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 川流布山(634.4m)

    

    

 

 

川流布から見る川流布山は穏やかな感じ

1/25000地形図 「川流布「栄 穂

支線林道の途中に車を止める
尾根末端までは林道歩きとなる
林道から急斜面を登る

 北海道内であまり登山の対象とはならない山域の一つに白糠丘陵がある。十勝地方と釧路地方にまたがる意外に広い山域で、標高500m〜700mの山並みが広がっている。だが、一般的には登山の対象としてのイメージには程遠い。以前に山域北部のウコタキヌプリに登ったが、もう一つこの山域で名前がある山として、この川流布山が気になっていた。ただし、この山を下山してから判ったが、本別町・義経山の名も地形図に載っており、この山域で名前の付いた山は三つということになる。

針葉樹林帯の急登       藪がないので気持が良い

 川流布の名は確定的な由来は定かではないようだ。浦幌町・町史によれば「明治の地図でカパルフプ(Kaoar-hup平たい・とど松) それが、カパルプ(Kaoar・up)と呼ばれ、仮名書きでカパルプとなり「川流布」と当て字されたとのこと。『北海道の地名』では、カパルプ「平たい岩・にある・もの」で、いずれから名づけられたものかは不明。明治39年の「村役場統計表其の2・里程表」を『沿革史』で見ると「カパルップ」と使われており、明治末期から大正初期にかけては「川ロップ」が使われている。その後、大正7年10月10日に地名変更が行われ「川流布(かわるっぷ)」となり、昭和28年、字名地番整理によって「かわりゅうふ」となった。」とのこと。そんな経緯から考えれば、地区名は「かわりゅうふ」、川の名は「かわるっぷ」、よって現時点でのこの山の山名は「かわるっぷやま」が妥当なところだろう。

 本別の道の駅「ステラ☆ほんべつ」で前泊、まずは川流布へと向かう。川流布を過ぎてからはシカ柵を開けて川流布川沿いの林道へと入る。途中、私が当初考えていた小沢出合からは支線林道(ポンカワマップ林道) が延びているが、入口にはゲートがあって施錠されている。Ikkoさんの考えていたルートはさらに奥へと入るらしい。確かにIkkoさんのルートからの方がピークは近そうだが、車高の低いオルティアでそこまで入れるかどうかは微妙。Ikkoさんの車は車高の高い4WD車、おのずと考えるルートも違ってくるようだ。その先、道路が小沢で一部崩壊、Ikkoさんの尽力でそこを土砂で埋めてさらに奥へと進む。この時期の林道としては珍しく、一台の四輪駆動車が入って来た。もちろん相手も我々が珍しかったようだ。話によればシカ猟とのこと、我々が札幌から登山目的でやってきたことを話すと、「えっ!ここの山って、有名なの?」とけげんな顔をされた。別に登ってもよい山が指定されているわけではないのだから、我々にとっては北海道100名山もこの川流布山も並列関係で、登りにやって来たところで何ら不思議がられる筋合はない。この日の彼らの狩猟の計画を確認、四輪駆動車と別れる。

ここを登ると頂上に飛び出す 川流布山頂上に到着

  分岐で川流布川を離れて支線林道へと入る。この先はどこでストップとなってもおかしくはない状況。結局、目的の取付き地点までの約半分の地点に退避場があり、そこに車を置くことにする。知らない林道ではあまり深入りしないことも転ばぬ先の杖である。取付き地点まで歩いたところで大したことはない。出鼻を挫かれては敵わないのでGPSで取り付き地点をしっかり確認する。ここの尾根末端はどこも急斜面、少し回り込んでから斜面に取付く。この日の足回りとしてはスキー、スノーシュー、ワカンと用意してきたが、この山域は積雪がほとんどないため、履いていたスパイク長靴そのままが一番適していた。けっこうな急傾斜、木々につかまりながら標高を稼ぐ。薄っすら雪の付く斜面にスパイクがしっかりと刺さり、この道具の素晴らしさを改めて感じる。取付きからの藪は薄く、どこでも登山道といった感じがする。このままの状態が頂上まで続くようであればかなりラッキーな一山となるだろう。木々の間からは山域独特の急峻で標高差のあまりない山々が広がっているが、とても山座同定とまでは行かない。もっとも、名の付いた山自体が無いのだから当然かもしれない。

やはりマイナーピークは金麦
やはりマイナーピークは金麦

  途中、作業道に飛び出すが、直ぐに尾根筋へと戻る。コンタ500m付近で一旦傾斜が緩んでほっと一息、大きく雪の付いた山影が遠くに見える。この日はオホーツク海で低気圧が停滞、西高東低の気圧配置がいつまでも続いており、青空をのぞかせているのは道内でここの山域周辺のみである。そう考えると喜登牛山かとも思えたが、確証はない。手前の広くゆったり広がった山も気になるところだが同様である。ただ、何となく足寄方面であることだけは判る。北海道全山男・Ko玉氏であれば既に両山共に足跡を残していることだろう。そんなことをつい考えながら次の急斜面の登りへと入る。登り詰めた先から頂上部までは緩い尾根、ここまで登ればさすがに回りの音から強風が吹いていることが判る。最後は木々の間から差し込める陽光を浴びて川流布山の頂上へと到着する。結局、最後まで藪を漕ぐことはなかった。この様子を知っていれば、初心者をこの時期に連れてきても十分にOKである。三等三角点「川流布山」は直ぐに確認できる場所に埋まっていた。頂上展望は木々が邪魔してあまり良くはないが、とにかくウコタキヌプリ登頂以来、この方面ではいつも気になっていたこのピークに立てたことには十分に満足できる。

 休憩は三角点から風下側に数メートルほど下ったところ。風音の割には無風状態である。こんな日は休憩する位置を少し工夫しただけでも快適な時間が過せる。小春日和の中、例によって金麦に手を付ける。また、この時とばかりにチロロ2さんの今年の年賀状写真を何枚も撮るが、基本的には皆どれも同じで、全て不採用となった。納得してもらうためには魔法のフィルターでも欲しいところだ。下りは登ったルートをそのまま引き返す。途中で通過した作業道が気になっていたのでその作業道を辿ることにするが、山腹を巻きつつ、ポンヤマルップ林道へと回り込んでいる。車を止めた位置が一番近いところから尾根下降、最後は小沢に下りてすぐに林道に飛び出す。飛び出したところが車の真ん前だったことにはびっくりしたが、これもGPSあってのことだろう。

 下山後、シカ撃ち目的の別の地元ハンターグループとすれ違う。何だ!こいつらは… といった迷惑そうな目でこちらを見ていたが、我々は立派に登山者、少なくても殺生を趣味としているような連中に邪魔者扱いされる謂れなどない。食害等でのシカの駆除は致し方ないのかもしれないが、偏見かもしれないが個人的な感想を言わせてもらえば、狩猟をやっている人間などろくでもないやつらばかりだと私は思っている。ヒグマとの真っ向勝負くらいの気概があるのならいざ知らず、こちらに向かってこない動物を狙い撃ちするやり方自体がフェアでない。ともあれ、全道的に荒れまくったこの日、Ikkoさんのルート計画によって首尾良く一山ゲットとなった。(2013.12.15)

【参考コースタイム】 支線林道途中 P 8:40 → 尾根取付 8:55 → 川流布山頂上 9:50、〃 発 10:10 支線林道途中 P 11:10  (登り 1時間10分、下り 1時間)

メンバーIkkoさん、saijyo、チロロ2

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