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     イチャンコッペ山(828.9m)

/25000地形図  「恵庭岳」

「支笏湖展望台駐車場」に車を停める
反射板が立つ785mピークと恵庭岳
標識の標高は設置地点の標高とは違う
恵庭郊外から見るイチャンコッペ山
以前の刈り分け道とは違い、しっかりとした歩道となっている

西高東低の冬型の気圧配置による寒気の吹き出しによって一夜にして冬景色に一変してしまうこの時期、山域選択は正に運否天賦の状態である。当初予定していた岩見沢・万字の幌向岳は、突然の冬将軍の到来による積雪で万字の登山口に到着することすら困難となり、山行予定は敢え無く中止である。今日は休養日と自分に言い聞かせながらの帰宅途中、なぜか支笏湖方面の山々だけは陽光に輝いている。この時期は石狩湾からの雪雲が伸びる方向によって天候が大きく違っているようである。午前10時を過ぎたこの時間からでも登れる山は…と考えた末、以前に土曜日の午後からでも余裕で登ることができたイチャンコッペ山を思い出す。このサイトを立ち上げて以来、いつかは再訪しようと思っていた山である。

イチャンコッペ山は今でこそハイキング登山の代名詞とも言える山であるが、以前は秀峰・恵庭岳の影に隠れた、どのガイドブックにも登場しない、ほとんど登られていない山であった。私がこの山を知るきっかけとなったのは1995年の冬のことである。丹鳴〜フレ(ここも当時としてはかなりマニアックであった)を目指すために林道入口に車を停めていると、同じくこの山を目指すという人物が現れる。この時に偶然お会いしたY氏である。Y氏によると、夏場はイチャンコッペという山の笹刈りをしているそうで、最近やっとその頂上へつながったとのことであった。結局、この時はフレ〜丹鳴を一緒に登ったが、先頭でラッセルする10歳以上も年長者であるY氏の体力は抜群で、二番手でついて行くのでさえ容易ではなかった。イチャンコッペの頂を踏むのはその翌年である。土曜の午後を利用して登ったが、取り付きからいきなり荒削な笹の刈り分け道で、氏の苦労や意気込みが滲み出ているような登山道であった。二合目までの急登を過ぎてトラバースとなるが、ここは笹のいやらしい刈り分けで、笹に捕まりながら歩いた記憶がある。614mのコブを巻くと植林地となり、付近には植林のための明瞭な歩道があった。入林許可を取って林道を詰めたほうが楽なような気もしたが、国道脇の支笏湖展望台駐車場を利用した登山口がその後の登山者の増加につながったという見方もできる。登山道は頂上まで丹念に刈り分けられていたが、氏の持ち前の体力・気力なくしては到底成しえなかったイチャンコッペの登山道ということになろう。

ヘアピンカーブのパーキングに車を停める。以前と変わらず、一見道路からは隠れていて判りづらい登山口であるが、入山届けのポストなども設置されており、公的にも市民権を得たようである。恵庭岳の頂上付近が立入り禁止となっている現在、支笏湖周辺の気軽に登れる山としては重宝な存在である。登山道は以前と比較して、かなり広く立派になった。登山口からは一気に標高を上げるが、自分のペースさえ守れば心地よい登りといえる。以前は歩きづらかった718.2m三角点のある小ピークのトラバースはかなり踏み込まれたのか立派な登山道となっている。恵庭岳が終始迫力ある姿を見せている。“登れない山”という印象が余計にそう感じさせるのかもしれないが、北西風による雪雲をしっかりと受け止めている姿は圧巻である。

イチャンコッペ山頂上へ 旧日本軍のものとの見方もあるが?

頂上部南西端の反射板が立つ785mピークへは支笏湖と対岸の樽前・不風死を背にひと登りである。あとはアップダウンの少ない尾根を伝って頂上となるが、頂上標識は展望の利く湖側に立てられている。実際の頂上はもう少し奥の朽ちたコンクリート製の残存物がある辺りであり、標識が立つ小広場よりは4〜5mほど高い。展望のよいところで“イチャンコッペ山頂上”と表示するのは別にかまわないが、“828.9m”と表示しては嘘になる。できれば頂上名だけの表示にしてもらいたいものである。

この残存物であるが、気になったため千歳市役所と恵庭の郷土博物館へ問い合わせてみたが解決は見なかった。Web上を探すと旧日本軍施設の遺構との見方もあるが、これも定かではない。確かに直ぐ脇には期毎のレンジャー部隊員のメンバー名を記した棒杭が立っていて、毎年のように詣でているようにも感じられるが、今時のレンジャー部隊が旧日本軍を崇拝しての詣でというのも何かこじつけのような気がする。正確なところを知っている人がいれば、ぜひ教えて頂きたい。(2005.11.13)

 【参考コースタイム】 支笏湖展望台駐車場 11:20反射板・785mピーク 12:55 → イチャンコッペ山頂上 13:20、〃発 13:50 →  反射板・785mピーク 14:05支笏湖展望台駐車場 15:20  

メンバーsaijyoチロロ2

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