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       狩振岳(1323.4m) 

途中から見た狩振岳

/25000地形図  「上トマム」

急斜面から上部を望む
トマムスキー場をバックに狩振岳への斜面を登る
牧場への途中に車を止める(背景は狩振岳)
急斜面を登ると稜線が近づく
狩振岳の頂上は三角点が剥き出しになっている

狩振岳は石狩と胆振の国境の山であり、日勝峠と狩勝峠を結ぶ国境稜線上からは美しい姿で望むことができる。以前にも何度か登っているが、何れも1233m標高点から西側に伸びる尾根末端に取付くルートを辿っている。このルートは稜線に出てから少々長く歩かなければならず、冬型の気圧配置の日には、出来るだけ無駄な体力の消耗は避けたいため、西面から直接登頂するルートへ変更する。

上トマムから狩振岳へ向う道は雪印種苗の牧舎群まではきれいに除雪されている。途中、“家畜への感染防止のため関係者以外の立入禁止”の立看板があり、最近の世情を考えると少し躊躇するが、とりあえずは終点まで行き狩振岳登山の旨を話してみることにする。牧場では何時ものことなのか快く駐車する場所を教えてくれるが、彼らにとって迷惑な話であることには違いない。後で聞いたが付近には私有地が多く、山菜取り等で勝手に人が入り込んでいることが多いそうである。通過だけとはいえ、我々登山者としてはそんなところにも気遣いは必要だろう。

駐車した林道の入口からは757m標高点のある地形上の“コブ”を目指すが、牧場内でもあり出来るだけ林道や作業道上を進むことにする。コブはこの付近では特徴的な地形であるために判りやすく、位置確認のためには格好のポイントとなる。間近で見ると、地形図上のコンタで描かれているよりは高く感じるが、樹木による錯覚のような気もする。コブのすぐ横を通過すると程なく送電線が現れる。ここで頂上に向けてコンパスを合わせ、真直ぐに針路を取ることにする。直ぐに通過予定の小沢の一つを横切るが、同じルートを辿った登山者が残したと思われるピンクテープが枝に結ばれている。よく見ると4050m先にも同じ標識が見えるが、我々はコンパスの示す方向へ真直ぐに進んだため、小沢の渡渉を強いられる。スキーを濡らさぬよう用心して渡るが、下山時に確認したところ、2ヵ所の標識は小沢にかかる古い作業道の橋を示すものであった。山中でよく見かけるピンクテープは無造作に付けられているものが多く、ほとんどは信用できないが、この2ヶ所だけは的確に付けられていたようである。

斜面は概ね緩く鬱蒼とした樹林帯が続く。ただし樹木の一つ一つは幹も太く立派なものが多いため、邪魔になるほどの密度は感じない。二つ目の小沢は小さな沢形で難なく通過する。その後、斜面の傾斜が増しコンタ1050mの急斜面付近であることを確認する。気圧の影響か高度計は実際よりもかなり高く表示されているようである。急斜面は大きくジグを切る。雪面に足を踏み込むと雪が締まる感覚が直に伝わってきて不安定な雪面を歩いているように感じるが、斜面には大木が多く、ここでは長い間に大きな雪崩はなかったといえそうである。コンタ1190mまで急斜面は続き、その後は傾斜も緩くなる。北西からの風の影響でクラストした雪面と吹き溜まった雪面が交互に現れ、シールは効きづらい。スキーアイゼンはこんな時のためにあるのかもしれないが、日頃は使う場面が少なく、無くてもあまり困ることがないため、ほとんど持ち歩かない。稜線上の方が歩きやすそうに見えるため稜線上にルートを取るが、直ぐに頂上に到着する。晴れているわりには風が冷たく視界もあまり利かない。頂上の三角点は風で剥き出しになっている。以前に登った時にもこの三角点は見ており、頂上周辺の稜線上は風の通り道となっているような気がする。耳や頬が痛いので頂上はそそくさと後にし、約5〜6分下った樹林帯の中で休憩する。

この周辺の滑りは積雪が少ない地域であることもあり、あまり良いとはされていないが、今の時期であれば、意外に楽しめる。往路をそのまま下ると、駐車地点までの間は地形的に上り返しがなく、約40分で一気に下山終了である。(2004.2.8)

“味処喜怒哀楽”は大きな提灯が目印

【喜怒哀楽】

「下山したら、まずは温かいラーメンを・・・」冬山登山者なら、だれもが考えるところだ。この山にはルートの起点近くに雰囲気の良い “味処喜怒哀楽”(TEL0167-57-3211)という店があり、味噌・醤油・塩、何れも500円という低価格で食べることができる。ここの女主人はつい2ヶ月ほど前に札幌からここに越してきたとのことで、利益よりも地元定着が第一とのことである。内陸であるにも関わらず、その日その日の新鮮な海産物も格安で食べることができ、我々にとっては下山後の願ってもない場を提供してくれる。トマムは今でも本州からのスキー客をメインとしているイメージが強いが、この店はがっちりと地元指向であり、狩振岳登山のためにあると言ってもよいほどだ。山から降りて旬の魚に舌鼓を打つ。これも、内陸の山・狩振岳登山の楽しみ方の一つとなりそうである。

【参考コースタイム】 牧場・駐車地点 8:50 → 757m標高点コブの横 9:20 → 狩振岳頂上 11:35 、〃発 11:40→ 1170m休憩地点 11:50、〃発 12:10 → 牧場・駐車地点 12:45

メンバーsaijyoチロロ2

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