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     東山(811.3m)

コル付近から東山を望む

  /25000地形図  「千栄」

頂上にはこんな標識も
東山頂上から望む無名1193m峰(情報提供;SHOJIさん)
「東山林道」入口に車を置く
狭い水流のない沢を登る
天気も回復して虹も現れる
刈り分け道はかなりしっかりしている

北海道山岳連盟の研修所がある、日高町千栄地区周辺には険しい山が多い。この東山もその一つで、標高こそ811mと低いが、それなりに楽しめる山である。千栄地区の東側に位置しているのでこの名が付いたのであろうが、美しく色付いたこの時期には京都の東山がつい連想される。以前、私の所属する山岳会の会員が日高町から千栄地区に建物を一棟借りていたが、その当時はそこをベースとして周辺の山々を週末ごとに登ったものである。ウェンザル林道が初冬の積雪のために入れなくなり、予定していた山が中止となったため、急遽この東山を計画したことがある。千栄からは直ぐに取り付くことができた。急な斜面を交代でラッセルしながら登って行くと、無線の中継所のアンテナ?があったように記憶している。そこからさらに登ると林道が出てきて、コンタ710mのコブを西側から巻いて東山とのコルまで行き、東山への急斜面を登った。1000mにも満たない山とばかにしていたが、やっとのことでたどり着いた頂上は意外な鋭鋒であり、雲知来内岳へ続く稜線の雲知来内沢側が崖となって切り立っていた光景が目に焼きついている。景色も然ることながら、“拾い物”の頂上は満足感でいっぱいであった。  

《ガレ沢からのアプローチ》

今回はこの時に通った林道を使う予定で、地形図上唯一東山に向かっている、空沢沿いの林道にってみることにする。国道274号線上に掛かる橋は「唐沢橋」となっているが、この橋の手前が林道の入口である。林道に入ると予測した通り、それに続く東山へ向う「東山林道」の看板を見つける。この林道は傾斜が増して道幅も狭くなるため、普通車はここでだ。当初はコルまで林道を歩くつもりでいたが、北面から頂上東側のコルへ突き上げている沢を詰める方が面白そうであり、予定変更とする。約10分で沢の出合に到着する。

林道からはガレ沢で、雨天にもかかわらず水流がほとんどない。沢は狭く、台風の影響か倒木で埋まっているところも所々にある。途中からはルンゼ状の狭い急登となり、やがて沢形は斜面に消える。樹木の少ない草付き斜面が続き、四つん這いになりながら登ってく。雨も上がり、天気は回復傾向である。振り返ると虹がかかり、牧草地の緑色や紅葉真っ盛りの山々とのコントラストが美しい。コルぎりぎりまでこの傾斜が続く。

コルの東側は地形図上ではコンタでしか表現されていない岩壁となっている。目指す西側も岩混じりの細い尾根となっているが樹木はしっかりしていて、登ることに問題はなさそうだ。北側の斜面に少し回り込み、最後はうるさく繁った潅木を一漕ぎすると約5年ぶりの東山頂上に到着する。積雪期に比べて木々の葉が邪魔しているため展望はよくないが、1347m峰(林業界の「双珠別岳」)や尖った姿の無名1193m峰を木々の間から望むことができる。また、木に登ると稜線続きの雲知来内岳の大きな姿も見ることが出来る。間近に見える沙流川と千露呂川の合流付近の様子が印象的である。上には三等三角点が設置されている。今年になって測量の作業が行われたようで、三角点の周りが新しい木材で囲まれている。誰が持ってきたのか「東山」と書かれた頂上標識も木に掛けられていた。  

正に紅葉真っ盛り   刈り分け道への入口は2つ目の階段だった

《下山》

下りは冬期に林道があった、コンタ710mのコブとのコル付近を目指して下降することにする。驚いたことに、下降予定の斜面には踏跡が続いていて、新しいピンクテープが方向を示している。踏跡はしっかりしていて、一見登山道のようでもある。コル付近になると荒削りに笹が刈られており、明瞭ではあるが歩きづらい。予定していた林道は既に廃道となっているようで、短い笹で被われている。この“登山道”の登り口が何処なのかが気になり、そのまま下ってみることにする。コンタ710mのコブを巻くように北に向かっていて、北東方向へ徐々に下っている。登ってきた林道が徐々に離れて行くようにも感じられるが、車の回収は最悪の場合でも国道を歩けばよいことで、歩いても然程の距離はなさそうだ。地形図上コンタ530mの送電線と交わるところには鉄塔が建っていて、そこからは鉄塔の維持管理用の踏跡が斜面を下っている。最後は鉄製の細い階段を下ると、往路の林道へ飛び出す。入渓地点までわずか数百mの所であった。

結果的には予定していた林道歩きを止め、沢から頂上を目指したのが功を奏したようである。もちろん刈り分け道が頂上へ続いていることなど全く知らなかったので、沢からのルートを考えなければ、そのまま林道跡の長い藪漕ぎとなっていたことだろう。それにしてもこの刈り分け道、登山道としても十分に使えそうな気がする。千栄からは2時間弱と気軽に登れる山で、標高こそ低いがハイキング登山にはちょうど良い距離と運動量と言える。人が入り、さらに刈り分け道が踏み固められれば、山岳連盟の研修所からは歩いても登れる唯一の山となりうるように感じた。ガイドブックにでも登場すれば、研修所を利用する一般登山者はきっと増加するかもしれない。(2004.10.11)

【参考コースタイム】東山林道入口 10:40 → 入渓地点 10:55  → 東山頂上 12:00、〃発 12:30 → 刈り分け道入口(登山口) 13:15 → 入渓地点 13:20 → 東山林道入口 13:30 

メンバー saijyo、チロロ2

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