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      岩内(963.9m)

カンラン岩の採石場へ向う途中から岩内岳を望む

/25000地形図 三 岩

集材路を利用して標高を上げる
採石場の端に車を停める
かんらん岩の採石場

Web上で“イワナイ”の語源を探してみると、「硫黄の流れる沢」「山と川」などの説が目に留まった。道内には三山の岩内岳があるが、岩内町の岩内岳は背後にニセコの火山群が連なり、硫黄との関連性は十分に考えられる。しかし、日高の二山について言えば硫黄とはあまり関係がない感じであり、後者の「山と川」の方が妥当であろうと考えていた。後日、このHPの掲示板に網走・I氏から明確な解答を頂いた。日高町・岩内岳は「イワ・ナイ」で「岩山の沢」という意味だそうである。確かにこの山の南面は急傾斜であり岩が露出していたのであろうと容易に想像される。岩内岳では昭和40年頃からカンラン岩の採石場が開発され現在に至っているが、冬期間でも採石場までは綺麗に除雪され、付近の山々への格好なアプローチとなっている。蛇足ではあるが、日本のカンラン岩の採石場は同じ日高支庁管内の様似町・幌満の二ヶ所だけで、ここ日高町で産出されるカンラン岩は主に鉄鋼業用に利用されているとのことである。

岩内岳周辺には糠平山、雁皮山、シキシャナイ岳と魅力的な山が多く、最近ではそのアプローチの良さから入山者が増加しつつある。我々も付近に残った一山との思いから今回の山行を計画する。当初の予定では岩内川の林道に入ってすぐの地形図上243m標高点を起点とする林道から比較的緩い西面を辿る予定であったが、予定の林道は除雪されておらず、東面からのルートに予定を変更する。採石場まで行けば西面よりは距離が短い。採石場には一台の車が停まっており、雁皮山・糠平山方面へ向ったと思われるトレースが林道に続いている。(後で判ったが、HYMLの仲間であるSgawa氏夫妻であった)トレースを利用させてもらい、取付きやすそうな地点を探しながら林道を進んで行く。

採石場最上部からシキシャナイ岳をズーム 岩内岳頂上は静寂な世界だった

岩内川はこの時期でも意外に水流があり、スノーブリッヂを利用して渡らなければならない。当初の予定地点より少し手前ではあるが、丁度渡れそうなところがあり、その対岸には集材路が見えている。集材路はかなりしっかりしているようで、これを利用してできるだけ標高を稼ぐことにする。何ヶ所か分岐が現れるが、採石場へ向う方向へのものは取らず、緩い東面へ向う方を選びながら進んで行く。コンタ750m付近までは集材路を利用して進んで行き、採石場方向へ向うものしかなくなったため、集材路を離れ急斜面へ取付くことにするが、斜面を登り詰めた先には次の集材路が現れ、いつもの山とは違った人手が加わった雰囲気にがっかりさせられる。集材路は採石場側の方向へ登って行き、採石場の最上部に出る。切れ落ちた遥か下部には我々が車を停めた広場が見え、その上部には鋭角的で空に突き出したシキシャナイ岳の特徴的な姿が望まれる。我々の位置から少し標高が下がったところにはパワーショベルも見られ、およそ深山の雰囲気とはほど遠い感じである。

採石場の最上部を離れるといつもの山の雰囲気となるが、なおも集材路が現れる。急斜面をジグを切って登り詰めると傾斜が徐々に緩み、頂上台地上に飛び出したようである。野球場のような広い雪面の先には頂上部が小高く見えている。この広い雪面も無雪期であれば藪の中であり、ひょっとしたら集材路が伸びているのかもしれない。どんな頂上なのか、楽しみにしながら急斜面を避けて左側から回り込んで登って行くと、意外に静かな樹林帯となって頂上に到着する。木の枝には数ヶ所に古い標識が巻かれている。おおよそここが三角点と思われるところでしばしの休憩とするが、予測していた通りに視界は利かない。辛うじて木々の間に日高町市街を見ることができる程度である。

冬型の気圧配置のために比較的強い北西風が吹いているが、頂上の森の中は意外に静寂な感じである。採石場を通らない別のルートから登っていれば山らしい山と思えたのかもしれないが、私の住む南区の硬石山を少し大規模にした感じの山といった印象であった。 (2006.2.19)

【参考コースタイム】採石場 P 9:15 → 採石場最上部 10:50 → 岩内岳頂上 11:40、〃発 12:05 → 採石場 P 12:50

メンバーsaijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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