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 白雲山(1186m)

 

1/25000地形図 「ルペシュペナイ川

頂上直下は大きな岩がゴロゴロしていて歩き辛い

頂上からは然別湖が眼下に広がっている

登山口には雨にも関わらず車が集まってくる
頂上から見た岩石山、この山もいずれは登ってみたい
急な登山道だが、しっかりとして歩きやすい

  然別湖周辺には登山道の整備された山が多く、どの山も比較的登山時間が短いため、その分だけゆっくりと東大雪の豊かな自然を楽しむことが出来るのが良い。札幌周辺は今が紅葉の真っ盛り、であればこの然別湖周辺も同様であろうと、前夜発で一路道東道を十勝へ向かう。もちろん、道央以上の素晴らしい紅葉への期待感からだった。だが、途中からは雨模様、とりあえずは道の駅「しかおい」で車中泊とする。今はもう秋、日に日に冷え込んできたこの時期とあっては、誰も居ない静かな道の駅と思っていた。ところが、駐車スペースは既に満杯状態である。この日は幸か不幸か “鹿追そばまつり”の開催中とあって、全道各地のナンバーを付けた車でひしめいていた。今や有名ブランドとなった鹿追そばでもあり、当然と言えば当然だったようである。

 やっと見つけた駐車スペースだったが、祭りの開始よりもかなり早い時間帯に白雲山〜天望山へと向けて道の駅を出る。鹿追そばは帰りの楽しみとしよう。白雲山登山口の駐車スペースは、小雨にも関わらず、既に数台の車が止まっていた。どの車も天候をうかがっているようで、誰も登山の準備にはかかっていない様子。車の前でうろうろしていると、隣に止まった車のウインドウが開き「前にお会いしてましたよね」との声、見れば以前に所属していた山岳会の友会であるTクラブのHoさんである。あの当時から15年は経過しており、私の顔を覚えていてくれたことは何とも嬉しかった。Hoさんは当時はバリバリのクライマーで、とても私が気軽に話しかけることなど出来ない存在だった。今は体調を崩して会から離れ、自分一人で静かに山を楽しんでいるそうである。せっかくここでお会いしたのだから、今日はHoさんとパーティを組んで、白雲山を楽しもうとのことになる。

 今にも降り出しそうな空模様の中、登山口を出る。期待した紅葉はすっかり葉が落ちて冬枯れ状態。背の低いクマイザサと針葉樹林の緑のみが青々と残っている。しかし、この時期はこの時期で素晴らしいものがある。となりの東ヌプカウシヌプリほどではないが、枯山水を思わせる趣はこの山域独特のものだ。そんな中、HOさんとの会話は以前の山岳会当時を思い出させる懐かしさで一杯だった。この日は天望山も予定していたが、今日は白雲山だけで十分、ついそんな気分にもなる。1110mのコンタまでは途中で休憩を挟みながらゆっくりと登る。

 稜線に飛び出す頃からは空模様も安定、傾斜も緩んでほっと一息つく。稜線上を歩いて行くと見上げるように本峰が現れ一瞬 おっ!と思ったが、Hoさんによれば、右側から大きく回り込むとのこと。何の下調べもなしに訪れると、少しのことにも驚かされる。岩石山分岐を通過、後は回り込んで頂上とのこと。実は岩石山という山の存在もHoさんから聞いて初めて知った。士幌高原からのコースもまるで知らなかった。一日時間をかければこの山の紅葉を十分に楽しめるだろうとの漠然とした計画でやってきたからである。

 頂上が近づくとゴーロ帯となり、その頂点が白雲山の頂上である。展望は抜群で、眼下に広がる然別湖の全体像が実に素晴らしい。さすがに人気の山と感じる。南側には秋色の十勝平野が広がり、雨雲のために暗く沈んだ山影が山自体の迫力をさらに強調しているかのようにも感じられる。東西のヌプカウシヌプリやとなりの天望山などが大きく見えるが、然別湖の向こう側の山々が雨雲にすっぽり覆われて見えない。風は冷たく、風下の岩陰で休憩とする。しばしHoさんと山歩きについて語り合う。

北側の山々は厚い雨雲の中 下山時、時折陽も差し始めて色づいた木々の葉が美しい

 帰路は天望山とのコルまで下り、然別湖沿いの歩道を登山口へと戻るルートである。Hoさんも山岳会の時代には家庭サービスを兼ねて今回のコースを辿ったことがあるそうで、現役バリバリの時代には見えなかった素晴らしさが今は見えているとのこと。一般的な登山ルートだが、季節や天候、自分の状態等によって景色や受け止め方もまた違ってくるのだろう。そうこうしているうちに続々と行動を決めかねていた登山者が上って来た。誰かが上れば自分も出発する… 初心者によくある悪い癖である。登山は自分で山と対峙してその行動を決めるものだと思う。ただ、おかげかどうか、久々のHoさんとこの山を静かに眺める時間が得られたことはラッキーだったと思っている。

 Hoさんを先頭にコルへと向かう。こちらの登山道はやや笹が被っていて、然別周辺でよく見かける登山道のスタイルだ。天望山へと向かう登山者は意外に少ないのかもしれない。コルから天望山へはさらに笹が被っているようだ。我々はそのまま然別湖沿いに続く帰路を辿ることにした。天望山と東雲湖は来年のもうすこし早い時期、もちろん紅葉が一番見事な週にゆっくり訪れたい。(2013.10.13)

【参考コースタイム】 白雲山登山口 715 白雲頂上 9:15、〃 発 9:45 → コル 10:15 → 白雲山登山口 1130  (登り 2時間、下り 1時間15分)

メンバーHoさん、saijyo、チロロ2

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