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    神居山(809.9m) (562.7m)

神居町上雨粉から望む神居山

1/25000地形図「雨 粉」「神楽岳」

今回役立ったgooglマップの航空写真
林道の転回スペースに車を停める
つづらには深い雨裂が走る

沢シーズン真っただ中のこの時期、沢登りをクライミング的なスポーツとするなら、最近の我々の山行は野暮ったい現地調査的なスタイルといえるのかもしれない。ピーク最優先も度を越せば山の爽やかさなどはまるで感じず、山登りの格好の良さなど微塵もない。「地図がガイドの山歩き」のはずであったが、今回は地図ではなくgooglの航空写真を使って旭川の神居山を目指すことにした。カンニングといえばそうかもしれないが、今回は道内700m以上のピーク完踏まで9座と迫っているKo玉氏のための山行ということで、首尾良く神居山と丸山の二山の三角点を踏まなければならない。この山については何度か失敗を繰り返してきた経緯もあって、今回に限っては“解答”をしっかり見ながらの山行とする。

まずは見たいエリアを画面プリントしてペイントにてJpeg変換、Photoshpにてコントラストの微調整をして、これを白黒画面へと変換してプリントアウト、あとはマーキングするだけで立派な林道地図となる。神威山の付近には北電の反射板2基が設置されており、そのメンテナンス用の道路を探してみたが頂上へとつながる道路は見当たらなかった。結局、東側の石灰川からの林道が頂上までの距離としては一番近くまで伸びているようなので、この林道をアプローチとして使うことにした。  

《神居山へ》

石灰川沿いの林道は航空写真からの予側とは違って、狭くて走行には今ひとつといった感じである。コンタ330mからのつづら状はひょっとしたらオフロード車であれば走行可能かとも期待したが、けっこうな傾斜に深い雨裂、ここをハンドルを握って走るのは離れ技といえるだろう。また、航空写真に明瞭に写っているという事は遮るものが一切ないということ。容赦なく照りつける日差と照り返しで見る見る体力は消耗させられる。真夏のこんな時期だけに、熱中症一歩手前の苦行と言っても言い過ぎではない。ただし、航空写真で途切れて見える部分は樹林帯の中であったり、笹やイタドリ等の植物に隠れているだけで、歩く分にはかえって涼しく感じられて快適である。写っているカーブの一つ一つが正確で、木陰の位置まで手に取るように判るから休憩を考えるにも好都合である。

三等三角点「神居山」は飛び出していた 頂上から反射板を目指す
昭和60年設置の北電・反射板 反射板からは旭川市街の広がりが見える

つづらを登りきって一息つくが、写真で見えている道路はさらに続いている。この辺りまで来ると、航空写真に写っていない部分は両側から背丈を越す笹薮が被っているためで、荒れてはいるが道路自体は健在である。地形図上の点線で描かれた小路は既に廃道となっていて、この場での読図にはあまり役立たない。そもそも地形図上の登山道が正確でないことは周知の事実で、こんなマイナーな山で点線の歩道に期待したところで仕方がない。航空写真で道路が消えた地点から頂上付近までは道路跡となっていてかなり笹が被っているが、足もとだけはすっきりしているのでまだまだ利用可能である。こんな笹薮の中にもバイクのものと思われるタイヤ痕が残っており、脱落したと思われる車体の一部まで転がっていた。オフロードバイクを楽しむ連中はこんなところまでも入って来ているのだ。そうこうしているうちに頭上に反射板が現れる。頂上までは距離にして約200m、ここまで来れば多少密度の濃い籔漕ぎとなっても到達可能圏内だ。道路跡はなおも頂上をかすめるように続き、最後は小沢を利用して三角点のある頂上へと到着する。結局、本格的に籔を掻き分けたのはわずかに50m程度であった。

何度か計画して遠かった頂上だが、終わってみれば実に呆気ない幕切れであった。三角点は周りの土が流されてしまったようで、土台あたりまでが顔をのぞかせていた。そのためか反って見つけ辛く、先頭で到着した百戦練磨のKo玉氏でさえ簡単に見逃してしまった。ドン尻のチロロ2さんが意外と簡単に発見できたのは、無造作に辺りを見回していたせいかもしれない。笹薮のために展望は今ひとつだが、笹薮の間からはこの山域にあるもう一つの神威山やイルムケップ山周辺の山々が見える。下りは反射板まで籔を漕いで進むことにする。頂上から反射板までの200mほどが今回の一番の籔漕ぎ区間となる。反射板周辺だけは笹籔がなく快適で、展望も良好だ。平野に広がる旭川市街はじめ、周辺を取り囲む山々の絶好の展望台といえるだろう。

