなくてもコトニヌプリとの付き合いはこれから始まるといってもよいのかもしれない。(2011.03.19)

【参考コースタイム】ランプの宿 森つべつ」P 9:35 オサッペヌプリ頂上 11:20、〃発 11:35 → コトニヌプリ頂上 12:10、〃発 12:40 ランプの宿 森つべつ」P 13:20 (登り 2時間20分、下り 40分 )  

 【メンバー】yosidaさん、山遊人さん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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