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       白山(893.2m)

 

 1/25000地形図「無意根山」

稜線に出れば頂上は近い
小白山へは長い林道歩きから始まる
小白山への急斜面を登る

日本100名山ブームに便乗したのか、札幌50山というのがある。先日登ってきた白旗山もそうだったが、藻岩山や円山など、札幌に住んでいればお散歩コースともいえる山までもが全て入っている。山に登るための一つの目標と考えれば、健康増進の意味も含めて判りやすくて良い目標設定だと思う。だが、この50山の中には積雪期にのみ登山可能ないわゆる“薮山”も入っており、100名山ブームのように体力・経験に見合っていなくても目標ありきで考えてしまっては頂けない。今回登った小白山はその一つ。夏道は無く、積雪期のみの山である。多少なりとも冬山の経験があった方が良いことは言うまでもない。私は札幌50山を狙っているわけではないが、こんな時期の手頃感からこの山を訪れることにしてみた。小白山は無意根山・薄別コースの小川を挟んで左側の尾根上の山である。小白の名は調べた訳ではないが、南側を流れる白水川と何かしらの関係があるように思う。ひょっとしたら支流が小白水川とでも呼ばれていたのだろうか…この辺の事情は機会があったら調べてみたい。

薄別登山口に車を停める。無意根尻小屋の小屋番のためか、昨日のものと思われる雪の被った車が数台停められている。かつては賑わっていた登山口だが、電光坂・登山道の崩壊や度重なる遭難事故の影響か、以前に比べて登山者は激減したと聞く。札幌の人間であれば定番となっていた無意根山も、かつて程の人気はもはや無いようである。ラッセル覚悟でスタートしたが、スノーシューの跡と思われるトレースが林道上を忠実に辿っている。我々はスキーなのでつづらを辿る必要はなく、ショートカットで登って行く。先導者のトレースがどこまで続いているのかは判らないが、少なくても宝来沼より先には見当らなかったので、おそらく途中で引き返したものと思われる。

宝来沼を過ぎた地点で無意根尻小屋からの若い人達のパーティとすれ違う。彼らは昨晩小屋に泊り、一人を登山口まで送るために下山中とのこと。おそらく小屋番の学生さんたちだろう。いずれにしても取付き地点付近までの確実なトレースがあるのは有難い。以前の蓬莱小屋跡を過ぎて、林道が一番南側でカーブする辺りが予定の渡渉地点である。ところが行ってみて困ったのが、この付近の谷地形が意外と深い。小川への下降地点を探すがなかなか良い場所が見つからず、林道と併走しながら進んで行く。地形図を見ればせいぜい10m程度の標高差なのだが、見た目にはかなりの落差を感じるものだ。しかも、取り付く予定の小白山・北尾根もかなり立っている感じである。

小白山頂上に到着

意を決して降りてみると大したことはなかった。やはり標高差10m程度の谷地形である。スノーブリッジを渡り、対岸の斜面をひと登りするとさらに枝沢が深く入っている。どうやら付近の小沢はコンタでは表現できない程度の標高差で入込んでいるようだ。さらに急な登りと平坦地となって、いよいよ本格的な急斜面の登りとなる。かなりの急傾斜と思えた斜面も、実際に入ってしまえばターンの繰り返しで難なくクリアできる範疇。途中、集材路跡を通過、めざす稜線がぐんと近づく。しかし、どうやら予定していた北尾根とは違う斜面を登っているようで、地形図と周りの地形とが一致していない。氷ついていた私の安価なGPSを手で暖めて判ったが、結果的には1つ西側の枝尾根を登っていたようである。小川の渡渉地点から先で方向が少しだけずれてしまったのだろう。

稜線からは左へと方向を変える。何の変哲もない尾根上、視界も良くないのでGPSでもなければ頂上の特定は難しいかもしれない。飛び出した地点から約200m、木々の繁ったちょっとした高みが小白山の頂上であった。ネット上で見た頂上には小さな標識があったが、今は何もない。標識を意識していれば頂上を見落としてしまったかもしれない。そんな地味な頂上風景である。低気圧通過の影響で、今日は南風。下降する北尾根側へ少し降りて小休止とする。

下降は予定通りに北尾根を真っ直ぐに下降する。登るときに見た印象では、けっこう急で、一見して雪崩斜面といった印象だったが、下ってみてヤバそうだったら逃げれば良い。まずは細かい潅木・幼木の斜面に一苦労、林道への登りを考えてシールを付けたままにしているので、スピードが今ひとつなのが何よりだ。地形図上で右側は土崖記号、これは避けなければならない。しかし、滑るのであれば右側の方が絶対に面白そうだ。途中から緩斜面の尾根となったので、右側へと入って、最後は深雪の障害物の無い広い斜面を下る。ここはシールさえなければ最高だった。登りのラッセルが見えるので、最初に雪崩斜面に見えたところだろう。樹木が無いということは、雪の状態によっては雪崩の危険性も考えられるが、この日の重い雪質では雪崩れる心配はない。最後は少し登って林道へと出る。

小白山は札幌50山に登場する、それなりに登られている山であったが、登るルートはさまざまである。そんな意味ではやはり野趣溢れる薮山の部類といえるだろう。正月山行は林道歩きが9割といわれる道北・羽幌岳。正月に向けての良い足慣らしとなったのは何よりの収穫であった。(2011.12.25)

※写真はすべて山遊人さん提供

【参考コースタイム】 ※写真データと共に間違って消去してしまったため不明

  【メンバー】山遊人さん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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