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         東ヌプカウシヌプリ(1252.2m) 

十勝平野のどこからでも見える東ヌプカウシヌプリ

  /25000地形図「東ヌプカウシヌプリ」「然別湖」

東に飛び出した雑木林が頂上
白樺峠の停車帯に車を停める
快適な針葉樹林帯を登る
途中から見える西ヌプカウシヌプリ

  正月山行には北見・網走地方の山をと考えていたが、冬型の気圧配置で荒天の予報となり、急遽この時期でも晴天の日が多い十勝の山へと山域変更する。変更が急であったため、この時期でも最も登りやすいと思われる、東西ヌプカウシヌプリを白樺峠から登ることに決める。然別湖周辺には登山道が開かれた小さな山が多いが、この両山は一番南側に位置していて、十勝平野の何処からでも山全体を見ることができる。平野に一番近く、山麓には牧場や自衛隊の演習地なども広がっているが、一方では士幌高原道路の建設が自然保護団体の反対により中止されたように、ナキウサギの生息地など、貴重な自然が豊富に残された地域でもある。

 白樺峠は然別湖への玄関といった位置にあり、東ヌプカウシヌプリの登山口となっている。無雪期にも一度来ているが、ナキウサギを見ようと、多くのハイカーで賑わっていた記憶がある。さすがに冬期ともなると峠の駐車帯に停まっている車は一台もない。この日はラッキーなことに、登山口からスノーシューによるものと思われる数日前の踏跡が樹林帯へと続いている。エゾマツ、トドマツなどの気持ちの良い針葉樹林の中を縫うように進んで行くと徐々に傾斜が増してくる。スノーシューを持っていない私は、人から借りた東北地方の観光土産のような竹のワカンで山行に望むが、一度踏まれた雪面は沈みにくく快適である。

登山道?は斜めから稜線上へと抜けて、広い雪面上となる。この日のうちの西ヌプカウシヌプリ登頂も視野に入れていることもあり、早々に登頂をとの逸る気持のためか、まるで山に意地悪でもされているように頂上が遠く感じられる。広い雪面を登りきれば頂上と思い込んでいたが、登りきると遥か先に頂上らしき雑木林に囲まれた高みが現れた。東側に突き出したようにも見えるが、地形図を見れば突き出しているのではなく、単にウオップ川支流の源頭部が入り込んでいるだけだ。標高差も距離も見た目よりは少なく、新調された頂上標識が立つ頂上へは意外に簡単に到着する。

東ヌプカウシヌプリ頂上にて 日高山脈と大きく広がる十勝平野
ナイタイ山は大きく見える 一転して西ヌプカウシヌプリは悪戦苦闘

 ここの圧巻はやはりパッチワークの布を大きく広げたような十勝平野とその中心である帯広の街、さらに向こうに延々と続く日高山脈の大パノラマに他ならない。特にこの日の典型的な冬型の天候を示しているのか、日勝峠より北側の稜線上はどこも分厚い雪雲に包み込まれているが、峠以南の稜線上は雲一つなく、山脈が黄金道路付近で切れ落ちている様子をも望むことができるほどの違いである。一方、樹林が邪魔して、然別湖周辺の山々をよく見ることはできないが、鉛色の空の下にナイタイ山のみが全容を現している。さてさて、ゆっくりとはしていられない。下山途中、一組の夫婦と思われる登山者とすれ違う。さすがにこの時期でも手頃な一山ということなのだろう。

 東とは打って変わり、中途半端な積雪の西ヌプカウシヌプリは初っ端から悪戦苦闘である。この山には夏道が付いているのかどうかは判らないが、以前、スキーにて同時期に登った折にもこの東斜面では苦労させられている。低木が雪には埋まっているのではなく、樹木の上に大きく乗っかっている状態である。ワカン使用だが、場所によっては腰まで埋まってしまう。かと思えば、雪塊が壁のように立ち塞がったりと、ついつい何でこんなことやっているのだろうと考えさせられること頻りである。それでも敢えて日帰り両山制覇を目論むが、コンタ1050m付近の平地で真正面に200mほどの標高差で本峰が現れ、「日暮れて道なお遠し」ことを悟る。ここまで費やした時間は、すでに東ヌプカウシヌプリのそれを超えていた。

 結局、この日の収穫は東ヌプカウシヌプリ一山であった。でも、もう少し早く出ていれば間に合っていただろう。前日に現地入りせず、日高町の岳連研修所で正月を過ごしてしまったことによるが、正月くらいは屋根のあるところでゆっくり過ごしたいというのも人情である。また一つ宿題を抱えてしまったが、機会あれば今度こそ現地泊にてリベンジを果したいものである。(2009.1.2)

【参考コースタイム】白樺峠 9:25 →  東ヌプカウシヌプリ頂上 11:05、〃発 11:30 → 白樺峠 12:00 →  西ヌプカウシヌプリ中止地点 13:50  → 白樺峠 14:15    (東ヌプカウシヌプリ/登り 1時間40分、下り 1時間)

メンバーsaijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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