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   神岳(967.9m)   1/25000地形図 狗神岳  

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乗り越してからの下降中に見えた狗神岳の全容

「山蕗駐車公園」に車を止める

乗り越す尾根上に到着

  函館マウンテンクラブの総会で函館に行くことになり、せっかくの機会なので、どこか道南の山にも登りたいと思っていた。Ikkoさんに、道南の山へ行くとメールしたところ、彼も道南へやって来るとのことだった。Ikkoさんの希望は毛無山だったので、それでOKと連絡は入れたものの、私としては本当のところは狗神岳に登りたかった。森町の道の駅でIkkoさんと落ち合ったのは総会の翌日の朝。案として考えていたのは、とりあえず毛無山を目指し、途中から狗神岳北尾根の様子を見て、登れそうであれば目標を狗神岳に切り替える臨機応変な案だった。狗神岳は登頂が難しいと言われているので、確実性を優先させれば毛無山である。

 前日に山岳会の龍さんから釜別川林道の情報をもらっていたので、とりあえず様子を見に行くことにした。道道67号側からのアプローチであればsakag(一人歩きの北海道山紀行)の情報があり、このルートであれば時間さえあれば狗神岳にも届くだろう。結局のところ、林道を偵察した段階で狗神岳に腹が決まった。釜別川の林道は入口から崩壊していて、尾根取付きまでは約9kmも歩かなければならず、しかも雪に埋まっている状況とあれば片道3時間はかかるだろう。sakag氏の記録どおりにやろうとの結論となる。

靴の中を濡らさずに釜別川を渡渉

 「山蕗駐車公園」に車を止めて500mほど戻ると工事現場があり、上二股川には仮設橋が架けられていたので、それを使わせてもらった。その後、小沢を間違えて進んでしまったが、尾根を乗越す沢は水流もあって意外と大きかった。単なる尾根の乗り越しというよりはひとつの沢詰めといった感じで、尾根上に到着したときにはひと仕事終えたような達成感があった。だが、ここからが狗神岳登山の始まりである。釜別川への下降中、狗神岳の全容が見えたが、険しくて迫力のあるその山容は、標高がたかだか800m台の山とは思えない風格であった。

 釜別川は素早く渡渉したので、かろうじて靴を濡らすことはなかった。渡渉してすぐの尾根が目指す尾根の取り付きと思い込んでいたので、よく地形図の確認もせずに取り付いてしまった。取付いてみると途中からかなり痩せてきた。雪が消えて地面が出てきたこともあって、私はワカンなので良いが、Ikkoさんのスノーシューでは大変そうだった。Ikkoさんはスノーシューをデポして行くとのこと。ただ、登りは始まったばかり。デポするのは良いが、この先スノーシューが必要になるかもしれないので、彼には持って行くよう勧めた。

取り付いた尾根は痩せていた 北尾根へあともう少しのところで岩峰(右)が現れた
通過してきた尾根を眺める こちらも長い北尾根

  しばらく登ってから、Ikkoさんから頂上が離れているとのこと。確かに、私も微妙に方向が変わっているとは感じていた。どうやら、1本尾根を違えて取付いたようだ。今さら戻って取付き直す時間はないし、途中で沢に降りてsakag氏のルートへと修正するのも時間の無駄。結局、この尾根を詰めるしか選択肢はなかった。このまま登り続ければ、834mピークの北西側300mのポコに出るはずだ。このポコは毛無山から登った場合でも逆側から飛び出す予定だったところなので、気持的な抵抗感はなかった。尾根の右手前方にはこれから向かう北尾根が見えるが、見る限りでは何とも険しそうである。

狗神岳への最後の登り

 501m小ピークを越えると尾根が再び広くなり、広い雪原を取り囲むかのように尾根線が迂回していたので、我々は緩い谷地形を横切って真っ直ぐにさらに上へと向かう尾根に取付く。そこからは本格的な登りとなる。GPSを見ると狗神岳北尾根はぐんと近づき、このまま抜けれれば楽勝とも思えた。ところが伏兵は待ち構えているもので、748m標高点を過ぎた辺りに北側が岩壁となった小ピークが現れた。地形図上には崖マークどころかコンタさえも表現されていない障害物だ。当然、崖とは反対側の急斜面のトラバースだが、幼木や笹等、つかまるものがあっても、微妙に気持の良いものではない。先月経験した、北夕日岳(定山渓)の頂上直下のトラバースを思い出した。

 そこを無事通過、いよいよ北尾根である。合流地点は小ピークとなっていたので、斜面をトラバースして北尾根上に乗った。最初に現れた834m標高点ピークは岩峰で、東面が完全に立っている。西側を低く巻くよう、Web上で見た記憶があるが、そのまま登れるようにも感じたので、行けるところまで登ってみたところ、その先がスッパリ切れ落ちていた。結局、西側の斜面を下ってトラバースした。そこからコンタ890mの頂上手前の小ピークまでが最後の頑張りで、時計は既に14時近いが未だ頂上に到着していないというプレッシャーでかなり焦りを感じていた。

 14時少し前、最後の急斜面を登り詰めると狗神岳の頂上だった。雪庇が大きく張り出しているので、雪庇の際ぎりぎりのところで頂上到着とした。澄川を挟んだ尾根のむこうには駒ケ岳が見え、道南の山であることを実感した。また、反対方向には乙部岳や鍋岳が見えるが、確認出来たのはそれくらいで、あとは山、山、山のみごとな連なりである。既にタイムオーバーで、すぐに下山の途についたが、sakag氏の山行記にあるように、かなりの痩せ尾根も通過した。私はワカンなので、そうでもないが、スノーシューのIkkoさんにはちょっと嫌らしかったようだ。山行全体を通じて思ったのは、道南の山やさんは比較的ワカンを使うことが多いようだが、それにはそれなりの理由があるということだった。(2019.3.10

途中から834m岩峰を振り返る

頂上が見えた

頂上到着・・・ 遠く駒ケ岳を望む

【コースタイム】 「山蕗駐車公園」8:55   釜別川 10:50 狗神岳頂上 14:00 釜別川 16:00 「山蕗駐車公園」17:20 (登り5時間5分、下り3時間20分 山行時間 8時間25分)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo

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