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      加車山(897.5m)

カルルス温泉付近から望む加車山

1/25000地形図 「カルルス温泉」

林道跡の入口と思われる地点に車を止める
スタートから終始笹薮ばかり
途中、オロフレ山が見えた
加車山頂上はひんなところ
三等三角点「加車山」が埋まっていた

加車山(かしゃやま)はオロフレ峠の東側に位置する1000mにも満たない低山である。オロフレ峠の標高が930mであり、加車山よりも30mほど高く、高さだけで考えれば登山の対象としては少々興ざめする感は否めない。しかし、カルルス温泉側から見ると意外に迫力があり、来馬山とはカルルス温泉を挟んで立派に対峙していて、一見“独立峰”といった感じの山である。この山の南側には火口湖である秘境「橘湖」もあり、積雪期であれば、カルルス温泉から橘湖の外輪を廻ってこの山を往復するのも楽しいかもしれない。無雪期のこの山は頂上へ向う登山道はもちろんのこと、顕著な沢形もなく、全くの藪漕ぎ登山であり訪れる登山者はほとんどいないと思われる。

藪が多少薄くなり、虫も居なくなる初冬のこの時期を狙ってこの山を目指すことにする。オロフレ峠へ向う道道2号線(洞爺湖〜登別線)はカルルス温泉から先、オロフレスキー場までの区間は、冬期間夜間通行止めとなるため、午前9時以降でなければ車を乗り入れることが出来ない。今回はまだ11月ということもありゲートは開いていたが、オロフレトンネルの洞爺湖側は既に圧雪状態であり、峠の早い冬の訪れを感じさせられる。

決まったルートなど元々ないこの山は、ゲートから先であれば何処から取付いても同じであるため、車が止めやすい場所を登山の起点とする。コンタ550m付近には古い林道入口があり、この入口に車を止める。林道は入口しか残っておらず、その先は荒れて道路の形跡すら残っていない。しかも周囲には不法投棄のゴミも散らばっている。そのまま林道跡を探すのも嫌になり、駐車地点からいきなり藪へ突入する。笹薮を漕ぐすぐ横を観光バスが走り抜けて行く。笹薮は中程度でありそれほどの苦労はないが、先はまだまだ長く、標高を上げて行けば藪が薄くなり歩きやすくなることを期待して進むしかない。所々で小さな沢形を横断する。沢形の中も笹薮が薄ければルートとして使えるところであるが、この規模の沢形では藪の密度もあまり変わらず、沢形ルートも決して効率が良いとは言えないため、真っ直ぐに進むことにする。

車の騒音が少し遠くなったところで、トドマツ林となる。林の中は薄暗いが、下草は全くないために快適である。5分も歩くと再び笹薮となり傾斜が増してくる。沢形で藪が薄くなっている所や、笹薮の背が低くなったところでは尾根上も辿り、一気に標高を上げてゆく。背後には来馬岳の大きな姿が、また西側には崖が剥き出しのオロフレ峠付近、さらには薄っすらと雪が被ったオロフレ山のひときわ高い姿を望むことが出来る。高度計が800mくらいで徐々に傾斜が緩くなり平地となる。辺りは背丈以上の笹薮であり、進むべき方向も含め、現在地確認のため、木に登ることにする。木登りはこんな場面では意外に効果的である。最近ではGPSを持って歩く登山者が多くなり、そんな必要もなくなったのかもしれないが、自分の目で距離感やルートの目安をつけるためにはやはり有用であることには変わりない。

加車山頂上から見る幌別市街 頂上からカルルス温泉をズーム

木の上からは東側200300m先に、目的とする加車山頂上らしき樹林の塊が見えている。予定していた地点よりも、かなり西側に飛び出してしまったようだ。頂上台地上は部分的に笹薮の一部が雪で倒されているところもあり、思ったよりは歩きやすいが、背丈以上の藪が行く手を阻む。所々で頂上を確かめながら近づいて行くと、約1020分くらいで頂上と思われる地点に到着する。確認のため三角点を探すが見つからず、再び木に登り、その先の様子を偵察する。東側は狭くなっているが、稜線が尚も続いている。稜線上をさらに進んで行くと、もうそれ以上高いところがなくなり、その2mくらい先の藪の中に加車山の二等?と思われる、埋もれた三角点を発見する。頂上からの展望は西側半分が樹木のために全然利かないが、来馬岳始め室蘭付近の山々、また倶多楽湖や白老岳付近の山々が望まれる。

反省点としては、スタート時点で入山地点のカーブを読み違えてしまい、終始辻褄が合わなかったことである。考えていた地点よりも一つ上のカーブから入ってしまったため、入山地点で合わせた高度計の標高が実際よりも30mほど低かったようである。何となく高度計が低く表示されているようには感じていたが、これを高気圧の影響と思い込んでしまっていたため、かなり西側で頂上台地に飛び出したにも関わらず、頂上のすぐ西側と錯覚してしまった。頂上台地に飛び出してから、頂上が遠く感じたのはこのためであった。(2004.11.21)

【参考コースタイム】道道2号線・駐車地点 8:40 → 加車山頂上 11:20、〃発 11:45 → 道道2号線・駐車地点 13:05

メンバーsaijyo、チロロ2

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