<戻る

  十勝幌尻岳(1846.0m)   

十勝平野から見る十勝幌尻岳

 

/25000地形図 「札内岳」「拓 成」

登山口の土場は広い駐車場となっている
ムラサキヤシオツツジはいたる所で見られる
藪の被った登山道を登る
雪渓を登り詰めると頂上は近い

十勝幌尻岳は支稜線上の山であるが、標高が1800mを越えていて、日高山脈の中では高峰といえる。また、同山脈の他の1800mを越える山と比較して最も人里近くに位置しており、十勝平野に裾野を広げる姿は正に “ポロシリ”と呼ぶに相応しい大きさを感じさせる。北海道の100名山(北海道新聞社刊)の一つに挙げられるこの山は、このHPの共同制作者であるチロロ2ことHi 女史が担当執筆している。四季を通じて楽しむことが出来る山と聞いていたので、今回は雪渓が残るこの時期に、高山植物と頂上からの展望の撮影を目的に登山道を辿ってみることにする。

登山口は戸蔦別川支流のオピリネップ川沿いの林道を約2km入った土場跡である。古い作業道を辿り、先週の山開きに合わせて取り付けられたという丸木橋を2度ほど渡り、登山道は伸びている。沢沿いであるため渡渉を繰り返すが、さすがに登山道でありほとんど靴を濡らすことはない。歩き出してしばらくは楽しみにしていた花がほとんど見当たらず少し心配になるが、登って行くうちにまず薄黄色のウコンウツギが現れる。尾根に取り付く頃からはあちこちにピンク色のムラサキヤシオツツジが見られるようになり、足元にはオオサクラソウが可憐な姿を見せてくれる。標高を上げてゆくとエンレイソウやそれを巨大化したようなオオバナノエンレイソウが随所に見られる。さらに標高を上げて雪渓が現れるころになるとシラネアオイやショウジョウバカマの群生も見られ、花好きでなくてもその美しさには魅了される。

普段は、ルートファインディングに明け暮れしていることが多く、“森を見て木を見ず”というわけではないが、花に目を向ける余裕がないというのが正直なところである。今回は夏尾根登山であり、ポケットに入っている地形図のコピーを敢えて開く必要性も感じず、登山道を忠実に辿って行くのみである。以前は尾根に入ってからは笹が被っていたそうであるが、Hi 女史の話では、登山道もかなりしっかりしてきたとのことである。毎年相当数の登山者がこの登山道を辿っているのであろう。すでに解答が判っていて、冒険性という面では面白みに欠けるのは事実であるが、視点を変えれば確かに花の山であり、いつもとは別の満足感がここにはある。

上部で見られるショウジョウバカマ オオバナノエンレイソウ

一方、展望であるが通称“肩”と呼ばれているところで北尾根上へ飛び出す。ここからは隣の札内岳の鋭角的な山容や日高幌尻岳や戸蔦別岳の特徴的な姿、それに続く北戸蔦別岳、1967m峰、ピパイロ岳、伏美岳、妙敷山と戸蔦別川流域のほとんどの山々が目に飛び込んでくる。さらに頂上まで上り詰めると、これらの山々に加えカムエク、コイカク、1823m峰、1839峰、ナメワッカなど北・中部日高の主だった山々、晴れていれば南日高の山々も指呼することができ、正に日高の展望台と呼ばれるに相応しい山である。機会があれば四季それぞれの眺望を楽しみたいものである。

下山は往路をそのまま下るが、北尾根上に残る雪渓は1472m標高点付近にまで続いていて、“肩”から登山道へは戻らず、そのまま下降したい衝動にも駆られる。しかし、この時期は麓の雪が消えているので、コースを外れることは許されない。 (2004.6.13)

【参考コースタイム】 登山口 7:45 → 尾根取付き 8:55 → 頂上の肩 11:40 → 十勝幌尻岳頂上 11:50、〃発 12:35 → 登山口 14:45 

メンバー saijyo、チロロ2

 

十勝幌尻岳の頂上に到着

頂上から見る1839m峰(右)とコイカクシュサツナイ岳(右手前)、ヤオロマップ岳(左)

頂上から見るカムエク(右)とピラミット峰(左)

頂上から見る札内岳(右)とエサオマントッタベツ岳(左)

頂上から札内岳方向の眺望

<最初へ戻る