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    半面山(425.9m) ・・・ 本当のピークは?

     

“天神ヶ峰”と呼ばれている半面山

1/25000地形図 旭 川

半面山頂上(天神ヶ峰)は目の前の高み
ゲート前に車を置く 立ち入れば罰金30000円(北電)とのこと
稜線上はスノーシューでも快適

 旭川の西側に位置する半面山だが、国土地理院の地形図上では359.3mの点名「中半面」に山名が記されているが、おそらくこれは間違いだろう。426mピークには二等三角点「半面山」が埋まっており、地形図作成の慣例から考えれば点名がそのまま山名となっているケースが多く、山塊の北端に四等三角点「北半面」が、南側の275mピークには「下半面」が埋まっていることを考えれば、半面山とは全体を指し、半面山の本当の頂上は通称「天神ヶ峰」と呼ばれている426mピークである。天神ヶ峰については、山麓に北野神社があり、菅原道真公を祭っていることによるものと思われる。札幌で言えば北海道神宮に対しての“神社山”のパターンである(神社山は神宮の管理地)。国土地理院のちょっとした記載ミスと思われるが、その後の標識等で山域の地点名を分かり辛くしてしまったことだけは確かだ。ちなみに鷹栖町の「たかす百科事典(平成4年2月4日発行)」では「北海道庁長官の岩村通俊は明治20年10月10日、札幌を発って13日に近文山の下に舟を止め、正午に山系の最高頂に登った。随行の安村治孝は、遠く望めばその半面を見るを以って半面山と命名した」とのこと。同百科事典には天神ヶ峰も別項目として載っており、明らかに矛盾している。天神ヶ峰の名の出所は北野神社で、明治後期に建立されていることを考えた場合、最高峰は天神ヶ峰なので半面山頂上ということになる。

 Ikkoさんから今週の山は半面山との連絡を受け、久々にチロロ2さんも参加となる。低山でもあり、歩く距離も少ない。(チロロ2さんは地形図上の半面山までと思っていたようだ)車を止める場所がないとのことで、深川の道の駅に一台置いてIkko車で入山口へと向かう。夏場であれば嵐山公園から遊歩道を歩くのが一般的のようだが、積雪期でもあり、北海道電力の変電所への作業道脇から送電線の下を進むことにする。変電所への入口には「無断立入・罰金三万円」の看板が掲げられていたが、立ち入ったのは看板の横だけで、後ろには立ち入ってはいない。人を近づけないための方策であろうが、登山者側からすれば山のアプローチに勝手に施設を作ったわけで、道路も通過してはダメだとは言語道断な話である。

 送電線の下は未だ積雪が落ち着いておらず、スノーシューでは時折踏み抜いて難儀させられる。だが、距離的には短く、最後の急斜面さえ登りきれば遊歩道のある稜線上となる。遊歩道上は沈むこともなく歩きやすい。「中半面」はここからひと登り、チロロ2さんは簡単に登頂となったことに満足気。だが、前述の通りで、ここは半面山の頂上ではなく1通過地点に過ぎない。雪面から飛び出している国土地理院の棒杭だけを写真に撮ってすぐにスタートとする。中半面からは登った分だけ下る感じとなる。帰路を考えると少々うんざりさせられるが、真の半面山登頂のためには仕方がない。

最後のひと登りはなぜかチロロ2さんが先頭に立つ 二等三角点「半面山」が埋まる雪面にて

 コルからは再び頂上へ向けての登り返し。ピンクテープが結ばれている遊歩道上を着実に登って行けば比較的楽に登り返すことが出来た。ピーク手前の稜線上からは旭川中心部のビル群や市街地の広がりを望むことが出来る。夜であればなかなかの夜景スポットであろう。詰めは稜線上を左側へと進み、開けたコルから最後の急斜面を登る。先頭はチロロ2さん、遊歩道からは大きく外れて一番急な斜面から頂上到着となる。頂上には「天神ヶ峰」の看板。どうせ取り付けるなら半面山頂上の山頂標識が見たいところ。二等三角点「半面山」は雪面の下で、国土地理院の棒杭だけが頭を出していた。心ない登山者が眺望を得ようと目の前の小さな木を払ったようだが、もっと下の大きな樹木に邪魔されていては、見晴は何も変わらない。多くの藪山をやってきて、眺望が素晴らしいと思えるケースは極めて少ない。自然に開けた眺望に出会った時にこそ感動はあるもので、人為的な眺望など山の世界では無意味である。

 チロロ2さんの年賀状用写真とホームページ用の金麦写真を1枚、下山開始とする。「中半面」ピークへの登り返しはやはり億劫なので、直接ここから林道へ下ろうと提案するが、いきなり急斜面でもあり、チロロ2さんの足を考えたIkkoさんはコルまで下りましょうとのこと。私としてはプラブーツだったので、沢にだけは入りたくはなかった。先頭を行くIkkoさんはそんな思いを察してか、沢へは入らぬよう大きく回り込むように広い尾根上に乗って林道へと下って行った。

 楽勝と思えた林道歩きだったが、この時期の湿気を含んだ雪は辛いものがあった。この道具を嫌っているためかもしれないが、スノーシューでは特に重さを感じるもの。楽な山のつもりで気軽にやって来た半面山だったが、下山してみれば4時間半を費やすそれなりの山行となった。(2016.11.27)  

参考コースタイム】ゲート前 P 9:15 「中半面」 10:30 半面山(天神ヶ峰)頂上 11:40 、〃発 12:00 林道 13:00 ゲート前 P 14:00 (登り2時間25分、下り2時間 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo、チロロ2

◇◇山行写真◇◇

地形図に半面山と記されている「中半面」 359mピーク

半面山頂上手前から見る旭川市街 (Ikkoさん提供)

半面山頂上に到着 (Ikkoさん提供)

雪を掻き分けると二等三角点「半面山」が顔を出した (Ikkoさん提供)

 

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