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  鐘尻山(916.3m)

頂上が丸く道北特有の穏やかな山容の毛鐘尻山

1/25000地形図 「毛鐘尻山」

作業道跡への入口に車を停める
規模はかなり小さいがナメ床が続く

   2〜3年前のことだったか、Web上で下川町周辺の山でヒグマと至近距離で遭遇したという山行記録を見て、いくらなんでもこんな山に自分が行くことはないだろうと思った記憶がある。昨年から名寄へ転勤になったKo玉氏より電話があり、毛鐘尻山へ行かないかとの誘いを受ける。山域の最高峰(最高地点は別)でもあり、誘いに乗ってみることにするが、地形図を見る限りでは林道からも近く、時間がかからない半日で片付く山との印象をもった。林道状況は地元の氏が担当、鍵を予め用意し、アプローチに関しては準備万端である。札幌からは遠く、日が暮れてからの現地着ということもあり、ゲート前で合流、車中泊とする。Ko玉氏が唯一の情報源として持ってきたWeb上からの山行記録を見て驚いた。なんと、Yanさん(やぶやま探訪記)のヒグマと遭遇したという例の山行記である。数年前の話で、現在でも同じところに同じヒグマが居座っているわけはないのだが、一度持ってしまった印象とは恐ろしいもので、嫌が上にも緊張感が高まってしまうから情けない。

この壁が現れ、地形図上の崩壊地の中にいることが判る

記録によると入渓地点から先にはクヮウンナイ川・滝の瀬十三丁のミニ版が見られるとのこと。この時期、朝晩の冷え込みが増してきたこともあり、林道入口からは作業道跡を使うことにするが、この作業道跡も直ぐに土場となって終了している。荒れた踏み跡はさらに続き沢へと下って行く。入渓地点はこの規模の沢としては珍しいナメ床となっているが、Yanさんの記録で見た最も見事な地点はもう少し下流側であった。昨日の雨のためか予想以上に水量は多いが、何時もは水量の少ない沢であろう。

下流から二股の数をしっかり数えながら進んだつもりでいたが、なぜか数えたより二股が一つ多い。途中、赤いナメ床も現れ、Yanさんが紹介しているルートと同じであることは間違いないようである。コンタ610mの二股から頂上右側のコルへ向う枝沢へ入ったつもりでいたが、さらに二股が現れ自信をなくす。ここの左股が結果的には正解であった。そもそも林道からのアプローチでうっかり現在地を確認もせずに出合まで到着してしまい、いきなりここが現在地とKo玉氏から知らされるが、私自身としては地形図と現在地とが今ひとつ一致していない。全く別の沢に入っているような気さえしてくる。協議の末、右股をさらに進み地形図上の大崩壊地を確認することにする。“地形図上の崖マークはあてにならない”とはよく言われているが、現地での地形図からの情報はやはり影響が大きいものである。二股から少しのところから崖マークが現れるはずであったが、やや進んでもいっこうに現れない。途中、辛うじて遠くに崖を確認するが距離がありすぎる。疑心暗鬼の状態で進んで行くと、さらにダメ押しの二股が現れる。Ko玉氏曰くは、既に崖マークの入口にいて、左股は二つの崩壊地の左側とのこと。多少遠くなっても、とりあえずはこの左股を進んでみることにする。結果的にはKo玉氏の読みが正しかった。途中からは少し遠く感じる毛鐘尻山の姿が確認できる。幸いなことに崩壊地ではあっても登れそうな藪斜面が随所に見られる。枝沢を一つ行過ぎてはしまったが、ここはしゃにむに稜線へ上がるのみである。

毛鐘尻山頂上の展望は良くない やっと探し出した三角点。周囲は刈り分けられている。

稜線上は根曲がり竹とハイ松の藪漕ぎである。この標高でのハイマツ漕ぎには驚かされる。この状況を最初から知っていればこんなルートは決して取らないとはKo玉氏の弁。ハイ松をできるだけ避け、比較の上では進みやすい根曲がり竹の藪に進路をとり、コブを二つほど越えると一面ハイマツの生えた頂上部となる。最後は三角点の確認作業が待っている。ここで決め手となるのがYanさんの山行記にある「三角点は白樺の木の根元にあり」との情報である。当然、白樺の木付近を片っ端から探す。三角点の臭いが判るというKo玉氏、その臭覚からか待望の三角点を探し出す。周辺は綺麗に駆り分けられており、北広島からの登山者がH17.7月に登ったと記されたテープが残されていた。北広島の彼が三角点マニアなのか全山登頂を目指している登山者なのかは判らないが、我々と同じ趣向の登山者が増えつつあることだけは確かのようだ。

下山は車を停めた出合を目指し、GPSを頼りに藪尾根を真っ直ぐに下ることにするが、すぐに根曲がり竹の深い藪となる。最初はGPSが示す方向へ順調に下って行くが、ふと見ると順調に縮まっていたはずの駐車地点までの距離が逆に増えている。何とか縮まる方向へと努力はしてみるが、距離は縮まるどころか離れるばかりである。パンケオロピリカイ川・コンタ600mまでは沢を下降することにし、下山方向を変えて根曲がり竹の向く方向へ下降することにする。それにしても、この網の目のように絡み合った太い根曲がり竹、過去に経験したものと比較しても間違いなく第一級である。登るどころか下ることさえ容易ではない。

途中、何度か集材路跡が現れ、やった!と思うが、ぬか喜びとはこのこと、直ぐにまた深い根曲がり竹の藪に突入である。喜びと期待はずれとが繰返され、最後は細々と続く小沢を下って何とか林道へ飛び出す。飛び出した地点は地形図上の林道から延びた、地形図上には載っていない林道であった。駐車地点とは全く逆に出てしまったようである。40分の林道歩きで駐車地点へ辿り着く。 (2005.9.24)

【参考コースタイム】 パンケオロピリカイ川林道P 7:05 → 地形図上・崩壊地 8:40 → 毛鐘尻山頂上 10:45、〃発 11:05 → 林道飛び出し地点 12:40 → パンケオロピリカイ川林道P 13:25

メンバー】Ko玉氏、saijyo、チロロ2

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