三ノ山(586.5m)、二ノ山(791m)、一ノ山(858.4m)
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1/25000地形図 「西達布」
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三ノ山峠の「忠犬ハチ公の碑」前に車を置く |
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三ノ山展望台は使用されていないようだ |
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三ノ山頂上はこんな何の変哲もない場所だった |
一ノ山、二ノ山、三ノ山についてはKo玉氏から聞いてはいたが、どの一山をとっても大した山とは思えず、ついつい後回しとしていた。地元によれば以前からそう呼ばれていたらしく、ゼロの山については一ノ山の手前にあるので、近年そう命名したとのこと。山ヤの間では一ノ山と二ノ山の間の763mピークを1.5ノ山、二ノ山と三ノ山の間の667mピークを2.5ノ山とも呼んでいるが、あくまで通称である。そんな単純な山名だが、今回は当サイトの山行記が497山となっていたこともあって、これらの山々を3、2、1と、いわゆるカウントダウンで登頂することにした。残念なのはゼロの山で500山UP達成としたかったが、この山は既に4年前に登っており、今回は一ノ山で500山目とした。
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二ノ山頂上に立つIkkoさん |
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整然としたトドマツ林 ここから変な方向へ |
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Ikkoさん! ミニスキーではちょっと無理かも… |
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一ノ山を登る私 (Ikkoさん提供) |
スタート地点の三ノ山峠(樹海峠、幾虎峠)
にはここで置き去りにされたにも関わらず、主人を待ち続け、車にひかれてしまった北海道犬の「幾寅峠忠犬ハチ公の碑」が建てられている。犬好きの私としては何とも悲哀感に苛まれる話しで、身勝手な人間という生き物がまた1つ嫌いになった。パーキングからはひと登りで、三ノ山展望台となる。木造の立派な建物だが、現在は使用されていないようだ。車では入れないのか、訪れる人もあまりいなかったのだろう。だが、せっかくの展望台なのだから、作った以上はそれなりに管理すべきだと思う。いずれにしても、時代時代で人々の嗜好は変化して行くものだ。
三ノ山展望台からは広い尾根を進む。積雪状態がスノーシューには良くないようで、Ikkoさんは沈む雪に苦労している様子。稜線は風の通り道となっており、条件的にはまだマシなスキーも大きく波打つ雪の風紋で、右に左に余計なラッセルを強いられる。そのためか、地形図上ではすぐに到着するはずの三ノ山が遠い。ようやくたどりついた三ノ山頂上は何の変哲もない一地点だった。やはり、予想通りの低山ピークである。だが、これで498山目、残り2山である。降雪のために眺望がまるでないのが寂しいところ。もっとも、晴れていても樹林帯の中では期待などできそうにない。
三ノ山を少し下って2.5の山への登り。これはパスして次の630mコルへと向かうことにしよう。スキーではよくやっている巻きルートだが、ふと見ればIkkoさんは苦労している様子。稜線上は雪が飛ばされており、その分だけ雪が溜ってしまう風下側の南斜面は積雪が深かった。途中、出尾根を通過、広い630mコルへと抜ける。ここからが二ノ山への本格的な登りとなる。けっこうな登りにスキーとしては大きくジグをきる。だが、Ikkoさんもスキーのトレースを辿っている様子。スキーのトレースとはいえ、やはり何もないよりはマシとのこと。考えてみればパーティの足回りが別々ではそれぞれが単独行と同じだけのアルバイトを強いられる。何とも効率の悪いパーティである。
黙々と進むと徐々に傾斜が緩んで、頂上が近づいていることが雰囲気的に判る。数メートル高くなった樹林の茂みに私製の「二ノ山頂上」の標識を見る。簡単に踏んではもったいないのでIkkoさんの到着を待ちつつ一服タイムとする。二ノ山頂上は三ノ山よりは頂上らしくはなっているが、やはり眺望は期待した程ではない。だが、これが499山目、500山目へリーチである。シールの糊はかなり劣化しており、こんなところで剥がしてしまっては後がない。ここは貼り付けたままの滑降とする。シールさえなければもう少しまともに滑ることが出来るのだが…
と思いつつ、相変わらず風紋で波打つ斜面を転ばぬことで精一杯といった状態で滑る。
だが、途中で無念の転倒。ふと見ればIkkoさん、試そうと持ってきたミニスキーを付けて斜面にチャレンジしている。おォー!
