<戻る

    毛無山(750.4m) ・・・  秘沼「大石の沼」の山

 

  木地挽山から毛無山を望む

1/25000地形図 木地挽山

           コル近くの登山道では、こんな状態のところも
     国道227号線のパーキングに車を止める
     国道か下って大野川に架かる吊橋を渡る 
  白く美しいサンカヨウだが、この時期には黒い実を付ける

 毛無山は「魅する山々・道南100座紀行」の著者、斎藤浩敏さんの終焉の地となった山である。北斗市の西側に位置し、設計山と共に山塊を作っている大きな山で、sakag氏の「一人歩きの北海道山紀行」によれば「江戸時代、箱館と江差を結ぶ江差街道がそのピークを通っていて毛無峠とか毛無山道呼ばれていた歴史的由緒のある山」とのこと。2003年の秋に、「大野町の自然に親しむ会」が中心となって、大石の沼からピークまでの登山道を開削したらしい。この山へは斎藤さんを探しに積雪期に一度東側から登っているが、今回は慰霊の碑へ行くついでにこの登山道をたどってみることにした。

 地形図に記されている登山道の入口をカーナビに入れて進んで行くうちに、少し手前でパーキングが現れる。立派な駐車スペースが便利なところにあってホッとする。少し先に桧沢の滝・大石の沼入口の大きな標識があり、そこから大野川へと下って行くように小道を進む。吊橋を渡ると登山道は少し心細い感じとなる。例の場所についてはsakag氏のHPを印刷して持って来たので、GPSを見ながら現地に立つ、神威山の折に迷惑をかけてしまったこと、紋内岳へ登った正月山行の思い出、彼の著書を送って頂いた時のやり取り等々が懐かしく思い出され、しばし無言の会話が続く。近くの国道227号線を通るトラックなどの騒音が時折聞こえてくる。本当にあと少しの距離だったようだ。

 分岐から大石の沼までは静かな登山道で、初めて見る沼の景観に期待しつつ登って行く。別ルートで、桧沢の滝を見ながらというのもあるようだが、今回は時間的に余裕がないのでパスすることにした。木々の向こう側が明るくなると沼は近い。沼へと向かう分岐なのか、登山道が枝分かれしている。とりあえずは頂上へと向かい、沼が見えないようであれば下山時に立ち寄ればよいと思った。そうこうしているうちに大石の沼の湖畔に出る。見れば五合目の標識。あと半分か・・・ 空の青さと木々の緑、その様子が湖面に写しだされて、見事な景観となっていた。もちろん天候にも左右されるのだろうが、山の中の秘沼というのは感動的なもの。ついついここで大休憩としてしまう。

 登山再開、沼からしばらくは立派な登山道で、気持ちの良い一本道だ。ところが、進んで行くうちに夏草が被り始める。斜面を巻くようになってからはさらに不明瞭となり、半分笹漕ぎ状態も。もっとも普通の藪漕ぎと比べ、掻き分けるだけで抵抗無なく進むことができるのだから、これはこれで立派な登山道と言えるのだろう。ヒグマの糞も何ヶ所かに見られ、ここもやはり道南の山で油断大敵であることには違いない。明瞭になったり、被ったりを繰り返しつつ、主稜線上のコルへと到達する。

  三等三角点とは違うようだが、金麦を置いて一枚

      毛無山頂上の標識

 コルからの登山道は概ね明瞭になるが、一部分で被っている。頂上までは少々距離はあるが、極端な登りもなく、視界がある分だけ気楽に進むことが出来る。頂上が近づく頃にヒグマの糞が一ヶ所、それなりに新しい感じである。頂上丘への登りの途中で大きな「毛無山」の頂上標識を見る。GPSを見たところ三角点もここにあるようだ。実際の頂上はもう少し先であるが、登山道はここまでだった。2年前のときには反対側から登っているが、スキーで到着した頂上は広く平らな場所だった記憶がある。三角点の設置場所が最高地点と決まっているわけではないが、ここの夏道では三角点がある場所を頂上としたようだ。

 ともあれ、とりあえず頂上到着。藪を漕いでまで最高地点にこだわる気にもなれず、今日はここまでとする。視界は北東側半分のみだが、二股岳や弥五兵衛など近くの山々の向こうには内浦湾が見え、その向こうには海に浮かぶように後方羊蹄山も見える。まずまずの眺望に大いに満足。やはり山登りは晴天の日に限る。ふと見ると、苔むした三角点と思われる標石がある。不思議なのは夏道があるにも関わらず、だれもこの標石に触ってはいない様子。メジャーな山でこんなことはありえない。ましてや、ここの頂上の主役は三角点であるはずだ。GPSを思いっきり拡大してみると、標石からは十数メートルほどずれていた。今までの経験から考え、誤差の範囲は完全に超えていた。苔むしたこの標石は三角点ではない、が私の結論だった。ここが最高地点であれば絶対に標石を探すところだが、私は三角点マニアではないので、今日はこれで良しとした。

 地元有志によって維持管理されている登山道だが、やはり笹藪の繁殖力は著しく、数年といわずに登山道を覆ってしまうようである。今回については特に野草が鬱蒼とする時期でもあり、判然としない箇所が少なからず見られたが、春先や晩秋であればもう少し明瞭になるのかもしれない。この山は展望も良く、大石の沼といった素晴らしい秘沼もある。登山道を消滅させないためには、この山の素晴らしさがより多くの登山者に知れ渡るのが手っ取り早い。難を言えば山名の地味さが登高意欲を減退させてしまうかもしれないが、こればかりはしょうがないことである。 (2016.7.10)

参考コースタイム】国道パーキング 9:30 → 大石の沼 10:40 毛無山頂上 11:45、〃発 12:00 大石の沼 12:35 国道パーキング 13:20 (登り  2時間15分、下り 1時間20分 休憩時間を含む)    

メンバーsaijyo

 **山行写真**

吊橋を渡ってしばらく行くと、こんな美しい樹林帯の一本道が続いている

静かな「大石の沼」は登山者を癒してくれる格好のスポット

稜線上から見た二股岳

  残念ながら、駒ケ岳・剣ケ峰には雲がかかっている

函館山は見えないが、北部に広がる市街地が見える

毛無山頂上からのパノラマ写真

 

 

 <最初へ戻る