下りは60〜70m先にある往路の道路跡を目指して一気に笹薮斜面を下る。本格的な籔漕ぎはここまでで、あとは往路でたどった顔の高さに笹薮が被る道路跡をしばらく進んで行く。写真に写っている道路へ抜け出ると、驚いたことにバイクが一台停まっていた。聞けばこの林道は旭川では人気のダートコースとなっているとのこと。雨裂もなんのそので、週末にはオフロードバイクの愛好者で賑わっているらしい。以前は西側に付いていた反射板の管理道路が人気だったそうだが、現在は草木に覆われて鬱蒼となってしまったようだ。このようなマイナーな山でさえ、冬にはスノーモビルもいれば夏にはオフロードバイクの愛好者もいる。もはや、マイナーピークも我々登山者だけのフィールドではなくなってしまったということだろう。バイクの彼とエールの交換、一足先にその場を離れたが、途中のつづらで一気に抜き去られた。神業のごとく上手に雨裂をかわして下っていった。つづらの下りの途中、これから登る丸山の特徴的な姿が真正面に大きく見えた。  

つづらの下り、目指す丸山が真正面に見える

三等三角点「丸山」にしっかり触るko玉氏
航空写真には北側の植林地がくっきり
地形図には南側の歩道が載っているがあてにはならない

《丸山へ》

林道を少し戻って、次は丸山である。地形図上で一番頂上近くまで延びているのは、雨粉川沿いの林道の344m標高点から丸山の南斜面を上がる点線の小道だが、前述のようにこれはあてにはならない。小道が林道となっているケースは多いが、さらに廃道となっていることも多く、航空写真には何も写ってはいないので、良くても草木が覆う状態だろうと推測する。はっきり写っているのは我々の下山した林道から北斜面に広がる植林地へと向かう道だが、その入口は見当たらなかった。地形図と航空写真を見比べながら川の対岸にあるはずの道路を特定する。この植林地の道路は頂上まで100m足らずの地点まで延びており、上手くこれに乗りさえすれば頂上は落としたも同然である。

笹薮を漕いで石灰川を渡る。右手に見える針葉樹林帯は写真に写っており、目指す小道はその左側だ。藪の中の判然としない状態が少し続くが、すぐに小道と思われる道路跡が現われた。写真に写っているのだから当然といえば当然だが、やはりそれを実際に目にするまでは疑心暗鬼の状態である。地形図上の判断だけでは決して見つからないルートといえる。所々で籔に道が塞がれるが、その先があることは写真を見れば一目瞭然なので、そのまま籔を突破して進んで行く。作業道としては荒れているが、獣道がそれをカバーしているため、それなりにしっかりした道となっている。仮に標識でも置けば、すぐにも登山道と言っても良いほどの状態だ。途中、大きな獣が逃げて行く音が聴こえた。Ko玉氏はシカではないと言っていたが、あえて余計な反論はしなかった。見る限りヒグマの形跡は見当たらなかったので、おそらくシカだろうと思われる。個体数を考えてもそうそうヒグマになど出合えるものではない。

途中途中で植林地へと入る古い歩道が左右に入っているが、写真を見ていれば迷うことはない。頂上まで距離にして100mほどとなった地点で踏み跡が突然消える。薄く写っている部分は笹薮となっていることが多いが、丸山周辺は標高が低いために色が濃い森林帯となっている。森林帯では下草が薄く、籔漕ぎとしてはかなり楽な方である。頂上までの傾斜はあるが難なく稜線へと飛び出した。稜線上だけは笹薮となっているが丸山の三角点はすぐに見つかった。無雪期にここを訪れる登山者はまずいないだろう。頂上の展望はゼロで、深い笹薮の中に三角点は埋まっていた。

終わってみれば予定通りの二山登頂となった。山登りとしての魅力の乏しさは否めないが、googlマップの航空写真を利用してのこんな登り方も今のネットの時代には適った登り方と言えるのかもしれない。いろいろやってみることの楽しさが感じられたことは、今回の一番の収穫だったと思っている。(2011.8.21)

【参考コースタイム】 石灰川林道 P 9:35 → 神居山頂上 11:25、〃 発 11:35  → 石灰川林道 P 13:30、〃 発 13:40 → 丸山頂上 14:35、〃 発 14:40  → 石灰川林道 P 15:15  ( 神居山 登り 1時間50分、下り 1時間55分   丸山 登り 55分、下り 35分 )

メンバー】Ko玉氏、saijyo、チロロ2

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