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           尻山(913m)

林道への途中から見る釜尻山

/25000地形図 「三頭山」
ユーモラスな姿のザゼンソウ
林道終点は笹が刈り分けられ広くなっている
北側の斜面には雪渓が残る

5月は、日に日に山から雪が消えて行くためか雪を利用した山行が名残惜しく感じられる季節だ。いつまでも冬山モードから無雪期登山に頭を切り替えることが出来ないでいると、ついつい残雪を追っての山域選びとなる。釜尻山は遅くまで雪が残る日本海側の豪雪地帯、天塩山地の一山である。昨夏、五線川を遡りこの釜尻山を目指したが、二股の見落しで主稜線上の別のピークへ登ってしまった。今回と同じ五線川沿いの林道終点からのアプローチであったが、林道終点から僅かに進んだ蛇行点をショートカットした際、この蛇行点が二股となっていて、全く別の方向へ進んでしまう。地形図と進行方向の地形が一致しているようでいて何かが違っていたが、この時は地形図が間違えていると思い込み、無理に辻褄を合わせて進む。結局、主稜線上まで強烈な藪漕ぎで登り切り、何とか頂上到着と思った直後に2ピーク先に本当の釜尻山を発見し、愕然とした苦い経験がある。

今回のルートは残雪を最大限利用することを考え、五線川南側の尾根筋・北斜面を838m標高点まで登り、コンタ750mコルを渡って釜尻山本峰を狙う計画である。林道終点付近の河原は雪解け直後の様相で、エゾノリュウキンカ、エゾエンゴサク、ミズバショウなどの花々が咲き乱れている。中でもザゼンソウのユーモラスな姿が印象的である。河原からは雪渓を利用して尾根上を目指す。尾根上の雪渓はすでに消えていて、辛うじて残っている小さな雪田を追っての藪漕ぎである。標高を上げて行くと北側の斜面に残る雪渓の広がりも大きくなり、北斜面に巻き気味にルートを取ることにする。雪渓のトラバース、キックステップでの直登、藪漕ぎを繰返す。コンタ680mで尾根を乗り越すと、釜尻山本峰が見えてくる。838標高点までは登らず、コンタ750mコルへ向かうことにするが、この時期の雪渓は固く、アイゼンなしでのトラバースは心許ない。潅木帯を利用し雪渓を下り気味に進み、コルへ突上げている五線川源頭へ一度下ってからコルまで登り返す。

頂上直下の雪渓で大休止 山域の最高峰・三頭山は大きく見える

コルからは雪渓を進むが、斜面の傾斜がきつくなるところでは藪へ逃げる。コル付近から緩く見えた雪渓の傾斜も上部では高度感があり、多少辛くても藪を進む方が何となく安心できる。途中、小規模な全層雪崩の跡もあり、斜面の角度だけでなく植生も関係することを実感する。見方を変えれば逆に、傾斜や積雪量が植生に影響しているのかもしれない。コルからの標高差200mを一気に登る。頂上東斜面には小規模な雪渓が残り、ここにザックを置いて、約2m上の頂上へ立つ。

頂上は背の低い笹原で、三角点も頂上であることを示す標識もない。頂上からは昨年間違って立った小ピーク、それに続く小平蘂岳周辺の山々が良く見え、南側には山域の盟主・三頭山の白く大きな姿も望むことが出来る。ただ、昨年の黄砂(山全体がセピア色に染まる)同様、今年はシベリアの森林火災が影響しているのか、スカッとした青空はなく薄曇り状態である。この地域は日本海側であり、直接大陸の影響を受けやすいのかもしれない。下りのルートは750mコルから838m標高点まで登り、往路の尾根筋を忠実に下ることにする。コルから838m標高点までの登りは見かけ程の傾斜はなく、雪渓上を容易に登ることができ、思っていたよりは簡単に戻ることが出来た。

 838m標高点からの下りは、地形図で読んだ時より実際のほうが痩せており、岩肌が露出しているところもあるが、潅木につかまりながら慎重に下る。コンタ750m頃からは尾根も多少広くなり、登りと同様、薮・雪渓・薮を繰り返して入山地点の林道終点へと戻る。この山域は標高は低いが、頂上付近は結構な急斜面で、雪が深いときのラッセルは苦労があるだろう。(2003.5.25)

  【参考コースタイム】林道終点 6:48 → 710mコル 10:02 → 釜尻山頂上 10:46 →  、〃発 1107 → 710mコル 11:20 → 838m標高点 11:42 → 林道終点13:43

【メンバー】saijyo、チロロ2 

**山行写真**

 

838mピークからの下り釜尻山を望む

頂上直下を登る

釜尻山頂上は低い笹に覆われていた

頂上から小平蘂岳(北側)方向の眺望

 

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