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      神楽岳(583.0m)

西神楽付近から望む神楽岳(中央)

    1/25000地形図「神楽岳」 

ゲート前に車を停める
静かな林道を歩く

今週末から始まった高速道路の料金割引(週末・休日「1000円」)で、早速であるが、おもいきり遠い北見峠方面の山への日帰り山行を計画する。こんなに気楽に高速道路が利用できるとは全く良い時代がきたものである。昨年あたりは、原油高騰によるガソリンの最高値更新などで、週末はせいぜい札幌近郊の山で…と考えていた。現在の原油先物は1バレル50ドル程度と、当面は今の相場が続きそうではあるが、未曾有と騒がれている現在の不況とは表裏一体の関係にあり、地球の環境保全の観点からも単純には喜べそうにない状況ではある。

我が家からわずか2時間足らずで上川層雲ICに到着するが、その頃には雪が舞って、視界も悪くなる。途中、車窓から見た大雪山は地吹雪模様で、こんな時の森林限界を超える場所での行動は極力控えたいものである。急遽ではあるが第二の候補地としていた幌内山地方面への転戦を決める。道中、こちらは晴れてすっきりとしていた。神楽岳は標高の低い目立たない山であるが、もち時間が少なくなってしまっては山行時間の方を削らなくてはならない。選択に迷って、せっかくの休日を無駄にしてしまっては元も子もないところである。上川町から引き返し、西神楽地区へ入った時点で既に午前10時を回っていた。

西神楽新開地区から未開通の道道579号・新開西神楽停車場線のゲートまで進み、車を停める。付近は開けて展望もよく、地元の人達もウォーキングなどでこの道路を利用しているようだ。試しに、居合わせた登山をやっているというウォーカーに神楽岳の名を尋ねてみるが、やはり地元の人間でさえ知らなかった。道路入口の看板には同名の北側に位置する神楽山(493m)の方は載っているが、そもそも両山とも一般登山の対象とはなっていないため、神楽の名と山が一致しないのであろう。逆にこの時期であれば…と、音江山や天塩岳を薦められてしまったのにはついつい笑ってしまった。

中峰は立って見える

中峰は立って見える

神楽岳頂上にて

ゲートからはいつのものかスノーモビルの古い走行跡が続いているが、スキーやワカンといった登山者の形跡は見当たらない。林道は静かで、白い雪と針葉樹林、透き通るような青空とのコントラストが実に素晴らしく、これらを独占して享受できるのは、やはり我々が目指す登山スタイルの特典といえるだろう。地形図上で歩道を示す点線は林道となっていて、心配していた川の渡渉も橋上の通過で難なくクリアである。新開十五号川沿いに進み、336m標高点のある林道の屈曲地点から440mコルを目指す。尾根上は急登となるが、標高差はわずかに100m、上川盆地の白い平野を背にひと登りである。尾根の頭の直下で集材路を一本通過して稜線上へ上がるが、知っていれば、最初から集材路を使ってコルへ出た方が効率は良かったようだ。稜線上の登りは斜度もなく、樹木も疎林となっていて快適である。背後に見える中峰は立っていて思わず登高欲がそそられるが、単に尾根上から見ているからそう見えるだけで、実際にはそれほどのことはないだろう。ポコを1つ登りきると頂上部となる。数えて3つ目のポコが神楽岳頂上である。

 南北に長い頂上部の南の端が頂上であるが、特徴に乏しく、尾根の入り具合で最高地点を特定する。樹木に邪魔されてあまり展望は利かず、無雪期であればきっと薮山そのものといった雰囲気であろう。木々の間からは瑠辺蘂山付近の真平らな稜線が望まれる。晴れていれば大雪山の真っ白な峰々も望めそうだが、こちらは完全に雪雲に隠されてしまった。ともあれ、神楽岳に無事到着である。そもそもこの山は、旭川南部に広がる “神楽村”の山としてその名を冠することとなったが、その後、神楽町から東神楽町が分離、残った地区は旭川市に吸収合併され、すっきり“神楽”のみの名が残ったのは山名だけである。そんな歴史を垣間見ることも薮山登山の楽しみ方の一つといえる。

 高速道路が1000円という破格の料金となり、我々チームにとって、そのことで受ける恩恵は決して少なくはない。新たなる山々との巡り会い、この喜びだけは素直に受け止めることとしよう。(2009.3.29)

【参考コースタイム】道道ゲートP 10:30 神楽岳頂上 12:05、〃発 12:35 道道ゲートP 13:25  (登り 1時間35分、下り 50分)  ※写真はデジカメを忘れたため、全て携帯電話にて撮影

メンバーsaijyo、チロロ2

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