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   伊之沢山(477.4m) 

林道駐車地点から見た伊之沢山

1/25000地形図 雨 粉

林道終点の手前に車を置く

入渓予定地点  すでに流れは細い
習ったばかりのフォーカスロックでヒグマの爪跡を撮影

  伊之沢山は旭川にあるかなり地味な山だ。地元出身の職場の後輩に尋ねたところ「伊之沢スキー場は知っています」と言っていた。このスキー場はスノーボードの練習には格好の施設らしく、付近の若者がよく訪れるらしい。スキー場のある山かと思っていたが、伊之沢山はそこよりもかなり奥まっていた。同じ山域の丸山に登った時がちょうどマダニの繁殖期だったこともあって、この山も同様だろうとつい敬遠していた。季節が移ればマダニもおとなしくなる。今回はそろそろかと、Ikkoさんの計画に乗ることにした。

伊之沢山への最後の登り

 前回は丸山の下山後、ダニが気になってそのまま付近の温泉へと直行したが、この時、Ikkoさんはアプローチを調べるべく一人林道偵察へと向かった。その際、タイヤをパンクさせたらしい。乗っていた車がレンタカーだったので替えタイヤの場所が判らず、相当苦労させられたようだ。チロロ2さんの普通車では難しそうなので、旭川の100万ボルトにて待ち合わせ、Ikkoさんのサファリに便乗させてもらう。伊野川・枝沢沿いの林道は鬱蒼としていて、徒歩でも嫌な感じである。Ikkoさんのサファリはそんな場面にはめっぽう強い。片側が崩壊した箇所でも目一杯で通過、それでもIkkoさん曰くは「まだまだ」とのこと。Ikkoさんにとってこんな場面は日常茶飯事で、谷底への転落は今までにただの一度だけというのだから凄い。

 偵察の成果か、予定していた駐車地点には難なく乗り入れる。この時期、アザミが赤い花を付け、ゆく夏の地味な色調に彩を添えていた。雑草が生い茂る林道の向こうには目指す伊之沢山が見えるが、名がなければ気にもならないような高みに過ぎない。ほとんど使われていないと思われる林道を、雑草を避けながら入渓地点へと向かう。コンタ290mのカーブ手前で林道は崩壊、そこから沢へ下り、少し戻って予定の入渓地点となる。沢は小沢で細い流れ、それでも上流部ということもあって流れ自体は美しい。少し進んだところで1m程度のナメ滝が現れ、ここでしばし撮影タイムとなる。写真に精通するIkkoさんに、こんな場合の構図の決め方を教わるが、確かに私がいつも撮っている“記録写真”とはまるで違う(※写真参照) さらに進むと2m程度のF2となるが写真の撮り方次第ではそれなりになるから面白い。その他にも沢の変化を微妙に捉えるが、こんな写真をもっともらしく山行記に載せれば素晴らしい沢と勘違いされるだろう。だが、山ヤに言わせれば“ブタ沢”(何も変化のない沢、変化に乏しい沢)であることには違いない。

頂上は背の低い笹の中 (国土地理院の棒杭は立て直した) 二等三角点「伊之沢山」と「金麦」  よく見れば標石も欠けている

 撮影タイムはこのくらいにして、沢を離れて歩きやすそうな左岸側の古い植林地を進み、350m二股へと進む。尾根を選ぶか沢を選ぶか、どちらを選んでも大差はなさそうだが、ここはやはり沢が良いだろう。とはいえ、水の流れなどほとんどない。すぐに流れも籔に消えて本格的な笹薮漕ぎとなる。このまま頂上まで続くものと覚悟していたが、ある標高からいきなり下草のない疎林帯となる。藪山とは判らないものだ。もっとも、判らないから楽しいのかもしれない。疎林帯の樹木の中には上部までしっかりヒグマの爪跡が刻まれているものもあり、彼らにとっても“楽園”となっているようだ。ここで、再び撮影タイム。森林を背景に、この日習ったフォーカスロックでこの痕跡を思いきり強調した写真を一枚。自画自賛かもしれないが、素晴らしいに尽きる。(写真参照)

 伊の沢山の詰めは急斜面。笹を掻き分けてひと登りで笹原の頂上となる。「大切にしよう三角点」の棒杭が10mほど手前に投げ捨てられていたが、二等三角点「伊之沢山」は無傷。自分自身の足でやって来た山ヤはこんなバカなことなどしないから、残雪期にやってきたモビルの連中の仕業であろう。雪面から飛出している棒杭も意味あるもの。「一つ一つの山々を大切にする」モビルの連中もこんな簡単なマナーを心の隅に置いてさえいれば、多くの登山者から敬遠されることなどないのだが、何とも残念である。もっとも、感覚的に次元が異なる人種の人達であることは確かのようだ。(2015.8.23)

参考コースタイム】林道の駐車地点 P 9:00 →  伊之沢山頂上 11:00 、〃発 11:25 →  林道の駐車地点 P 12:10  (登り2時間、下り 45分)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo   

伊之沢山 山行写真

 

 

私の撮影した最初の小滝

Ikkoさんが撮ればこうなる  (Ikkoさん提供)

二つ目は少し滝らしくなる (Ikkoさん提供)

 流れの途中の変化 (Ikkoさん提供)

キノコと森林  (Ikkoさん提供)

朽ちた倒木  (Ikkoさん提供)

ヒグマの爪あと  (Ikkoさん提供)

頂上のアゲハ  (Ikkoさん提供)

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