<戻る

     倉石山(789m)

/25000地形図  「稲倉石・然別」

ルート入口は発破作業のため立入禁止となっている
この沢唯一の4〜5mの滝
西峰から望む稲倉石山本峰
余市の市街地から西側の山並みを望む
余市の市街地から西側の山並みを望む

北面の直登沢の出合は砂防ダムとなっている
頂上周辺は背丈以上の藪のため、全然視界がない

稲倉石山は積丹半島の付根に位置する山群にある。余市の町からは西側に見える山並みの一山であるが、特徴がなく指差すことは難しい。稲倉石の名は古平川沿いの一地名であり、古平川の支流である稲倉石川の水源の山であるためにこの山名となっている。マンガン鉱の採掘で有名であった稲倉石鉱山は昭和59年に廃山となり、現在は砂利の採石場となっていて、発破作業のために立入禁止となっている。

稲倉石採石場の手前が北面の直登沢出合となってい

、地形図に記載されている砂防ダムが目印である。この付近は護岸のために周囲が2mほどのコンクリート壁で固められていて、沢へは降りづらい。最初の砂防ダムを右岸から越えるとすぐに次の砂防ダムが現れる。パンケ目国内川ほどではないが砂防ダムが連続し、合計4回巻くことになる。3つ目を越えるとすぐに、この沢唯一の滝が現れる。落差4mほどのプールを

もった滝であるが、左岸から容易に登ることが出来る。その後、稲倉石鉱山が全盛であった当時に使われていたと思われる、朽ちて放置されたままの太い鉄管を何度か跨ぐ。車止めから約1時間で4つ目の砂防ダムが現れる。他の3つとは趣が異なり、洋画のモチーフとなりそうな風情がある。古くなって黒々としたブロック状の堤と草生した鮮やかな緑、堤の真中にある真四角の放流口から勢いよく流れ出る水飛沫、これらのコントラストが実に美しい。鉱山の古い歴史を感じさせる遺物である。貯留池には泥が溜まっていて中の通過は難しく、ここを大きく巻いて上流へと抜ける。

傾斜のない沢が延々と続く。沢そのものの規模が小さいため、倒木や藪が邪魔をする。高度計が500mを示すあたりで明瞭な二股となるはずであるが、なかなか二股が出て来ない。最後の詰めを考えると時間的にあまり余裕がないため、中止のタイミングを考えるが、晴天でもありもう少し様子をみようとさらに前進することにする。途中ではあるが、枯れ沢に近い状態の枝沢が一本左岸から入っているので、この枝沢を進むことにする。沢形はなかなか消えず、ぐんぐん高度を上げるが予定のルートではないため、どこに突上げているかは判らない。進行方向が明るくなってきて、稜線が近いことを窺わせる。この付近は山ブドウが多いため、頻繁にツルが絡みつき、進みづらい。視界が少し開けたところから見ると、向かっているピークは稲倉石山の直ぐ西側795mのコブのようである。このコブは本峰よりも6mほど高く、こちらの方が本当のピークに相応しい。ここから先はすべて強烈な藪の中でありピークを確認しづらく、視界も利かない。このような低山へ登るのであれば積雪期が敵期であると痛感させられる。

何とかコブの頭に到着するが、やはり地形図記載の本峰が気になり、時間を気にしながらも本峰へ向かう。周囲は背丈以上の笹に潅木が入り混じった薮で、斜面の傾きとコンパスだけが頼りである。本峰とのコルから少し登った地点でタイムリミットとなり、北を目指し下降することにする。下降して行くうちに正面に.643m標高点が確認出来たため、現在地が当初予定していたルートの源頭付近であることが判る。となれば引き返した地点が本峰の頂上台地の一角であったことになる。

 下降しながら二股を確認するが、高度計で予測していたよりも実際には距離があり、実際の高度と高度計が示す高度との違いは、位置にするとかなりずれてしまうことを実感させられる。また沢の日帰り計画では、引き返しのタイミングの難しさも改めて感じる。(2003.8.17)

 

【参考コースタイム】 稲倉石採石場車止め 8:32 → 古い砂防ダム 9:24 → 795mピーク 12:20、〃発 12:50 → 稲倉石山頂上台地、引き返し地点 13:20 → 500m二股 14:02 → 稲倉石採石場車止め 16:12

メンバーsaijyo、チロロ2

<最初へ戻る