…
と思った瞬間、転倒。すぐに立ち上がるが、また転倒と、スキーの体を成していない様子。この深雪にミニスキー、しかも長靴とあっては無理というもの。藪山志向の私としては、スキーは短いほど有利との持論はあったが、さすがに1mにも満たないスキーにこの深雪では無理というもの。昨年来、スキーの長さを157cmから150cmの長さに短くしたが、急にバランスが悪くなったように感じていた。やはり、ものには程よさというものがあるようである。
Ikkoさんは再びスノーシューへと取り換え、私は転ばぬよう慎重に630mコルへと下る。付近は大掛かりな植林が行われたようで、トドマツが整然と並ぶ実に美しい森林帯となっている。地形図を見れば1.5ノ山(763m峰)の南側を大きく回り込むように林道が走っている。一般的には稜線上を進むところだが、ここは私の悪い癖で、効率良く一ノ山手前のコルまで到達して、「してやったり感」を味わいたくなった。林道を使用すれば難なくコルに到着できるかもしれない。だが、そうは問屋は卸さないのが現実。林道は徐々に下り始める。せっかく登ったのに下ってしまってはもったいない。ここで考えた折衷案、標高を落とさずに斜面をトラバースする手がある。しかし、これが辛かった。樹林がなければ間違いなく雪崩れそうな急斜面のトラバースとなる。スキーの私はまだ良いとして、スノーシューのIkkoさんにはかなり辛いはず。そんなことを心配するくらいなら最初から山っ気など出すべきではなかった。今日の500山目達成は無理か…
と思いつつ何度か立ち止まってIkkoさんを待つが、彼は深雪に埋まりながらも黙々と歩いている様子。まだ行ける…
そうこうしているうちに、一ノ山との630mコルが意外に近づいている様子がGPSから見て取れる。さあ、もうすぐだ!
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ついに500山目の頂上に到着 (Ikkoさん提供) | 500山目はやはり「金麦」 |
苦戦しつつもコル付近に到着。後は一ノ山への斜面をクリアすれば500山達成である。ふと見れば稜線上には何やらスノーシューの足跡が…
もたもた巻いているうちに我々を抜き去ったのか?
だが、スノーシューの向きを見れば三ノ山方向へと向かっている。であれば、1.5の山で見事にすれ違ったのだろう。ともあれ、孤軍奮闘のIkkoさんはやはり「持っている男」。いや、彼を見兼ねた幽霊の足跡かもしれない。その位、このトレースの出現はラッキーだった。ただ、スノーシューの下りのトレースをスキーで登るのは無理というもの。結局は私のみ大きく斜面にジグを切る。一ノ山頂上がかなり近づいた辺りで稜線が狭くなり、トレースと合流する。稜線はさらに狭くなり、終いには岩稜となった。私は左側の急斜面をトラバース、不安定だが難なくその先の稜線へと抜ける。見れば一ノ山頂上は緩い稜線の50mほど先である。いよいよか…
だが、Ikkoさんが現れない。ひょっとして、転落でもしていたならどうしよう…
不安は増して行く。呼びかけるが返答はない。そうこうしているうちにIkkoさんの呼びかけが聞こえてホッと一安心。彼も途中で私を待っていたようだ。Ikkoさんが遅れたのはスノーシューのトレースを逆に進んでいたこともあって、先行者が下った段差を逆に登ることになって苦労していたとのこと。
仕切りなおしでリスタート、最後の50mは正に電車道となる。一ノ山はさすがに立派に一山といった風格で我々を待ち受けていた。眺望は前述の2山とは違って360°遮るものなしである。もちろん、早速「金麦」を取り出して500山目の記念写真とする。今日の頂上ビールは格別に美味い!
当サイトを開始してから13年、やっと500山目に到達した。だが、Ko玉氏は1500山まであとほんの少し。500山程度ではまだまだヒヨコと言えるのかもしれないが、節目であることには違いない。ここから先はサイト開始前に登った山々にももう一度登らねばならず、私もまだまだ元気でいなければならないようだ。
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一ノ山頂上直下のパノラマ写真 (Ikkoさん提供) |
【参考コースタイム】 三ノ山峠(幾虎峠) P 8:30 → 三ノ山頂上 9:35 → 二ノ山頂上 10:55 → 一ノ山頂上 13:30 → 、〃 発 13:45 → 国道38号線 P 15:10 (登山時間 6時間40分)
【メンバー】Ikkoさん、saijyo