<戻る

   (650.4m)

4月、大登山への尾根上から撮影した毛無山

4月、大登山への尾根上から撮影した毛無山

 

    1/25000地形図「小樽西部」「於古発山」

廃棄物処理センター前の廃雪スペースにかろうじて車を停める

頂上から望む塩谷丸山
頂上は樹林の中
左側の道路が判らず、右側の尾根を行くことに

googleマップを見ておけば良かった…

毛無山をWeb上・フリー百科事典「ウィキペディア」で調べてみると全国に26山ほど載っていて、小樽の二山が北限となっている。そもそも「ケナシ」は山林を意味するアイヌ語とのことで、函館近郊には5山ほどあり、どちらかと言えば既存の地名に漢字を当てはめる段階で和名になったようである。この点、木々が少ない坊主山の場合とは少し異なっている。いずれにしても北海道のケナシは山林が語源とあって、地味な里山がほとんどである。小樽二山のうち道道393号(小樽赤井川線)が通過する方の毛無山は展望の良さで有名であるが登山の対象ではない。我々が目指した毛無山は、以前に於古発山〜遠藤山から狙ったが、林道跡が風倒木帯となっていて届かなかった650mピークの方である。

今回は積雪期でもあり、地形図上の最短ルートからこの山を考える。小樽市廃棄物処理センター(小樽市桃内2丁目)からそのまま沢沿いの歩道(地形図上)を進む予定でいたが、「駐車禁止」「立入り禁止」の看板があるため車が停められない。しかも、廃棄物の最終処分場造成中とあってゲートも設けられている。大きく迂回しての強行突破も考えるが、さすがにそれはすべきでなくルート変更を考えざるをえない。ラッキーなことに処理センターの建物前に車1台分の排雪するためのスペースがあったため、ここに車を停めさせてもらい、対岸の尾根末端から取付くことにする。冬場の駐車スペース確保の有無は山行の成否をも左右させるといっても過言ではないようだ。

 対岸へは小沢を渡る。川の両岸は急斜面となっていることが多く、ここも尾根の取付きまでが一苦労である。崩れそうなスノーブリッジをだましだまし渡って渡渉は何とか成功、対岸の急斜面を登りきる。尾根上は雑木林となっている。話は逸れるが、先日出勤中のカーラジオで耳にしたが、雑木林とは木材としては役に立たない細い木々の総称とのことで、林業の視点からの言葉のようである。若木がもう少し生長した状態をいうのであろう。そんな意味を考えれば、ここの樹林は雑木林という表現がぴったりである。

頂上へのアプローチとなるこの尾根は複雑に凹凸が絡んでいて、細かな地形を読むのが難しい。帰路の滑りを考えれば極力登り返しが少なくなるようルートを取った方が良いところだが、硬い雪面にふんわりと新雪が積もった状態では、トラバース時のトレースが直ぐに崩れてしまい意外と疲れるものだ。概ね広く傾斜がない場合はそのまま尾根上を辿る方が正解かもしれない。登りではかなり神経質にルートを考えたつもりでいたが、日頃メンテナンスというものを一切していない私のスキーでは下りでも全く滑らず、多少の登りであればシールもいらない状態であった。結果的には取りこし苦労だったようである。

尾根上の傾斜は緩く、385m標高点のコブへの登りが急斜面となっているだけである。この急斜面を登りきると再び広い雪原となり林道と出合う。しばらくは林道に沿って進む。GPSを取り出して見ると頂上からの距離が少しずつ遠くなっているようだ。頂上を通過するように続いているはずの林道はこちら側も既に廃道となっているのか分岐は見つからなかった。直線距離で約900m、頂上目指して真っ直ぐに進んで行く。辺りは白樺の整然とした樹林帯となっていて風下側は樹林全体が真っ白に雪化粧、風上側は木々の木肌がそのままと、正反対の様相となっている。横殴りの北西風の影響だろう。そのまま進んで行くと前方全体が真っ白な急斜面となる。

GPSの性能は、距離は教えてくれるがルートは教えてくれない。東側が切れ落ちた頂上丘稜の下にでてしまったようだ。ここで90度針路を変更、比較的緩い北側の斜面へと回り込む。 頂上への稜線上は北西風の影響で、吹き溜まりのため雪面が波打っている。広い雪面を登り詰め、一昨年以来のリベンジとなる頂上到着である。白樺を主とした雑木林で視界は良くないが満足感は十分である。北東の急斜面側の視界は良さそうだが、あいにくの降雪で何も見えない。ここはのんびりと休憩、天候の回復を待つことにする。せめてとなりの塩谷丸山だけでもとカメラを構えていると、にわかに日が差しはじめる。雪雲の筋が少しズレたのかもしれない。白く浮かび上がる塩谷丸山をカメラに収め、シールを外す。

 下降中、スノーモビルの爆音が沢沿いの林道に聞こえる。彼らはゲートを突破したのだろうか?…この答えは下山後、自宅のPCを見ていて明らかになった。最近のgoogleマップの航空写真を見ると、地域(特に都市周辺部)によってはかなり詳細な写真が載っていて、林道の状況などがよく判る。今回のケースでも、立入り禁止の看板があるゲートの少し手前が予定していた林道の入口であった。ついスノーモビルがゲートを強行突破したものと思い込んでいたが、彼らへの登山者特有の偏見であった。彼らは最初から林道入口を知っていたのだ。我々は除雪された道路ばかりを見ていたために見落としてしまったようである。googleマップの詳細な航空写真はこんな場合には大いに役立ちそうだ。(2010.1.24)

【参考コースタイム】

廃棄物処理センター前 9:40 無山頂上11:55 、〃発 12:25 登山道入口 13:25

 (登り2時間15分、下り1時間)

メンバーsaijyo、チロロ2

<最初へ戻る