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      勝山(985.0m)

全体的に丸みがある狩勝山

1/25000地形図  「落 合」 

作業道入り口に車を停める
輝くピークは冬山登山の醍醐味と言える
狩勝山頂上から十勝平野を望む
頂上近くの樹林帯を行く
二等三角点「狩勝」
頂上からの南望

師走の道内では低気圧の通過毎に冬型の気圧配置となり、決まって寒気が入ってくる。この時期の日本海側では西高東低の気圧配置が緩むわずかの隙間が山へ入るチャンスとなるが、日曜日とそれが重なることはあまりなく、晴れることが多い太平洋側の山を視野に入れておかなければせっかくの休日を無駄にしかねない。今回は積丹方面への山行を計画していたが、荒天予想に早々と代案であった狩勝山への変更を決める。狩勝山は峠を挟んで佐幌岳と立派に対峙する位置にあるが、山容は少々小振りで、全体的には丸みがあって決して魅力的な山とは言いがたい。ただし、この日は雪雲が隣の落合岳や国境山付近まで迫っており、晴天の山としてはこの山が限界の位置にあったようである。アプローチは地形図上の国道から斜めに入る林道で、それに続くであろう作業道、集材路の利用を考えての計画である。

雪に隠れた林道へko玉氏のオフロード車で入り、まずは作業道を探す。積雪は10cmといったところで、笹薮に雪が被った程度である。さすがに笹薮へのいきなりの突入は避けたいところで、山方向へ登って行くブル道はないものかと探していたところ、国道から800mほど入った地点に予測通りの格好な作業道を見つける。できれば長靴が良さそうであるが、標高が上がれば深雪ラッセルとなることも予測される。ひょっとしたらツボでは頂上へは届かないのではないかと考え、思い切って今シーズン初のスキー登山とする。ただし、道があるところでは何とかなりそうが、笹薮が続くようであれば、かなり苦戦しそうである。作業道は最初、思惑通り快適に伸びていたが、200mほども進むと別方向へと向かい出し、やむなく笹薮へ突入することにする。スキーを履いての笹薮漕ぎはあまり考えたくない選択である。舳先を大きく上げて踏み込まなければならず、下手したらスキーの長さの分だけ余計な藪を引っ張らなければならない。日頃から大腿四頭筋をよほど鍛えておかなければ笹薮スキーの選択はありえない。我々は、たまらず植林地へ逃げることにする。

植林地内には歩道が上部へと続いており、スキーを滑らせ、シールを効かせての前進ができるからラッキーである。歩道といっても集材路なのかどうなのかは判らない。以前にこのHPの山行記の中で“造材路”という用語を連発したことがあるが、この用語は間違いとのこと。今でもWeb上で検索をかけると、接続不能となったプロバイダーのサーバーに入っている私のページのみが表示され、時折恥ずかしい思いでそれを眺めている。ただし、ここの植えたばかりの幼木を見ていると、この“造材路”の方が“集材路”よりは適っているようにも見えてくる。ちなみに森林管理局の話では林道、作業道、集材路、歩道の順に道路の格付けがなされているとのことで、よく使われる「ブル道」とは集材路のことだそうである。

植林地内の歩道は標高700m付近まで続く。ここまで上がると積雪量も増してきて、スキー登高もまずまずである。笹の先が雪面に沈み、それを引っ掛けての前進は余計なエネルギーを使わされるが、密な潅木につかまりながら腕の力で登れば、それなりには快適に標高を稼ぐことができる。背後には登ってきた植林地が樹林の隙間から急角度で望まれ、いつ終わるとも知れぬ藪山斜面の登高に元気を与えてくれる。

視界の中に空の占める割合が増すと頂上は近い。頂上付近は幾分小高い樹林帯となっているが、ピークはさらにその奥にある。樹林が途切れ稜線上となり、逆光に輝く狩勝山ピークが目前に姿を現す。先行するKo玉氏とチロロ2さんが三角形の頂点上に立っている。北西風は冷たく、カメラのシャッターを切る指の感覚さえなくなってしまいそうだ。一登りで頂上に到着すると、三角点はすでにKo玉氏によって掘り出されている。もう少し積雪量が増せば、位置は特定できても三角点にはなかなかお目にかかれないものである。この辺は厳冬期とは違った初冬の山行と言えるのかもしれない。以前に縦走した日勝〜狩勝の主稜線が眼下に続いている。

この時期は冬山入門とのことで、道内の多くの山岳会が上ホロ周辺を目指し訓練に励んでいる。あいにく十勝連峰はすっぽり雪雲の中にあり、知った顔の面々も今頃はきっと苦労していることだろうと、暫しこの山域に思いを馳せる。一方、十勝平野は相変わらず晩秋の装いであり、冬枯れした平野の佇まいが間近に迫った冬将軍の到来に脅えながらもそれを受け入れようとしているようにも見える。正に季節の変わり目、戦々恐々としながらも季節は移って行く。

 下降はさすがにシールを剥がせない。中途半端なブレーキは戴けないが、藪が顔を覘かせる斜面にスピードが加われば自殺行為といえる。何度か笹に足を取られて転倒するが、こんな斜面では転倒自体に慣れるよりほかない。とは言え下りはさすがに速く、細かいキックターンにて苦労しながら登った斜面もほんの一滑りである。最後はスキーを外してツボにて下るが、積雪は予想していたよりもかなり少なく、結果的にはまだまだ藪山の範疇であった。(2006.12.3)

【参考コースタイム】作業道入口P 9:10 → 狩勝山頂上 11:20 、〃発 11:45 → 作業道入口P 13:05

  【メンバーko玉氏、saijyo、チロロ2

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