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      辺恵山(715.2m)

安足間の町から望む辺恵山

1/25000地形図愛別」

441m標高点の林道終点は小さな広場となっている
この時期、カタクリもかなり多い

 「山の時計」のEIZI@名寄さんから山への便りが来る。しばらくのご無沙汰で、気になっていたこともあり、今回の誘いは何とも嬉しかった。初めて登る山にはどんな山であれ、知り尽くした“名山”よりも胸ときめくものがある。こんな機会にはぜひそんな一山を選びたい。とは言え、道北の山をほとんど登りつくしたEIZI@名寄さんに、地元旭川のOginoさんも参加とのことで、両人とも登っていない旭川周辺の山を探すことはかなりの難題といえる。そんなとき、ふと思いついたのが辺恵山で、以前に班渓山へ登った時、本HP・掲示板の中で下流の山・班渓山と対になる上流のペンケについて、いったいどこにあるのかということが話題になっていた。私なりに考え、ペンケメムナイ川の水源の山として、この山がそうだったのではないだろうかと思ったが、如何せん、私の知識量では裏づけに乏しかった。早速、及川氏のHP「山の時計」の山行一覧を確認すると、この山の記録はなく、ぎりぎりセーフで山域決定となる。ちなみに、上流の山とは言っても昔とは道路事情も変わり、現在ではかなり人里に近い山となっている。

小沢にはエゾノリュウキンカが咲き乱れる

 安足間の町からエチャナンケップ川に沿って町道を走り、突角山へのアプローチと同じ十七線沢へ向う農道を進む。最終人家を過ぎると放牧地となっていて、明るいうちから現地入りしていた彼らと合流する。広場には既に薪も用意されていて、今年最初の焚き火を囲む。今回のルートは林道を出来るだけ使い、北東側の沢から頂上を目指すというもの。ルートが短いこともあり、翌朝はゆっくりのスタートである。

 そのまま十七線沢沿いの林道を進み、地形図上・386m標高点から点線に入るが、点線は歩道ではなく立派な林道となっている。点線の終点(441m標高点)が林道終点である。古い林道で現在は使われていないようだが、一般の車両も入っているのか、終点の広場にはゴミがちらばっている。人目がないからといって簡単にゴミを捨てて行く神経が理解できない。一歩沢へ踏み込むとすぐにいつもの山が戻ってくる。頂上へ向う沢は小沢となっていて、エゾノリュウキンカ、カタクリなどが咲き乱れ、ここはまだ春爛漫といった様子である。イタドリを初めとする雑草もまだ頭を出したばかりで、雑草に邪魔されることなく進んで行くことができる。いくらも進まぬうちに流れは細くなり、ほどなくガレ場となって沢形は消える。

 急斜面のガレ場を登り、ここからが本格的な薮漕ぎである。とはいっても笹薮も春先であるために勢いはなく、ところどころに出てくるツル植物が手足に引っかかり、行く手を妨げる程度である。薮の濃い、薄いを繰り返すうちに自然と稜線上となる。この時期の稜線は薮が薄く歩きやすい。気が付くと雪渓が消えた北側の斜面にはアイヌネギも見られる。頂上は稜線を辿ってすぐだが、ここは急がず一休み、ゆっくり登ることにする。短いルートでは春の幸を楽しみながら歩くのもまた一興である。

辺恵山頂上に到着

三等三角点「辺恵山」

 稜線を再び登り詰めると頂上と思える高みに到着、さらに先は明らかに標高が低い。GPSにて確認すると三角点はさらに100mほど先のようである。しばらく薮を漕ぐが標高は上がらず、結局そのままの高さで三角点に到着する。三角点が頂上とは言えない山は多いが、この山もまた、先に通過した地点が頂上のようであった。三角点で記念写真を撮影、頂上へ引き返す。頂上は樹林のために展望は利かない。西側の中愛別山と東側の突角山が樹林の間から確認できる程度である。そろそろダニが活動を始める季節、気が付くとズボンのあちこちにダニが這っていて、どっかり腰を落ち着かせていたが、そそくさとダニ退治となる。頂上での長居は禁物のようである。

 下りはOgino氏を先頭に、尾根上を下る。主尾根を外さなければ車の止まっている出発地点には飛び出すはずである。私は後ろについて行くだけで何も考えずに下降したが、薮尾根上の先頭だけはあれこれ考えて動かなければ、簡単にルートを外してしまう。そこは薮山仲間のOginoさん、最後にチロロ2さんが春の幸を求めて沢へ下り若干それたが、そのまま尾根上を進んでいれば100mも行かぬうちに寸分狂わず車の真ん前へ飛び出していた。いつもであれば一日に、普通の登山者の何倍もの距離を動くEIZI@名寄さん、この日ばかりはいつもの何倍もの時間をかけて辺恵山に付き合ってくれた。それはまるで高性能のスポーツカーが徐行しているかのようであった。 (2008.5.18)

「山の時計」EIZI@名寄さんの山行記

【参考コースタイム】林道終点(441m標高点) 7:55 辺恵山頂上 9:45、〃発 10:05 林道終点(441m標高点) 11:45  (登山時間;登り1時間50分、下り1時間40分…休憩時間を含む)

メンバーEIZI@名寄さん、Oginoさん、saijyoチロロ2

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