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      浜益御殿(1187.1m)雄冬山(1187.1m)

増毛・天狗岳から雄冬山(右)、浜益御殿(左奥)を望む(2011年3月撮影)

/25000地形図 「雄 冬」

“大阪山”近くまで車で入ることができる
浜益御殿への登り
背後には海が広がる
雄冬山への途中、振り返ると群別岳が見える

浜益御殿を中心とする浜益岳・雄冬山の三山は最近では人気の山域である。現在、浜益御殿への登山道があるかどうかはわからないが、アプローチの整備状況から考えて、近い将来に夏道ができることはほぼ間違いないと思われる。以前は、幌の街からスキーをはいて長い尾根筋を登って行ったが、幌の神社の横から入っていく林道も現在はかなり整備され、標高533mの通称“大阪山”近くまで容易に乗用車で乗り入れることが出来るようになった。ここから“大阪山”を越えるまでは民有林で、立ち入り禁止となっているが、道路の通過のみは許可されているようである。下見した一週間前には大型バスが一台、コンタ330m付近の舗装が切れる地点まで大勢の登山者を運んでいた。おそらく営業登山であろうが、この山がかなり一般化していることを物語っている。

目指す雄冬山が見える
雄冬山頂上付近

“大阪山”を過ぎると、御殿への登りとなるが、コルから先には暑寒別・天売・焼尻国定公園内へのスノーモビルの立ち入りを禁止する表示がある。以前には、相当数のスノーモビルが轟音をたてて走り廻っていたが、立ち入り禁止区域とそうではない場所の区別だけはしっかりつけるべきであり、違反した場合には何らかの罰則規定を設け、取締りを強化すべきである。そうでもしなければ自然を守ることなど出来るものではない。

コルからの登りは、大勢の登山者が入山していることもあり、雪上の踏み跡や木々に結ばれたピンクテープによってほとんど間違えることはないが、コンタ700m付近で分岐する尾根は、下山時に南側の尾根に入り込みやすいので、意識的に広い尾根の右端にルートを取るようにしている。広い尾根上をコンタ700m付近まで登ると、背後に日本海が広がりはじめる。この山が大人気である理由の一つには、青い海と白い山とのコントラストの美しさがあるような気がする。また、総じて傾斜が緩く、登り易いことも一因しているのかもしれない。

最近、ある程度認知されているルート上には必ずといってもよいほど、必要以上の標識(ピンクテープなど)を見る。このルートも例外ではない。標識のあるところに、さらに標識を残すのは止めてほしいと何時も思う。標識は各人が自分下山時のために付けるものであり、無事に通過した折には必ず回収すべきである。むやみに残すことは山に余計なものを残置して行くことになり、空き缶を捨てて帰るのと何ら変わりないような気がする

天候にも恵まれ、左に雄冬山、右に浜益岳を見ながら細くなった稜線上を忠実に辿って行くと、浜益御殿の頂上に到着する。雪解けが一気に進む5月でもあり、笹薮が起き始めている。御殿からは残雪期ならではの大パノラマが広がる。 “坊がつる讃歌”ではないが、桜前線も道央周辺まで北上して花見シーズン真っ只中のこの時期、残雪が恋しい山ヤにとって、白一色のこの山域は正に登山の醍醐味を十分に味わうことが出来る別世界である。

 雄冬山へ向けて御殿を下るが、帰路に再びこの斜面を登らなければならないと思うと、やはり精神的なプレッシャーを感じる。最低コルは広い雪原となっている。コルから雄冬山への登りとなり、881m標高点を右から巻く。出来るだけ無駄な労力を使わぬよう、あれこれルート取りを考えるが気休め程度の省エネであろう。登って行くうちに“道内5大鋭峰”の一つとされる群別岳が見事な姿を現す。898m高点を過ぎるとかなり急傾斜の斜面が現れるが、近づいてみると大したことはなく、キックステップで簡単に通過することができる。その後、痩せ尾根も現れるが、樹木があり、ここも難なく通過である。後は頂上までの緩い斜面を残すだけである。

雄冬山頂上から増毛天狗岳
雄冬山頂上から増毛天狗岳 帰路、これから登り返す浜益御殿を望む

 稜線上を離れ、広い斜面をゆっくり上がって行くと、私にとって約20年ぶりの雄冬山頂上に到着する。御殿から見た雄冬山は、かなり遠いような気がしたが、登ってしまえばさほど時間もかからず、大したことがないように感じられる。過去二度ほど時間切れで登頂に失敗している増毛・天狗岳が真正面に見える。また馬蹄形に暑寒別岳まで続く稜線も確認することが出来る。眺望の中でも特に印象的なのが、暑寒別川上流の727.9m三角点がある小ピークである。珊内岳から見た鉞山(神恵内村)にもよく似ている鋭角的な山容で、いずれこのピークから、廻りの山を見てみたいという衝動に駆られる。

 帰路は御殿の北側を巻いて、往路の尾根に直接向うことにする。低く巻きすぎると距離は長くなり、高く巻くのであれば登りきったほうが楽である。我々はコンタ950m付近から巻くことにする。成果の程は分からないが、登山者で賑わう御殿頂上の喧騒を避けられたことだけは確かである。地形図とにらめっこ状態での斜面のトラバースは続くが、もし視界が利かなければ、かなり難しいルート取りであるかもしれない。835m標高点で予定の尾根上へ飛び出す。(2004.5.9)  

【参考コースタイム】林道P 7:00 → 浜益御殿 9:30 → 雄冬山頂上 11:20、〃発 11:50  → 林道P 14:40  

【メンバー】saijyo、チロロ2

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