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      無山(816m)

意外に登り応えがある、せたな・毛無山

1/25000地形図後志太田」

薮漕ぎて゛尾根上へ上がると、毛無山が姿を現す
日出直後に旧太田小学校前を出発
太田付近の海岸線

毛無山は坊主山のように、木が少ないことからこの山名になったと思っていたが、Web上を調べたところ、全国的にも「毛無」の名は多く、木が少ない山、逆に木が多い「木成」からの転化、アイヌ語など、まちまちであった。sakag氏によると、北海道の場合はアイヌ語「ケナシ(林野、木原・湿地・原野)」に「毛無」の字を当てたものがほとんどだそうである。今回登った毛無山はせたな町・大成区にあり、1000mにも満たない山域であるにも関わらず、海岸近くからのスタートであるために登り応えのある山であった。

入山口の太田地区は1993年の西南沖地震で大きな被害を受けたのか、海岸沿いの民家は皆新しい。予定した尾根への取付き地点である旧太田小学校は集落から40mほど高い地点にあり、津波の際の避難場所となっている。日がようやく昇った時間帯に到着したが、冬型の気圧配置のため天候は荒れ気味で、こんな時に車から飛び出すには少々の勇気が必要である。ただし、大抵の場合は歩いているうちに、そんな気持は吹き飛んでしまうものである。地形図には載っていない林道が砥歌川沿いに続いているため、これを利用、出来るだけ効率のよい尾根取付き地点を探す。

1kmほど進むと林道は目的の尾根から離れてしまうため、ここで尾根に取付く。取付いてみると積雪が少なく、急斜面をキックステップで登ろうにも蹴り込むと土面となってしまって、全く踏ん張りが利かない。そうこうしているうちに笹薮となり、中途半端に雪の重さで沈んでいる笹薮漕ぎは、ラッセルと薮漕ぎのダブルパンチで、とにかく最悪である。尾根上は状態が良いことが多いという経験的な予測に期待して1時間も登ったであろうか。徐々に笹薮の密度が薄くなり、何とか尾根上へと抜け出る。この時点でKo玉氏が予定している太櫓山(805m)は、この時期の日照時間の短さを考えれば少々難しいように感じられる。地図がガイドチームとしては膝に故障があるチロロ2さんのリハビリ山行を兼ねていることもあり、何とか毛無山一山だけを踏めば良いと考えていた。一息ついてパーティ分けとなり、太魯山へ向かうパーティはスノーシューやワカンを付け、すぐさま出発する。ツボ足の地図がガイドチームは少し遅れての出発である。目指す毛無山のピークは見えるが、まだまだ遠い。

641m三角点のピークへは長い登りを強いられそうであるが、ここが山行中一番の登りであり、登りきりさえすれば大きな高低差はひとまずクリアできる。途中、左手に太田山や帆越山などの海岸付近、また、瑠璃紺色の日本海の向こうには白い奥尻島が浮かび、この日一番の眺望を楽しむことができる。先行するワカンやスノーシューの足跡は、だましだまし歩けば沈まないが、油断すると膝まで落ち込んでしまい、その度ごとに閉口させられる。641mまで登り切ると頂上はぐんと近づき、全体像が目前に現れる。時計は11時少し前、稜線上ら頂上へ回り込むことを考えると、タイムリミットとなる13時までの2時間ではぎりぎりといったところである。次の650mポコまでは比較的楽に到着する。そのまま沢へ50mほど下り、頂上へ向かう尾根に取付いた方が効率が良いようにも感じられるが、先行パーティとの約束である782m標高点から毛無山頂上までのトレースは付けて置かなければならず、ここは782m標高点を目指す以外に選択の余地はない。

毛無山頂上にて 頂上から、届かなかった太櫓山方面を望む

782m標高点への登り、ふと気が付くと先行パーティの話し声が聞こえる。太櫓山へはこの時間からではどうやっても届かない。日没覚悟で突っ込む気なのか、そうなれば毛無山への先行トレースは絶対条件である。途中、標識も付けているようだが、どう考えても少しポイントがズレているような気がする。それにしても目指す毛無山頂上がいつまで経っても真横に見えているというのは、何とも遠く感じられるものである。782m手前で先行の3人が立って待っている。爽やかな笑顔のKo玉氏、今日は毛無山のみで太櫓山は止めたとのこと。赤布はカバノアナタケ発見地点を示すものであった。

私にとって、一番気がかりだったのは782mから毛無山へかけてのツボ足ラッセルであったため、彼らの予定変更で、頂上への距離感はぐんと縮まる。ワカンの足跡を辿ってみて、これが全くのツボであったら、果して頂上へは到達するであろうか、つくづく考えさせられる。途中からルート変更していた場合でも同じである。私はスノーシューやワカンといった道具を未だ使ったことはないが、沈まないということだけでも、体力保持にはかなり有効な手段と思われた。頂上へのコルは広い雪面となっていて、先行する3人はあっという間に下って行き小さくなる。遠いと思われた頂上へは二、三度のアップダウンを繰り返しながらも直線的に近づき、最後は長い斜面を登り詰めて頂上到着となる。太田付近や瀬棚付近の海岸線は見えるが、肝心の山々は雪雲に霞んであまり見えない。天候が怪しくなってきたこともあり、長居は無用である。

 下りは速いもので、782mへの上り返しも気にならない程度のものであった。ただし、膝を痛めたチロロ2さんのリハビリを兼ねた山行も笹薮の下降が少々膝に堪えたようで、下山後はまともに歩けなくなってしまった。もっとも、一般的に考えて、久々の山行が約8時間もの行動時間であれば、きつくない方がおかしいのかもしれない。私も精神的な余裕がなくなっていたのか、どこかにストックを置いてきてしまったようである。いつの山行でも、余裕を持っての行動は重要な要素と言えそうだ。(2008.1.2)

「一人歩きの北海道山紀行」sakagさんの山行記

【参考コースタイム】 旧太田小学校 P 7:20 尾根取付き 7:45 → 783分岐 11:35 毛無山頂上 12:20 、〃発 12:30 783分岐 13:00 尾根取付き 15:10 旧太田小学校 P 15:30  (登山道ルート;上り5時間、下り3時間 ;sakagさんのコースタイムを参考)

  【メンバーsakagu@函館さん、Saさん、ko玉さん、saijyo、チロロ2

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