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 黄金山(739.1m)

御料地付近から見る黄金山はマッターホルンのようである

1/25000地形図浜 益

登山口はしっかりと整備されている
この日、唯一開花していたエゾタツナミソウ
旧道途中からの黄金山は見上げるようだ

黄金山は浜益の名峰である。見る角度によってはマッターホルンにも見えるし、デフォルメされた富士山にも見える。今は石狩市の一部となった浜益であるが、黄金山は故郷の一山と言うに相応しく、地元・浜益の人々には昔から大変親しまれてきた山のようである。山の特徴としてはとにかく急峻で、この山へ登っただれもが口をそろえて“高所恐怖症の人間には辛い山”と言っている。新道と旧道の2コースがあり、旧道がなかなか面白いという話を聞いて、入ってみることにする。

登山口には水洗トイレなども建てられ、綺麗に整備されている。週末には多くの登山者を迎え入れているのか、この日はすでに1213台ほどの車が並んでいる。トイレ前には樹木や鳥の説明、天売・焼尻・暑寒別国定公園の概念図なども掲げられ、町を挙げてのこの山に対する期待がうかがえる。「黄金山周辺の樹木」で見た、トドマツ、シラカバ、ミズナラ、ホオノキ、ハンノキなど、実際に見比べながら緩い心地よい樹林帯を進む。新旧分岐までは多少の登りはあっても、全くハイキング気分である。

急な登山道を登りきると前衛峰が現れる セルフビレーを取りたくなるような前衛峰

旧道はかなり荒れていると聞いていたが、日頃から藪漕ぎを楽しんでいる私には、かなり整備された歩道と映ってしまう。時期的に、花のシーズンは終わっているため、少々寂しい感じはあるが、右前方頭上の黄金山は新緑に覆われ、活力ある姿を見せている。徐々に傾斜が増し、いよいよ下るのも嫌になる急登の始まりかと期待するが、その急登がなかなか始まらない。途中、休憩に適した少々平らになったところで一休み、群別岳、尾白利加岳、知来岳の眺めが良い。ここから、いよいよ急登となるが、確かに油断すると転がり落ちそうである。ロープがなければ慣れない登山者には下れそうもないような、見上げるような登山道である。最後は約100mほどの急斜面のトラバースとなるが、ここもなかなかである。岩混じりの登山道であり、トラロープが張られていなければ足が竦む感じがする。もっとも、最初からロープがなければ、それはそれなりに通過するところだろう。ここを越えると直ぐに新道との合流地点となる。新道には登山者が溢れているといった感じで、圧倒的に新道を利用する登山者が多いようだ。

ほどなく岩が剥き出しとなった前衛峰となる。多くの登山者が休憩して昼食を取っているが、ここで場所を広く取って通路を塞ぐのは止めてほしいところだ。北側には潅木も何もなく、バランスを崩そうものなら大事な人生を終わらせかねない。狭いからしかたがないのかもしれないが、ここの通過だけは要注意である。高所恐怖症には辛い山と言われている由縁か、へっぴり腰で這って通過する登山者がほとんどだ。私も本峰から降りてくる登山者を待つために、避けて立っていたが、セルフビレーでも取っていなければ、とても安心できそうにない感じがある。

樹齢1500年の「黄金山のいちいの木」

 

歩道の路肩が崩れたらどうしよう…などと考えながら、しっかりと潅木につかまって歩道を辿ると、二等三角点の設置された黄金山頂上に到着する。周囲は潅木に囲まれていて、何となくほっとできる。展望は写真やWebページなどの情報で、予め知ってはいたが、実際の場所での山座同定には鋭鋒の頂点でしか味わえない立体感が加わり、この場でなければ得ることの出来ない感動がある。幌天狗から知来岳までの増毛山地の広がりは実に雄大だ。また、日本海の水平線が見えるのがよい。目前に広がるパノラマをじっくり堪能、前衛峰の一団が去るのを確認し、頂上を後にする。(2007.7.01)

【巨木】

 黄金山の帰り、必ずだれもが訪れるのが、いちいの部・全国第18位、道内5位の巨木、「黄金山のいちいの木」である。林道途中に駐車スペースが用意され、五分も歩けばその姿を拝むことが出来る。噂に違わず群を抜いた幹の太さで、正にこの山の主といった感じである。推定樹齢は1500年とのことで、息衝き始めたのは遠く聖徳太子の時代ということになる。近寄ると樹木の匂いが伝わり、霊験新たかといった雰囲気がある。この巨木には歴史の変革などとは全く無縁な、悠々とした時間の流れを感じることができた。

【参考コースタイム】 登山口P 9:25 → 旧道経由 → 黄金山頂上 11:05 、〃発 11:50 道経由 登山口P 1240 (登り 1時間40分・下り 50分)

  【メンバーsaijyo夫妻

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