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   (693.4m)

カナディアンワールド付近から見る鏡岳

    1/25000地形図「芦 別」「瑠辺蘂山」

遠くにかもい岳スキー場が見える

国道の工事区間入口に車を停める
先頭で気を吐くLuckyさん
集材路では日も差し始める

鏡岳は幌内山地の西側に位置する目立ない山である。アイヌ語地名の多い道内にあって、ここ芦別周辺にはなぜか和名の山が多い。内地から新天地を目指し移り住んできた人たちが遠い故郷に思いをはせ、この地の山々を故郷の山と同じ名で呼んでいたと考えても不思議はない。鏡岳もそんな経緯からの山名ではないだろうかと思われる。あくまでも私の推測ではあるが…

入山口はカナディアンワールド公園前である。カナディアンワールドは当時流行っていたテーマパークの1つで、女流作家ルーシー・モンゴメリ作「赤毛のアン」をテーマに、バブル経済全盛の1990年に鳴り物入りで開園した。しかし、予想していた程の客足は伸びず、赤字続きのまま7年間という歳月で閉園となった。その後は引き受け先のないまま市営の公園となったそうである。同じ北方の風土とはいえ、北海道の山の中にどうしてカナダなのだろうか。本物志向の現代人への北海道のセールスポイントはやはり自然の美しさと北海道らしさのみであろう。

今回はEIZI@名寄さんと旭川のOginoさんが同行してくれた。我々の山行目的はもちろんピーク狙いもあるが、それ以上に交流がメインである。以前に同じルートを辿っているにも関わらず、わざわざ我々のために遠くから参加してくれたのは有難い。秋の薮山仲間の交流会もそうであるが、久々の山仲間との山行は山そのもの以上に楽しいものがある。

鏡岳頂上 (何の変哲もないところだった) 先頭でラッセルするLuckyさん

スタートは国道452号(夕張〜旭川)の休止区間をそのまま進む。この国道も今のご時世では開通の見込みは少ないようで、今は鏡岳や丸子山へのアプローチくらいにしか役立っていないだろう。マイナーピークの両山にとっては立派過ぎる玄関口と言える。広い国道上を20分もラッセルすると道路が途切れ山の斜面へと変る。

最初は広い斜面だが、気が付くと細い尾根上となり番の沢川側がスッパリと切れ落ちている。反対側はかなり緩く、どうせなら少し下った方が歩きやすい。さらに進むと集材路跡となり黙々とラッセルするのみであるが、尾根筋からあまり離れてしまっては後が大変なので、ここはルート読みに注意が必要だ。途中からは尾根上を巻いて反対側から標高を上げて行く。天候は完全に回復、遠くに歌志内のかもい岳スキー場や特定できないがその周辺の山々も見える。 先頭のラッセルはLuckyさんに交代する。一月前の双珠別岳では兼用靴のために苦労していたが、今日の彼女はプラブーツに換えての参加、小柄な身体にもかかわらずぐんぐん進んで行く。

集材路を途中から離れ、かなり広い尾根上に出る。最後は少し急な斜面をジグザグに登って、頂上と思われる平らな樹林帯に出るが、尾根の途中と言っても麓と言ってもよいような雰囲気である。鏡岳頂上は少し高くなった場所であるが、ここも尾根上の一通過地点といった感じで、名前が付いていなければ気にもしないようなところだ。もちろん展望も何もない。丸子山まではここまでとほぼ同等の距離がある。今日のラッセルの感じから考えて、順調にいって13時は過ぎるだろう。まあ、行けるところまで進んでから先のことは考えるとしよう。

スキーは楽しい!〜シーハイル

鏡岳からは緩い下りとなる。稜線まではけっこうありそうだが、相変わらず重い雪のラッセルが続いている。ただし、鏡岳からは緩い下りとなっていて、登り返し地点までの約1Kmは思いのほか速かった。緩いが、徐々に登りはじめる。登り詰めれば幌内山地の主稜線で、丸子山まではそこから下ってさらに登り返さなければならない。正午まであと少し、引き返しの時間帯は迫りつつある。この時期、仮にタイムリミットを14時ころまでと大幅に延長してもおそらくは明るい時間帯に下ることは可能だろう。しかし、それは下りの際に何もこらないという条件付きである。ここで無理する必要はない。主稜線への登りは傾斜のある山行中一番の登りで、大きくジグをきって登りきる。

 北西風の影響でトドマツの大木もすっかりモンスターの一歩手前といった迫力ある姿に変っている。冬の透き通るような青空とのコントラストが実に美しく、神秘的な雰囲気さえ感じられた。この光景を見ているだけでもここまで登ってきた価値があったというもの、丸子山はもう少し雪が固まる3月か4月にでも、再度チャレンジすることにしよう。主稜線上、882m標高点付近にて行動中止を決める。風のないところで大休止としたいところだが、樹木の下は雪塊が雪崩のように崩れ落ちてくる。遭難の事例では見たことがないが、仮に単独行の際にこれに埋まってしまおうものなら自力での脱出は困難であろう。Luckyさんの持ってきた甘酒にて一息入れているとき、麓の町から正午を知らせるサイレンが聞こえてきた。さて、あとはシールを剥がして下るだけである。(2010.1.31)

■LuckyさんのBlog「鏡岳+ちびまるこ山」

【参考コースタイム】

カナディアンワールド前 8:20 頂上10:45 、〃発 11:00 882mピーク 12:00 、〃発 12:40 カナディアンワールド前 14:25

 (登り3時間25分、下り1時間45分)

メンバー】EIZI@名寄さん、Oginoさん、Luckyさん、saijyo、チロロ2

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