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      岩尾岳(1000.3m)

岩尾内大橋と岩尾内岳

1/25000地形図 「岩尾内湖」「藻瀬狩山」

管理事務所向えの除雪スペースに車を停める
集材路を利用し、難なく標高を上げる
頂上へ向う斜面は意外に長い

  かなり以前に読んだことがある、道内山岳界の草分け的存在であるI氏が書いた「北海道の山」というガイドブックに「人間が作った最も美しいものは人造湖である」という件があり、おそらくウペペサンケ山のところであったと思うが、なぜか今でも強く印象に残っている。このガイドブックでは頂上から見た人造湖の景観の素晴らしさを紹介していたが、人造湖側から見た湖面に映る山岳景観も勝るとも劣らないものがあると何時も思っていた。さっぽろ湖と定山渓天狗岳、大雪湖と屏風岳など、人造湖によって映える山々は多い。岩尾岳も山容こそ険しさには欠けるが、岩尾内湖と調和した姿は実に堂々としている。付近には高い山が少ないこともあり、標高が1000m程度であるにも関わらず意外と存在感のある山である。

あと一息で岩尾岳頂上到着である

  岩尾岳は6年前にも登っている。前年に正月山行で初挑戦したが、まだ雪に埋まりきらないブッシュと樹木の密度の濃さに悩まされ、スキーが邪魔となって予定の半分も進めぬうちに時間切れとなり、敢え無く敗退する。その翌年の再挑戦では3月の積雪が十分な時期に計画し、ルートも今回と同じ直接頂上へ向う尾根に取付き、難なく登頂を果たすことができた。同じ山でも時間とルートのちょっとした違いによって、要する時間と労力に大きな差が出てくるものである。

 この山へのルートは岩尾内大橋を渡ったところにあるダム管理所から続く林道を使うのが一般的である。林道はダム湖の形通りに続いているため、取り付きまでは直線距離にして2km弱ではあるが、実際には3〜4kmくらいの道程を歩かなければならない。時間にして約1時間の行程である。ラッセルとは言ってもこの日は新たな積雪が少なく、踝程度の軽いものである。同行メンバーであるKo玉氏とsakaku氏は昨年に続き二度目の挑戦とのこと。私の以前の山行と同様、12月の日の短さと密度の濃い樹林に悩まされ、時間切れとなってしまったようである。498m標高点のある尾根の末端から取付いたそうであるが、以前に我々が登ったルートはもう少し先の斜面からである。今回は100%の成功を考え、以前に我々が登って成功したルートを再び辿ることするが、尾根末端を過ぎるとどの斜面も傾斜がきつく見え自分の記憶の曖昧さに自信をなくす。それでも何とか緩そうな斜面を見つけて取付くが、絶対に末端の方が取付き易そうである。登って行くうちにその理由を思い出す。ここの斜面には集材路が入っていて、うるさい樹木の枝々に悩まされることなく簡単に標高を上げることがでるためであった。

コンタ590mで囲まれた地点は小ピークとなっていて、ちょうど美唄山の前衛峰のようである。岩尾岳が大きな姿を現し、普通であれば気持も高揚するところではあるが、コルとの標高差は10m程度であるにも関わらず、岩尾頂上へ続く尾根斜面は実際以上に立って見え、気持の上では逆に引けてしまうから不思議である。ここは地形図を信じ、黙々と進んで行くほかにない。コルへ下ってみると意外に登りやすそうな斜面に安心させられる。曇りの予想に反し晴れ間が広がり、気温が低いわりには日差しによって実際以上に暖かさを感じる。急ではないが、思っていた以上に長い斜面が続く。背後には読み方が同じである登和里山と砥割山が広がり、その奥には朝日町市街も薄っすらと見える。

岩尾岳頂上から登って来た方向を見る 岩尾岳頂上から見る朝日町市街

 コンタ930m付近からは斜面が緩くなり、頂上へ向かって広い雪面をトラバース気味に進んで行く。コンタ930mのコブを右に巻き、上り詰めた先が岩尾岳頂上である。右手には今回の起点である岩尾内大橋と氷結して真っ白な岩尾内湖の湖面が見える。頂上には雪庇が張り出し、樹木の枝には赤布が巻かれている。六年ぶりの頂上は前回とは違って晴れ間が広がり、1000mの山とは思えないような雄大な眺望を楽しませてくれる。北側や西側には特徴的な山姿の山々を望むことができるが、山座同定ができるほどこの山域の山を知らないので、何とも残念である。冬型の気圧配置にも関わらず、なぜか南東の風が吹き、じっとしていると体が冷え込んでしまうため、標高を少し落としての休憩とする。

 下降はコンタ590mの小ピークへのコルまでは概ね楽しい滑りである。小ピークへの登り返しはせずに右側を巻くことにするが、直ぐに登りのときに途中までトレースしてきた集材路が現れる。集材路を上手に使っていれば、全く無駄なくコルへ飛び出すことができたのかもしれないが、これは “達人の域”というものであろう。狭い集材路をボーゲンで滑って行くと林道が見えるようになり、さらに林道に向かって落ち込んでいる急斜面を斜滑降で無理矢理下降すると往路の林道に無事飛び出す。(2005.2.26)  

【参考コースタイム】 岩尾内ダム管理事務所 7:15 → 斜面取付き(林道) 8:20 → コンタ590m小ピーク 9:35 → 岩尾岳頂上 10:50、〃発 10:55 → コンタ930m付近休憩地点 11:15、〃発 11:25 → 斜面取付き(林道) 12:00 → 岩尾内ダム管理事務所 13:00

メンバーKo玉氏、sakaku氏、saijyo、チロロ2

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