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      北ペトウトル山(1400.7m)

/25000地形図  「然別湖」

北ペトウトル山の北峰へ
道路の待避スペースに車を止める
コンタ1370mのコブは右側から巻く
振り返ると然別山が見える

北ペトウトル山は然別湖を取り囲む山群の一山で、双耳峰になっている。三角点が設置されているのは南峰だが、標高が高いのは北峰であり、南ペトウトル山から北ペトウトル山にかけての山並の中でも最高地点である。この山へのアプローチは然別湖側と菅野温泉側が考えられるが、距離が短く短時間で登れるのは道道85号(鹿追〜糠平線)からである。ただし、道道は冬期間通行止めのため、然別湖畔から歩かなければならず、通行止めが解除される4月下旬以降の積雪が残っている時期に登られることが多いようである。それ以前に登るのであれば、今回トレースした除雪のある菅野温泉側からが近い。

 菅野温泉の手前約3kmの待避スペースに車を止める。北ペトウトル山へ向かうルートは大きな谷形地形の中の小尾根といった感じであるが、アップダウンが少ないのがよい。取付きは急斜面だが、ここを登ってしまえば傾斜は直ぐに緩くなる。作業道が所々にみられ、それを利用して徐々に標高を上げてゆくと、背後に然別山が見えるようになる。コンタ900m付近で地形図上にはない広い土場が現れる。ここからしっかりとした林道が上へと向かっている。地形図上南側の尾根に付けられている林道から延びてきたものと思われる。尾根上のコンタ960mの緩い丘は巻くつもりでいたが、林道が下りだしたように感じたため、避けようと思って登ったところがこの丘であった。未だに読図に対して何となく自信が持てないための迷走であろう。おまけにここで90度方向を間違えてしまうから始末がわるい。結局再び林道へ戻ることになるが、付近の地形はのっぺりとしていて判りづらいのも確かである。GPSのような便利な道具を上手に使いこなすことによって、ロスを極力少なくすことは可能だが、進むべき正確な方向は判ってもルートファインディングまではしてくれない。多少の間違えがあったにせよ真剣勝負の地図読みからこそ地形を読む勘が育てられ、進むべきベストルートも見つけ出せるようになるような気がする。視界が利けば南側の尾根上の1029m標高点があるコブとその東側にある1100mのコブが現在地確認の目安となろう。

北ペトウトル山・北峰から見る本峰
北峰から見るウペペサンケ山 北ペトウトル山・北峰から見る本峰
本峰から南ペトウトル山方向の展望
本峰到着 本峰から南ペトウトル山方向の展望

林道を進んで行くとT字路となる。林道は右岸の方向へも延びているようである。ここは丁字路を直進し、林道を後にする。傾斜が増して多少山らしくはなるが、沢形地形の中の平地はなおも続く。地形図上 “↓”の記載があるおう地手前からコンタ1240mの小ピークを目指し斜面にジグをきる。小ピークへ上がると始めて北ペトウトル山の両ピークが見え、登頂を確信することが出来る。雪面はクラスト気味で、シール登高では少し辛い。尾根上コンタ1370mはコブとなっていて、右側からこれをかわすといよいよ北峰頂上までの一登りである。ガリガリ斜面であるため、稜線を避けて雪が付いている北西面をトラバース気味に進み、北側の稜線から1421mのピークへ到着する。高度感があり展望もすばらしい。

本峰とのコルへ向かって南東方向に稜線を下るが、稜線上はクラストしているため、東側の斜面を下りては稜線へと戻るトラバース気味の滑降を繰り返す。稜線上には雪庇が発達している。稜線上に戻って直ぐのことである。スキーの舳先が雪庇に触れた瞬間、大きな雪庇が低い音と共に崩壊し、斜面の樹木に激突して砕け散った。戻った稜線上はいかにも安定しているかのように見えたが、実は不安定な雪庇の上であった。雪庇の下を通過することの恐怖を痛切に感じる。自分が激突した樹木の位置にいたとしたら、十中八九即死であることは間違いない。春先の積雪は硬く締まっているため、直撃されたら埋まるどころか、即命取りとなる。以前に後志の八内岳でも大きな雪庇の崩壊を誘発させてしまったことがあるが、雪庇への意識が一瞬頭から離れたときであった。雪庇が大きければ大きいほど安定しているかのような錯覚を覚え、危険に対する認識が薄れる瞬間でもある。

コルでスキーをデポし、ツボで本峰を目指す。クラスト気味であるため概ね歩きやすいが、所々で落し穴のように埋まってしまう。頂上は思っていたよりはかなり近く感じる。高度感は狭い北峰の方に分があるが、三角点が設置されていることを意識してしまうせいか、満足感では北峰に勝るように感じる。白い然別湖の向こうには樹林で覆われたナイタイ山の全体像を捉えることが出来る。また、北峰の右側にはうっすらとガスで覆われたウペペサンケ山、西側には然別山やピシカチナイ山の特徴的な姿も見ることが出来る。下山では、北峰は登り返さずコルから南面をトラバースして往路のルートへ戻ることにする。南面は傾斜もあり、積雪後であれば、雪崩の通り道となることだろう。現に雪塊が通過したのか、雪面が大きく抉れた斜面を二ヶ所ほど横断している。出来ればここの通過は避けたいところである。

菅野温泉からのアプローチは距離の割にはその距離感を感じさせない。標高を徐々に上げてしまうこともあるが、地形的に複雑であるため、読図が楽しめることもその要因の一つであろう。また、ルート取りによってはほとんど登り返すこともなく起点まで戻ることが可能であり、満足感を味わうことの出来るルートでもある。(2004.3.14)

【参考コースタイム】 菅野温泉3km手前(駐車スペース) 8:10 → 1240m小ピーク 11:15 → 北峰頂上 11:45 → 北ペトウトル山頂上 12:35、〃発 12:40 → 菅野温泉3km手前(駐車スペース) 15:15

メンバーsaijyoチロロ2

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