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       石倉(500.8m)

 

張碓トンネル手前から見る石倉山

 1/25000地形図「張 碓」

八眺山付近に車を停める
旧札樽道は白樺の並木道
最後は籔へと突入
石倉山頂上は藪の中で展望はない

小樽への途中にある石倉山へ行って見た。この山はかつて札幌・小樽間の交通の難所といわれた張碓・神威古潭へと山裾を落す山で、地形的には札樽間の仕切りとなっている山である。地形図上では付近に山名が記された山が他に無いため、このサイトとしても以前からずっと気になっていた。車窓からいつもこの山を見て、採石場ばかりが目立つ山との印象だったが、それは札幌が大都市として成長して行く上での代償だったようである。ちなみに、石倉山と旧国道5号線との関わりを知ったのは下山してからのこと。対ロシア戦争対策としての小樽・札幌間の軍用道路のことや、現在フットパスを作ろうと地元有志が行動していることなど、特徴のない単なる低山との認識とは裏腹に、実は多くの人達の思いが込められた歴史ある山であった。

地形図の歩道記号は林道となっていることが多く、今回もそれを見込んで札樽道・張碓大橋の下から旧道へと入る。天候は雨天模様だが、林道歩きがほとんどであればどうにかなるとの目算である。旧道からさらに砂利道へと進み、意外にしっかりとした路面に、さらに奥へと進んで行く。けっこう標高も上がり、このまま進んで行けば下手したら歩くところが無くなってしまうのではないかとさすがに心配になる。地形図上の急カーブ、少し広くなった路肩に車を停めて後は歩きを楽しむことにする。この付近が八眺山と呼ばれるところだと知るのは、下山後にサトマサさんのサイトを見てからのこと。さらに続く道路が旧国道だったと知るのも同様である。知っていれば山の見方も違っていただろうに、下手な下調べは山行の興味を台なしにするとの変なポリシーから、昔ながらの地形図のみの情報とした。低山を歩くときには、やはり近くにある古道や駅逓の情報などは予め知っておくのが良いようだ。

冬枯れして落ち葉の敷き詰められた真っ直ぐに伸びる並木道を進んで行く。辺りは白樺が主のようで、時折聴こえて来る重機の音さえなければ、冬迫る緊張感漂う北の風景だ。頂上まで2km弱だが、雨上がりのためか澄んだ景色は全く距離感を感じさせない。そうこうしているうちに意外と短い時間で林道分岐へと到着する。ここは以前には張碓峠と呼ばれていたところとのこと。付近には石造りの〒小屋もあるらしい。並木道沿線にあったはずの古い電柱共々、知識不足ではしかたがない。その件について触れるのは次の機会としよう。

四等三角点「石倉山」

分岐から少し入ると土場に到着する。石狩湾が木々の間から眼下に望める良い場所だ。道が三方向に分岐しており我々はそのまま真っ直ぐに進む道を選ぶ。この辺りからは雨裂の入った急斜面となり少々不安な感じとなる。ただし、道路の古さや頂上方向へと続いていることを考えれば間違ってはいないようだ。頂上丘への登りはさらに急傾斜となるが、こんな道路をどうやって作業用の車は登ったのだろうかとつい思わずにはいられなかった。我々はスパイク長靴、かろうじて靴底のスパイクが引っかかっているが、この日のような雨後であればスパイク底であっても泥ごと持って行かれるので騙し騙しの感覚が必要となる。ちなみに、途中には今年のものと思われるヒグマの糞が一ヶ所、札幌市街にもヒグマが出没した今年の状況を考えれば決して驚くことではない。我々もそうだが、ヒグマの方も大分人慣れしてきているということだろう。

地形図上の点線は頂上をかすめるように続いており、ここまで地形図通りだったことを考えれば登り詰めた辺りから籔へと突入しなければならないようだ。登り詰めた辺りで一息、薄そうなところからチロロ2さんを先頭に藪へと突入する。薄いはずの笹薮だがチロロ2さんは一向に前進して行かない。聞けばツル植物が「行くな」と言っているとのこと。そうではなく、気持が逸っているから見えるはずのツルが見えないだけのこと。冷静に籔を見ていればどうといったものでもない。100mほどツル植物と格闘、頂上らしき平らな場所に「大切にしよう三角点」の棒杭を発見する。全くの籔の中で展望は何もないが、今回は石倉山到着といった事実だけで十分である。四等三角点「石倉山」は大きな石で隠されていたが、誰かが乗っけたものなのか、誰も来ないからそのままなのかは判らない。

帰宅後、この山についてWeb上にて探ってみたが、この先の673m三角点ピークを「小樽内山」と地元のグループでは名付けているらしく、この山も含めてのフットパスルートを考えているとのこと。せっかく残っている作業道跡でもあり、森林の健全化や歴史的な古道の保存・運用を考えればこの運動が実を結ぶことを祈るばかりである。(2011.11.20)

【参考コースタイム】 林道・駐車地点(八眺山) 8:30 → 石倉山頂上 9:20、〃発 9:50 → 林道・駐車地点(八眺山) 10:30    (登り 50分、下り 40分)

  【メンバーsaijyo、チロロ2

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