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      腰山(872.3m)

林道から袴腰山(左)を望む。右側は赤布を残した600m地点

/25000地形図  「袴腰山・えりも」

袴腰山頂上に到着
予定を変更、狩猟グループが教えてくれた地点に車を置く
尾根上は下草も無く歩きやすい
稜線上から望む豊似岳

 “袴腰”と名の付いた山は道内には5山あるが、今回目指した袴腰山は日高山脈南端の山群の一山である。日本海側の山々は早くから雪が付くため、11月下旬でも雪が付く可能性が少ないと思われる山域から探し出す。

 ニカンベツ林道入口は判りづらいため地元の人に尋ねたところ、今日は猟が行われているので入らない方が良いと忠告される。この山域にはエゾシカが多いということをニュースで聞いたことがある。狩猟の際の誤射を度々耳にするが、“有害鳥獣駆除”の名のもとに免許さえ取得すれば、だれでも簡単に猟銃を手にすることが出来るようである。一応有害鳥獣駆除を目的としているが、仮にも猟銃という凶器の携帯を許可するのであれば、行政のしっかりとした監視下で行うべきであり、現在の捕獲目標だけを指し示す野放図な制度は即刻改めるべきである。登山道のない藪漕ぎ登山を志向するものにとっては憂慮すべき状態である。

 ニカンベツ川とポンニカンベツ川の分岐で、狩猟グループのメンバーが集まっている。彼らの行動予定を聞くため話しを聞きに行ったところ、これから我々が予定しているポンニカンベツ側に入るとのことである。グループの長老と思われる老人が熱心に南からのルートを説明してくれるので、地形図を出すが全然見ようともしてくれない。どうも地形図を見る習慣はないようで、林道のカーブや沢や尾根の説明に終始する。何となく解ったので、お礼を言って彼らと別れる。

 安全性を優先させて予定を変更、彼らの説明通りに枝分かれした作業道のカーブに車を置く。そこから沢沿いに進み、二股から真ん中の尾根を登れば楽とのことであるが、右岸側にも登れそうな尾根が現れたため、その尾根を登ることにする。下草は冬枯れで既になくなり、どこでも歩けそうな状態である。途中所々岩壁が現れるが、容易に巻くことが出来る。斜面は急峻であるが適度に木々もあり、それに捉まりながらの登高である。コンタ600m付近で頂上へ向う尾根上に飛び出すが、帰路を考えればここが赤布を残すポイントである。ここからはアップダウンの少ない尾根上を進むが、根曲がり竹や下草も無く歩きやすい。相変わらず尾根が細くなる所では岩稜となるが、その上も基部も容易に通過することが出来る。進む方向に遠く袴腰山の頂上部が見え隠れするが、距離の割には順調に進み、意外と速く頂上部が近づいてくる。最後の詰めは這松帯であるが、頂上まではほんの僅かである。下山時に確認したところ、ここは迂回することも可能であった。

袴腰山頂上の三角点 袴腰山頂上から楽古岳

 這松帯を抜けると、袴腰山の三角点がある頂上到着である。途中の稜線上では冷たい西風に吹かれたが、頂上は無風で日差しが温かく心地よい。頂上からは楽古岳から襟裳岬までが手に取るように見え、日高山脈が海へ沈んで行く様子が窺える。特に豊似岳やオキシマップ岳の姿は大きく立派で、再び訪れてみたい衝動にかられる。

 狩猟グループの勧めにより半信半疑で採ったルートであるが、彼らも自分達の経験から誠意をもって教えてくれたのであろう。我々が日常行う地形図上での判断からは決して考えそうにもないルートであるが、やはり“実地踏査”は確実な情報源である。日常、地形図上では距離的にも出来るだけ短く、容易に登頂出来そうなルートを探すが、どうしても地形のみの判断が優先してしまいがちである。予定していたルートはポンニカンベツ川からの最短ルートであったが、北西面であるため、強い冬型の気圧配置の日には寒風にさらされやすい。積雪期前の中途半端な装備では余計な寒さに耐えなければならない。また、植生の状態も常に最悪の場合を考えてしまうが、尾根上には必ずしも根曲がり竹や這松が密生しているとは限らない。今のこの時期にはこの時期のルート採りがあることを彼らから教わった。(2003.11.23)  

同行したEIZI@名寄さんのページへ

【参考コースタイム】 ニカンベツ林道・駐車地点 9:15 → 650mコル 11:35→ 袴腰山頂上 12:25、〃発 12:55 → ニカンベツ林道・駐車地点 14:45

メンバーsaijyioチロロ2、チロロ3(旧姓naga)、EIZI@名寄さん

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