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   羅臼岳(2013.3/5)

 …米沢さんからのメール

  こんばんは! 恒例の羅臼岳に行ってきました。

 3/4月曜日関西からピーチで千歳入りしましたが苫小牧から千歳の飛行機の窓から見える雪景色に驚きました。 車の走っている幹線道路や自動車専用道まで雪が積もっていました。十勝平野に抜けると雪は少なくなって足寄〜陸別〜津別と雪は少なく順調でしたが美幌から334号は雪が残って運転に時間がかかり、東藻琴の先で引き返して244号藻琴から知床に向かいました。

 知床自然センターに到着した頃には日は傾いていました。 さすがに道東は日暮れが早いです。 重荷を担いでの夜道は心が折れましたが暖かいストーブを楽しみにして頑張りました。足元ばかり見て歩いていたらウッカリ愛山荘の一キロ先まで歩いてしまいました。 雪はよく締まってほとんど潜りませんでした。引き返して小屋の原型を留めないほど雪に埋もれた愛山荘を漸く発見しました。 一階の入り口は雪に完全に埋もれて梯子に登らなくても良かったです。楽勝と思った瞬間戸が開きません。凍りついてるのかなと思って10分くらい引っ張っりましたがびくともしませんでした。この時点で登頂は諦めました。睡眠不足で一階の戸を掘れば良いことに気付かず墓穴を掘ってしまいました。運が無かったと諦めて下山しました。さすがに疲労困憊しました。

   翌日も朝から良いお天気で早めに目が覚めたので再び知床に向かいました。行ける所までと思ってゲートから南西ルンゼ入り口のヘソ岩まで飛ばしました。雪は非常に硬く、全く潜りませんでした。新雪が積もって柔らかいと読んでピッケル一本でいきましたが南西ルンゼは氷壁と化していました。前夜の往復とオーバーペースが影響したのか脚色があやしくなって硬い雪に蹴り込みが十分でなく、30分〜1時間登って岩角を左側に二度目のトラバースしている時、蹴り込まずにアイゼンの爪を効かせて移動しようとした瞬間バランスを崩して滑落してしまいました。ピッケル一本では体を支えることは出来ず、雪面は冷たい強風に研かれてカチカチでピックもほとんど刺さらず、あっという間に凄いスピードで落ちていきました。途中バウンドして硬い雪面に叩きつけられて加速して滑り落ちていきました。ダメかなと思った瞬間、急にスピードが落ちて止まりました。助かったと思いました。頭を上げるとヘソ岩が何事も無かったように佇んでいました。

 右肩が外れたようで動かせません。 叩きつけられた時に左半身を強打したので背中から脇腹に少し違和感がありました。電話通じるので伊藤さんに電話して釧路からヘリ来てもらおうかなと一瞬考えましたが足と頭はダメージ全く無かったのでなんとか下山出来るだろうと考えました。土曜に北海道で9人も亡くなられて大変な時に単独で滑落してヘリ呼んで生還しても誰も喜んでもらえそうもないし、新聞に実名入りで書かれたりしそうなので痛みをこらえて休み休み下山しました。

 斜里のドラッグストアでロキソニン買いに行ったら扱えないとの事で網走の救急病院を紹介して頂いて肩を入れて頂きました。左側の肋骨も骨折していました。ドクターに一晩泊まっていきなさいと言われて入院して血液検査と尿検査して頂きました。 尿酸値が少し高いと言われました。ドクターも看護士さんも優しい良い方ばかりで滑落のショックはすぐに癒やされました。一二週入院してきたらきっと楽しかっただろうなと思いました。

 翌日雪の中、千歳まで運転してピーチでなんとか帰りました。関空の第二ターミナル、鉄骨が剥き出しでエスカレーターも無く歩行距離も長く、身障者や高齢者には厳しい造りとなっています。ケガが癒えたらまた再挑戦したいと思います。次回はピッケル二本で行きたいです。 

  【行動記録】

3/4(月曜) 16:10知床自然センター→19:10〜19:30愛山荘→21:30知床自然センター→22:30緑清荘(泊) 

3/5(火曜) 7:15知床自然センター→12:00ヘソ岩→南西ルンゼとうはん中止→18:30知床自然センター 

 

関西空港第二ターミナル

朱円より海別岳

夕闇せまる羅臼岳  あと30分早ければピンク色に染まった羅臼岳が撮れていました。

知床峠付近より羅臼岳

知床峠付近より羅臼岳

 

■ 米沢さん、臨場感たっぷりの山行報告、ありがとうございました!それにしても、無事の生還、何よりでした。本当にちょっとした瞬間ですね…

>ダメかなと思った… 

落ちて行くわずかな瞬間でありながら、意外に冷静な自分がいるものですよね。危険箇所に踏み出す中で、米澤さんの中にはあらゆる想定が、意識せずともあったのだと思います。だからこそ、潜在的に身を守る最善の落ち方があったのでしょう。全くの想定外であれば、おそらくはこの世の人ではなかったのでは…と思います。以前に私が見た滑落事故の中で、バウンドしたことによって致命的なダメージを受けて亡くなってしまったケースがありました。今回、硬い岩などに当たらなかったことだけはラッキーだったと思います。

次回はぜひとも万全のコンディションで再チャレンジして頂きたいと思っています。

(管理人)

 

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