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      渓山(819.8m)

1/25000地形図協 和

除雪終点に車を止める
ぴっぷスキー場の背後に見える班渓山

道内には“パンケ”の地名は多いがこの山も班渓と当て字がなされた、特徴のない平凡な山である。比布スキー場がある北嶺山の奥に位置し、積雪期のスノーモビルによる登山以外ではあまり登られることはないようだ。パンケ川の水源の山ということで班渓山と命名されたようである。パンケといえばペンケ…つい考えさせられるが、付近にペンケにあたる川名は見当たらない。強いて挙げれば、辺恵山へ源を発するペンケメムナイ川、もしくは愛別ダムがあるポンケナイ川となろうが、当サイト・アイヌ地名行掲示板の中標津・すがわら氏の見解では、愛別川をも含みその関係が複雑過ぎて、確かなところは判らないとのこと。ペンケにあたる川はいったいどこなのか、興味の尽きないところである

比布スキー場側から協和温泉側へは林道が通じているが、アプローチとしては両側とも大差はない。今回は、周辺の山行ではしばしば利用する、協和温泉側から入ってみることにする。林道に入って1.5kmほど走ると、地元農家の作業場があり除雪終点となる。班渓山への取り付きはそこから約3km入った地点で、途中、春の訪れを告げるエゾノリュウキンカの芽吹きなどを楽しみながら歩を進める。春まだ早い林道上にはキツネやノネズミなどのユーモラスな足跡が数多く見られるが、対岸にはヒグマのものと思われる大きな足跡も林道に沿って点々と続いている。草花が目覚めるこの時期、かれらにとっても心躍る最高の季節なのであろう。

左岸は何れも針葉樹林が密生している急斜面で、予定地点よりは少し手前のわりと開けた斜面から取り付くことにする。概ね急斜面で、キックターンを繰り返し標高を上げるが、520mコルまではさほどのアルバイトではない。コル付近からは広い尾根上となり、769m標高点を過ぎてからは樹林もまばらとなる。標高が低い割には開けて明るく、尾根上というよりは広い雪原といった感じである。久々の晴天で、背後には樹林帯の向こうに上川町付近の山々が望まれる。中でもしばしば耳にすることが多くなった「上川三山」の一角である摺鉢山の特徴的な姿が判りやすい。朝方の寒風も弱まり、視界の利く中での心地よい雪面歩きは春山ならではのものといえる。

「笹の平」は一見、放牧地のようにも見える 班渓山頂上にて
コルからは心地の良い尾根歩きとなる

 緩やかに標高が上がり、最高地点と思われる雪原に到着する。前方には一見して放牧地のような「笹の平」が広がっているが、無雪期の笹原が心地良さそうな草原に見えるのと同じ感覚であろう。遠くスノーモビルがミツバチのように動き回っている様子が見える。この頂上にもスノーモビルの走行跡が残されているが、道北の山々はその地形のなだらかさからか、彼らの格好なコースとなってしまっていることが多いようだ。無秩序に走り回る現状では、穴篭りしている動物たちにも少なからず悪影響を与えていることだろう。山々に静けさが戻るのは草木が生い茂るGW明けであろう。

 ふと見ると、頂上台地の一角に赤布が垂れ下がっている。近づいて見ると赤布の主は8月に登頂とのこと。班渓山のような山は頂上部が広く平らで、しかも標高が低いだけに無雪期には背の高い藪が覆っている。こんな時期の頂上の特定はかなり難しいものである。強烈な藪漕ぎにて夏のこの山へ辿りついた彼らの心意気には敬意を表したい。その周囲にはスノーモビルの走行跡がぐるりと一周している。自分の力で登頂する気概などあるはずもなく、何も考えずにただ走り回っているだけのようであった。(2007.4.15)

今回同行して頂いた ■Luckyさんの山行記へ 

【参考コースタイム】 除雪終点 8:35 → 尾根取付き 10:20 → 班渓山頂上 11:25 、〃発 12:15 → 尾根取付き 12:50 → 秋雲橋P 13:20 (上り2時間50分、下り1時間5分)

  【メンバーLuckyさん、saijyoチロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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