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     定山渓天狗岳(1144.6m) ・・・熊の沢コースから

余市岳から見た定山渓天狗岳 (2007年撮影)

 

 

 1/25000地形図「余市岳」

熊の沢には雪渓が詰まっていた
頂上の肩からはU峰、V峰が見える
熊の沢上流部の様子
クリーンハイク参加全員で記念撮影 (定山渓天狗岳頂上にて)
白井二股・天狗小屋前に車を置く
白井二股から約30分で本来の登山口に到着する
最初の難所、よく見れば手掛かりはしっかりしている
頂上に咲いていたキクバクワガタ

  定天の愛称で親しまれている定山渓天狗岳、私が山を始めるきっかけとなった山である。6年前の春先に中央ルンゼからこの山に登ったが、今回はクリーンハイクに参加、一般的な熊の沢コースからの久々のチャレンジである。クリーンハイクとは、以前は「清掃登山」と呼ばれていた山岳連盟の行事で、自然保護活動の一環として毎年この時期に開催されているが、現在はこのような今風のネーミングに変わり、開催要項も少し変わったらしい。新しく山岳会「山遊会ル・レラ」の会員となり、約20年ぶりでこの行事に参加することになった。一般登山者も参加とのことで、少々緊張しながら集合場所の道路情報館へと向かう。

  話は少し逸れるが、今回の集合場所となった道路情報館は「道路」に関する資料館で、現在は「道の駅」のような役割を担っているようである。車で遠くから札幌にやってきた場合には車中泊用のうってつけのスポットとなっており、多くのドライバーの憩いの場となっている。建物内部の展示スペースは道路特定財源の無駄遣いの対象として閉じられたとのことだが、できれば道の駅くらいの利便性があっても良いように思う。

 相乗りでやって来た白井川二股の余市岳・天狗岳共同登山口は沢山の車で埋まっていた。何とか駐車スペースを確保、登山口までは白井川沿いの林道を進む。以前、相当前になるが、熊の沢コースの入口に掛かっていた吊橋は我々登山者にとっては大変便利だった。いつのことか、この橋は流されたと聞いているが、この日の融雪による増水の状態を見れば確かにうなづける。吊橋どころか、過去には白井二股の立派な橋ですら崩壊しているのだから、自然の破壊力とは凄まじいものである。白井川の渡渉も頭にあったが、こんな時期には到底無理な話と言える。

 30分ほどで熊の沢コース入口となり、そこからは明瞭な一本道が熊の沢の左岸に沿って続いている。途中から沢の中へと進んで、渡渉を繰り返す。この日の登山者を見れば、軽登山靴が主流である。私としては足首に難はあるが、この時期であればスパイク長靴が一押しだ。足を濡らさない上に登山道でも滑らない、しかも安価とあってはこの上ない重宝な道具と言えるだろう。スパイクとは言わないまでも、意外に便利なのが長靴である。30分で、最初の難所といえる滝(5〜6m)が現れる。左岸側にはロープが張られていて、崖斜面を登って上流へとへつって行く。右岸側にも踏跡はあるが、沢への下りが多少微妙ということなのかピンクテープが張られ、通行止となっていた。どちらがどうといって大差はなく、このへんは管理する側の考え一つと言えるだろう。私が言えることは、フィックスロープ無しでの通過が困難なのであれば、この山への登山は諦めた方が無難ということだけである。この通過直後の左岸側も急な登りとなっていて、そこを通過してから渡渉、右手に大きな雪渓を見ながら右岸側への急な登りとなる。どこもしっかりとした手掛かりがあり、ロープ無しでもよく見てさえいればどうと言ったことはない。ここまでが前半戦のハイライトである。

 次に取付く小尾根の末端からは急な登りとなる。以前に比べて登山者が多くなったためか、道幅がかなり広がったようにも感じる。私の知っている30年ほど前は、もう少し細々とした登山道が続いていたように記憶している。急な登りにひと汗かくと、季節が少し遡ったのか、シラネアオイやニリンソウが満開となって楽しませてくれる。さらに登り続けると右手に岩峰の基部が見えくるが、ここまで登ればいよいよ後半のハイライトとも言える頂上直下のルンゼは近い。

大きく蛇行しながら登り詰め、最後は狭い急斜面を通過するが、私自身はここが直下のルンゼだったとは気付かなかった。以前はもっと短くて急だったように記憶しているが、どちらかと言えば長くて緩い登りになったようにも感じられる。いずれにせよ、登山者が多い時には渋滞となる場所であることには違いない。ロープがフィックスされているが、手掛かり足がかりは豊富にある。ロープはバランス保持のための補助程度に考えるのが良いだろう。風雨にさらされたままであり、多くの登山者による繰り返しの加重も考えれば、思いきりぶら下るにはちょっと心許ない。

 30年ぶりで夏の定天の頂上に立つ。だが、以前とは少し変わった感じである。三角点の回りは広場となっていたように記憶しているが、三角点は草木の中の狭い空間にあり、東側の少し開けた場所が休憩スペースとなっていた。30年もの時間が過ぎており、かなり緑が増えたようにも感じられるが、ひょっとしたら私の記憶違いかもしれない。身近な山々に囲まれた馴染の展望、前に登った時には無かったさっぽろ湖が出現、視界に彩を添えていたのが印象的だ。また、ヒクタ峰や四ツ峰等々、ここ10年の間に登った山々が展望の中に加わり、私的にはみどころの密度がかなり増したようにも感じられた。

 この日のクリーンハイクの収穫はペットボトル一つと、金属の棒が一本、これすらも投げていったものとは思えない。登山人口がかなり増えたと聞く昨今の山々だが、以前の清掃登山でパーティ全員が拾い集めたゴミ50kgとは隔世の感がある。少なくてもここ20〜30年の間に登山者個々のマナーが向上したということであり、これは当時の状況から考えれば凄いことだと思う。本当の意味で大きな収穫を感じるこの日のクリーンハイクであった。(2013.6.16)

参考コースタイム】 白井二股・登山口 P 8:45 熊の沢登山口 9:15 → 定山渓天狗岳頂上 12:20、〃発 12:55 → 熊の沢登山口 16:00 白井二股・登山口 P 16:4   (登り 3時間35分、下り 3時間45分)

メンバー山遊人さん、saijyo、チロロ2チロロ3(旧姓naga)   一般参加 … Maru氏、Yamaさん、Ito夫妻、Onoさん

(入浴)

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