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       天狗岳(764.7m)

さっぽろ湖第一展望台から小天狗岳 (2016年8月撮影)

 1/25000地形図「二岐岳」

定山渓ダム下流園地の駐車場は広い
彫刻なども置かれている
道道のすぐ下を通過する登山道
あの風に会いたくて …暑い、暑い、登山道を登る
満々と水を湛える「さっぽろ湖」

  小天狗岳は読んで字のごとく小さな天狗岳である、定山渓天狗岳の前衛峰とでも表現すれば一番分かりやすい。定山渓ダム(旧小樽内ダム)が平成元年に竣工、合わせて出来上がった定山渓ダム下流園地が登山口となる。広い駐車場もあって、この山を登るには便利になったが、如何せん園地の開門・閉門の時間が決まっていて、早朝から軽く一登りとするには逆に不便でもある。道道1号線を小樽に向かい、白井トンネルを貫けてすぐの小沢にかかる橋の袂を登山道が通っているが、付近には車を止駐めておくスペースがないので、やはり園地に駐めるしかなさそうだ。時間のかからない山なので、朝寝坊でもしてからゆっくりと出て来るのが良いかもしれない。このコースは20年ほど前に子供と登っているが、階段ばかりだったという印象である。延々と続く歩幅の合わない階段がそう感じさせたのかもしれない。最初から超高層ビルを階段で登るようなものと考えていれば、それほど苦にはならないだろう。

  実は6月の端境期(残雪が消え、沢シーズンにも早い)にも一度この山を計画している。この時は朝一番で出てきたこともあってゲートが閉まっており、雨天ということもあって、急遽、定山渓の朝日岳へ行先を変更している。そんなこともあって、今回は我が家発を1時間ほど遅らせて7時発としたところやはりゲートは空いていた。開いたゲートの脇には1台車が駐まっている。ふと、なぜあんなところに車が駐まっているのだろう?と思ったが、理由は言わずと知れた気の早い登山者である。広い駐車場のど真ん中に揃えられた靴がぽつんと置かれている状況、これと同じ感じ感覚である。こんな小さな山であれば、さっさと登れば、さらに次のことが出来る。少しでも休日を有効利用しようと考えれば、ゲート前に車を置いて行くのは当然である。

 園地内の駐車場にも既に登山者の車が駐まっている。芝生も綺麗に刈られ、花々も植えられていて、かなり手の加えられた園地といった感じである。所々には小さな彫刻も置かれており、山に登らなくても一度は訪れてみる価値がありそうだ。園地の上部にはダム周辺をも含めた資料館が建てられており、子供連れでもそれなりに楽しむことの出来るスポットとなっている。登山道入口はこの資料館のすぐ先である。

 登山道に入ってすぐに道道1号線の橋梁をくぐる。小沢を渡って橋の袂へと進むが、道道までわずか10m程度であるにも関わらず連絡路どころか踏み跡もない。橋を過ぎると幾度か折り返して小尾根上の急斜面となる。前回子連れで訪れたときにはこの“階段”は出来上がったばかり、白木そのままだったこともあって、周りの景観にはぜんぜん馴染んではいなかった。それどころか、他を圧倒しているようにさえ感じられた。現在は20年もの歳月がそうさせたのか、景観にすっかり溶け込み、落着きある登山道といった感じである。ところどころで階段の止木が朽ちたのか、細い鉄杭が飛び出している。疲れている時などには思わぬ大怪我ともなりかねないので、出来ることならこれは撤去してほしいところだ。

 9月だというのになおも続いている今年の残暑、階段登りがこれでもかといった具合に続き、少々辟易気味だが、暑さの中にも時たま谷底から吹いてくる風が心地よい。「あの風に会いたくて」…という今は九州へと移っていった松尾さんのサイトがあるが、こんな風に出会うたびに「この風なんだよね」との会話がついつい弾んでしまう。松尾さんが会いたい“風”とはちょっと違うのかもしれないが、私にとってはいつも心待ちにしている会いたい風だ。その度ごとに、我々登山者の機微を実に上手く捉えたネーミングだと感じ入っている。そして、そんな心地良い風こそが、こんな暑い日の夏尾根登山での一番の楽しみでもある。ゲート前に車を駐めた登山者と頂上近くですれ違う。聞けば、後志羊蹄山登山に向けてのトレーニングとのこと。確かに、ちょっとしたトレーニングが目的であればこのコースは手頃かもしれない。

崩壊地で大きく展望が開ける 〜ゥ (゚A゚;) 頂上到着。

 頂上が間近であることが肌でも感じられる。もちろん“会いたい風”の頻度が増してくるためだが、木々の隙間の明るさなどからも頂上独特の雰囲気が感じ取れる。さっぽろ湖側の崩壊地には近づかないようトラロープが張られている。総じて険しい山でもあり、地形的には不安定なのだろう。邪魔する木々の無いこの地点は一番の眺望が利く場所でもある。さっぽろ湖から頂上まで、すっかり緑に覆われた烏帽子岳や神威岳などの見慣れた光景が広がっている。さらに進み、傾斜がなくなった先に案内板と飛び出した三角点が見えた。頂上である。二年前は残雪期であったため、展望の良い頂上といった印象だったが、この日にたどり着いた頂上は木々が邪魔して展望の利かない場所であった。登山口からわずかに55分、2年前にたどった西側からのルートが頂上直下で合流していたが、こちらからは2時間ほどかかっての登頂だった。無雪期でもこのルートの利用者はいないようで鬱蒼とした感じである。

 20年ぶりで一般コースをたどってみたが、この時期に、このコースでは本来の小天狗岳の良さは見えてこない。一箇所、途中の岩峰へと踏み跡があって、早速登ってみたが、ここから望む本峰も樹木に覆われて今一といった感じであった。この山に関して言えば、積雪期の雪が付いた小天狗岳が素晴らしく、その山容を望みながら登る方がこの山の“立派に一山”としての価値が見えてくるように思えた。(2012.9.2)

【小天狗岳余話】

 今年のGW山行は長年登ってみたいと思っていた夕張山系の小天狗北峰・南峰だった。自宅に戻ってUP作業をやり終え、ふと目に付いた定山渓の小天狗岳をクリックして愕然とした。何と現れたのはUPしたばかりの夕張・小天狗… 2年前にオリジナルなルートから登頂した定山渓・小天狗岳の山行記は見事に書き換えられてしまっていた。考えてみればファイル名はkotengu.htm、2年前の小天狗岳と全く同じであった。残雪期まで待って、再度同じルートをトレースしようとも考えたが、ハードディスク内を探したところ写真のみは残っており、山行記は消えてしまったが、登山道からの再訪でとりあえずは穴埋めをしておこうと思った。

 下山後のUP作業中、さらに古いUSBメモリを片っ端から探してみたところ、「毛無山」とのファイル名のWord文書の中身が小天狗岳だった。あった あった! 先日の小天狗岳山行はいったい何だったのか…つい、そう思ってしまったが、今回の小天狗岳登山は先々週に痛めた左足のリハビリも兼ねており、これはこれで良しとすることにした。そんな理由で、ご丁寧なことにindexページ付きの小天狗岳山行記となった次第。猛烈に暑い9月の残暑の中、なんで小天狗岳に登山道から登ったか、の話である。

【参考コースタイム】定山渓ダム下流園地 P 8:00 → 小天狗岳頂上 8:55、〃発 9:40 定山渓ダム下流園地 P 10:30   (登り55分 下り50分 )

メンバーsaijyo、チロロ2

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